#37 嫌忌
魔力弾の撃ち合いは互角なようで、襲いかかってくる暴威の邪眼に目を光らせながら避けつつも、攻撃するチャンスをものにする。
些細なことでもいいから、何か攻撃する手立てはないかと思考を加速させる。
(世の理を
邪悪の塊とも呼べるその攻撃は周囲を腐らせるだけでなく、嫌忌を与える邪悪属性の魔法。
属性は数百種類もあり、一々把握するのがめんどくさいが、それもこれも戦いの中で知ればいい話。
なんとも
邪悪属性の魔法は精神に付与され、嫌忌感を覚えさせるだけでなく、力すらも吸い取る邪神の息吹。
せめて少しだけでも効いてくれるといいが、過度な望みか……全くとまるどころじゃなくてこちらに突っ込んできやがったぞ。
「邪神の威をかる魔人……中々にゾワっとするものがありますわね!私の攻撃はまだまだこんなものじゃないことをお教えして差し上げますわ!(邪眼の力を顕現させよ。この目尽き果てるまで我が好敵手を滅ぼし尽くさん事を欲す!《邪眼メデューサ》!)」
破壊の塊を光線状にして解き放つ彼女は、最早狂人とは言い難いような姿形をしていた。
これが本物の嫌忌を
元々岸壁だった景観は、メデューサの邪眼によって更に石らしくなり、アニメや映画で見たような固まり方を瞬時にする。
これがメデューサの力……そうか、そういうことか!
メデューサの力で時間を石にして時飛ばしの要領を担っていたのか!通りで知覚する間も無く攻撃を加えられたわけだ。
そんな無理ゲーに出くわされて、何をするでもなく対処をするなど到底できない。力を持って制さなければ無理って話だな!
「くそっ!その弾幕いつまで続くんだよ!避けても避けてもこちらをホーミングしてきて厄介極まりないっての!」
悪態を吐きつつもなんとかして回避行動を取る私は、より醜悪に見えるかも知れないがアクロバティック回避をしていた。
これじゃ決着のつきようがないだろうと言わんばかりの猛攻だ。
しかし、邪眼にも弱点があるようで、使っている邪眼から血涙が流れ出ている。
そんな無茶をしたら、確かに目から血の涙ぐらい出るだろう。
苦しみと痛みを伴いそんな攻撃をして、そんないい笑顔でこちらを見てきたら、答えないわけには行かないだろう?
(真の勇気に賛歌を。真の強さに協賛を。真の力を賛美して、ここに残存せし邪悪の塊諸共吹き飛ばせ!《
聖なる息吹が襲いかかる。
邪眼の芽を喰らい尽くして、光の奔流に流される。渓谷一帯は蜂の巣になってもうボロボロだったのか、一瞬にして崩れ去り渓谷をぶち壊しながら突き抜ける。
大量の魔力を浴びせて、その中で見えたのは涙を流して微笑んでいる彼女だった。
戦いがよほど好きなのか、そんな風に受け取れる。忌避感があるが、それでも彼女は戦い抜いたのだ。
私との戦闘を楽しんでくれたのなら、少しだけ報われるような気がした。気がするだけかも知れないけれど、そんなことはない。
真剣に戦って私は勝ちを得た。価値のある勝利だったと言える。
嫌忌をしていたのが嘘のように邪神の力を積極的に使っている私は、少し憑き物が取れたような気がする。
「ありが……とう、ござ……い…………ましたわ」
彼女と相対するのが、この局面でないことを願いたかった。
彼女は真摯に自分の力と向き合って、その中で成長してきたのだ。
そんな彼女を誰が責めれるというんだろう。私は責められない。責めたくても、今勝って嬉しいという思いが芽吹いているのだから。
自分の中の嫌忌は消えた。
彼女にもありがとうと伝えるべきだろう。
「こちらこそ、ありがとう」
邪神の欠片を5個回収すると、私のステータスに変化が起きた。
ステータス
STR(筋力):500 〔化け物〕SSS
CON(体力):490 〔化け物〕SSS
SIZ(体格):ロリ 〔ロリ〕--s
DEX(俊敏):480 〔化け物〕SSS
APP(ロリ):ロリ 〔ロリ〕S
INT(知性):200 〔神格〕S+
POW(パワー):450 〔化け物〕SSS
EDU(教養):75 〔大学卒〕A+
MP(魔力):100垓 〔神格〕SSS+++
・称号
◯金髪ブロンド碧眼ロリ
外見が金髪ブロンド碧眼ロリボディに与えられる、ロリなる称号。これを所持しているからと言って、これと言ってなんらステータスに変化を及ぼすものではない。
◯
原初を自覚し、自らの力を受け入れたもののみが手にすることができる称号。神なるトゥルー・オリジンの神界に招かれないと手にすることができないものでもある。魔力に絶大なる+補正を獲得する。
◯救世者
世界を救おうというものに送られるギフト。
◯邪神に魅入られし者(邪神の欠片:10)
ナイルニャルラトラホテップに魅入られたもののみが獲得することができる称号。沢山集めればいいことがあるかも知れないし、良いことが起きないかも知れない諸刃の剣。
◯
邪神を完全に保有するものに与えられる称号。自分から力を示すのではなく、受け入れるものにのみ与えられるギフト。魔力の保有に+補正が掛かり、邪神を顕現したりさせなかったりすることができる。
◯神格
神と同類であり、神そのものに至ったものに与えられる称号。神格を持つということは、世界との交渉権を獲得することに近しい。神への挑戦権も得て、統べるものの頂点に立つことに至り
ははは、なんだこれ。ぶっ壊れチートじゃねぇか。
だが、いかに魔力が強いとて、相手は強敵でこちらと同等の力を持っているということに念頭を置かないといけない。
最悪の敵はいままさに待っているのだろうから、そこに向かっていくしかない。
……その前に、あちらからコンタクトがあるみたいだ。
行くしかないか……行かないことには始まらない。
私は扉を開けて、前に進んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます