#33 残響
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#5 傾国
私は一つの国だけではなく、いくつもの国を傾けてきた。どの国も臆病ですぐに屈する雑魚どもばかりだ。
そんな折に、ある邪神の欠片の所持者にであった。凶暴さと残忍さを兼ね備えた最高のおもちゃ……私はこのおもちゃがどうしてもどうしても欲しくて欲しくてたまらなくなって、目から話すことができなかった…………あれからはとてつもない可能性を感じるものがあり、最高にくるものがあった、欲しい欲しい欲しい!!
何が何でも是が非でも欲しいのだ!欲しくて欲しくてたまらなくなって、本人にある嘘をつきこちらにくることになった。
……最高だ、最高だ!この実験は成功したのだ!この狂人によって最高のおもちゃを一つプレゼントしてくれた!……ここはクールになるんだ、ここは日記だ。誰にも明かされることのない日記なのだ……落ち着いても流石に笑いが込み上げてくる。奴の彼女など蘇らせるつもりも、蘇れるなんものも全部嘘なのだから!
それを知った時の絶望した顔と狂気の怒りに満ちたその表情に胸を打たれて、私は奴からの攻撃を一撃もらうことにした。
奴の攻撃はこちらを貫くことなく、全く歯が立たないのを私は知っていながらそれをまさに企画した。
最高の発明家だ!この私は素晴らしいの一言に尽きる!あぁ、今考えているだけでご飯のおかずになるぐらいには、最高の瞬間だった。
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#6 自我
嗚呼今日はなんで日だ!
とうとう試験体Sが自我を持ち始めて行動した!試験体Sが生まれたのは次元の途中の産廃から生まれてきたものだったが、これは中々の強力な個体らしいと判別したのはつい先日のことだ……今回の実験もまた上手く行くのだっ!
これは祝わずにはいられない!こんなところで日記などを書いている暇などあまりないのだが、それでもこの結果・成果を残さずして何が研究家だろうか!
素晴らしい日の記念に今日は呪禁の日と名づけることにしよう!
それは自我を持ち始めた試験体Sが最初に放った言葉が呪禁だったことに起因するのだが……これはこれは面白いことになってきたぞ!素晴らしい実験の香りがする。
今から胸が高鳴ってきて、最高の気分だ!ああ、早くこの思いをぶつけてやりたい。
あの実験体Sにはこれから頑張ってもらわなければならないなぁ!
嗚呼、素敵で素敵で仕方がない!
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非道な実験の数々により、実験体Sというのが誕生してしまったと言うのは不幸中の不幸なのだろうと言うことが、判明した。
それは聞き覚えのあるようなないような気がする内容だが、明らかに呪禁と聞いて思い浮かぶ人物があれしかいない。
あれが強力な個体であること、あれが非常に力を秘めた個体であることは容易に想像がつくことだ。
これ以上は見てはいけないと心からの声が残響する。しかし、これを見てしまった以上は後戻りはできない。
この研究の数々は非道い実験と酷い暴力の限りを尽くして出てきたものだ。
瘴気が漏れ出ている本の中にはこんなことが書いてあったのだ。邪神の欠片を持っていなければ決して覗けることのない
何事もなかったかのように置かれている日記は最悪のメッセージと共に送られてきた、クリスマスプレゼントと同じようだ。
この文章には悪意しかない。悪意の塊のようなものが私の敵なんだ。許容できないものが渦となって心を抉る。
心根は何処か脆くて壊れそうで傷そうで痛い。
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#7 波紋
ある波が脳に起こったらどうなると思う?
震えるのだ。体だけではない、脳波に干渉する波紋を起こすと考え方まで震えてしまうほどの残虐性を秘めている。
これは実用的な研究結果とは言えないが、それでも最高の結果とも言える。
静かな川に雫を一滴垂らすと波紋が起きるように、静かな脳に波を送ると同じような反応をすると言う成果が、わかっただけで私を震撼させる。
素晴らしいのだ!生命の謎を解いているようで最高に楽しい気分になってくる!
あぁ、今からまた別の実験をするのだが、楽しみで待ち遠しくて、クリスマスの日にプレゼントを貰うのを待っている子どものような、童心に帰る気分になってくる!
ははははは!素晴らしい技術と素晴らしい生命の謎という成果によって、更にさるお方からの支援は厚いものになってくるだろう!
笑いが込み上げてきてたまらないたまらないたまらない!
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#8 惨状
なるたる失態だ!この研究が成功すれば生命の謎をさらに解き明かせるというのに、惨たらしい実験として副リーダーに排除されそうになっている。
今私のペンは怒りで震えている……しかしここは冷静になって考えてみて欲しい。
彼もこちら側に来ればいいのではないか?それが1番の解決方法で、最善の手であることは間違いない。
これが本当に成功するかどうか、優秀な研究者を私も失いたくない。
こちら側に誘って仕舞えば問題はなかろうということなのだ。
私は科学者で研究者だ。それを成果を共に分かち合おうじゃないか!
大いなる勘違いだったとして処理して仕舞えば何も問題にはならない。彼がこの欠片を取り込みさえする状況にあればいいのだから……!
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#9 絶望
彼は死んだ。適合できずに優秀な研究者を失ってしまったのだ。
なんてことだ……!これでは私のおもちゃが壊れてしまうではないか!
…………そうだ、いいことを思いついた。
この日記をデジタル化してからこの策を使うとしよう。ペンだけではあまり筆が乗らない時は書きたくなくなってしまう。
書かないのはダメだ。記録を残さないというのはダメだ。
記録というのは残すためにあるものなのだから、記録という文字という継承があるのだからやめられないのだ。
この文字が誰かに届くかもしれないという思いを込めてこの文章を紙媒体だけでなく電子媒体で残す必要があるのだ。
ここから、ここから始まるのだ。私の物語というのがここから始まっていくというのが楽しくてたまらなくて、電子化に踏み切った。
絶望の幕開けだ……届けて見せるぞ、この文章を。
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#10 警告
さるお方からの伝言で、この施設は時期に襲撃されるという警告を受けた。
そんなバカなことがあるわけがない。
それはただの勘違いだと思ったのだが、さるお方が言うのだから間違いないことだろう。
それはそれは聡明であらせられるさるお方だからこその言葉……信じないわけにはいかない。
そこで研究施設を移すことにした。
そこで明らかにされるであろう生命の神秘とやらは最高の私のおもちゃになってくれることだろう。
楽しみだ……新しい研究施設が楽しみでならない。
ははははははは!これでもっと研究ができるぞ!
くくく、いまからなんの研究をしようかゾクゾクしてきて楽しいと言う欲求を抑えきれない!
この警告が身を結び良き方向へ向かってくれればいいのだが、それはまだ私にもわからない。
あのナンバーズの狂人たちはさるお方の支配下にあり、私のおもちゃではないのだから。
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先に手を打たれていて、もうここにはいないと言うことが分かったと言うだけでも上出来だろう。
奴の向かった先は、この日記に詳細に記されている。
なぜこの禁忌書物をここへ置いて行ったのか意図が掴めないままでいるが、それは私に向けたメッセージのようにも思えてきた。
早くおもちゃを試したくて仕方がないであろう、あのマッドサイエンティストに
引導を……渡してやる。
私の闘志に火がつき、燃え上がってくる気持ちを沸々ともつ鍋を数時間かけて煮込ませるような、そんな気持ち。
食べ物で例えるのはあまり得意ではないが、そんな感じの熱さだ。
この研究所を爆破させ、あとにする。
待っていろよ、マッドサイエンティスト……その首を刈り取ってやるから。
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