#30 灼熱

 情熱の比ではない、とんでもない熱い第四元素の炎は、私の身を依然として包んでいた。

 この熱さはマグマよりも熱い温度で行われていることに衝撃を受けながら、自分で自分なりの対策を講じてみる。

 灼熱の戦いはここに始まっているばっかりだが、肝心の魔力解放の謎もまだ解けてないし、自力での突破口はそこにあるんだと確信して入るんだが、それでもまだまだ謎な部分が多いので、跡一歩踏み切れないでいる。

 それがもどかしくてもどかしくてどうにかなりそうなのだが、どうしようか。

 そんなことを考えている間にも、彼女の攻撃は続いていく。


「ほらほらぁ!第四元素の炎でどうにかなっちまいそうだろ!これがおれの炎の躍動だ!びびったかよ!デスティアなんて名前がついているから水だとでも思ったかっ!」


 確かにいま苦戦を強いられているのは私の方だ。それは揺るぎない事実で受け止めることしかできない真実でもある。

 しかし、しかしだな。第四元素の炎だとしても、私はその元素ごと越えなきゃ今の戦いに勝てないんだよ。

 超速回復で回復し切ったとしてもとてつもない炎にやられるのであるのならば!!毒を食らわば皿までで、もうそこに突っ込んで仕舞えばいいのだ!

 私の突破口はそこだ!


「ははは!血迷ったかよ!熱さで脳みそでも解けてもうそこに突っ込んで心中するしかないって悟ったのか?!おれはこの炎をも操り出して狂人の中のトップになるんだよ!あいつになんかトップの座を座らせないんだっ!早く速く死ねぇぇぇぁぇぇぇぇえぇぇえああぁえええ!」


 炎を操って入れられる時間も少ないと踏み、そこに足を踏み入れる。


「ここで死ぬがいい!《第四元素:ファイア・オブ・エレメンタル》!!この技で永遠の眠りにつきなぁぁぁああ!」


「このタイミングを待っていたんだよ!はぁァァァァアア!《魔力解放エナジー・バースト》!これが私の(今名付けた)魔力解放だ!邪神:這い寄りし混沌のフィアー・ディサポイート……!さぁ、お遊びは終わりだ…………。ここからが本番だぞ」


「なにっ!?おれの《邪神第四元素炎フレイム・プライド》が押し切られているだと……!?何かの間違いだ!このおれの炎がぁぁぁあああ!」


「クトァグアと相性の悪い這い寄りし混沌にはこの炎を突破できないとでも思ったか?土で炎は簡単に曲がり、そこに攻撃を加えることができる……!《邪神精霊土フェアリー・スキン》!さぁ、襲い尽くしな!この曲がる土の流れを避けるものなら避けてみろ!土は太古からあるもの……それがお前のお終いなんだよ!」


 流れて溶け出した土はもう勢いを弱めることはない。勢いよく流れ出して流れ出して、それこそ噴火した後のマグマのように溶け出て、噴火時の勢いのある火山弾のように速い。人智の外にあるような速さの土流に翻弄され、尖った先の土が彼女の体を貫き通す。

 土には菌も含まれていて、確実に助かる余地はない。土の流れに惑わされながらそのまま倒れていくといい。

 魂を土で取ると、魔力で払い除けて吸引することに成功する。


「あぁ、あなたはまだわかっていないのですね……その力に…………溺れることなく、戦い抜いてください…………」


 その言葉を最後に彼女は事切れて地面に倒れ伏す。それと同時に彼女の体は灼熱の炎に包まれて形もなく消え失せてしまった。

 これが狂人の末路だというのなら、やはりDr.は許せない。

 狂人の謎にも迫りつつあった。次の場所はどこなのか考えていると、ワープホールが開いて元いた異世界に再び舞い戻る。

 舞い戻ったら急に眩暈がして、あたりを土で覆い状況を掴み取る。

 あの邪神がこちらを手招きしている。あの邪神がゆっくりと口を開く音がする。

 震わせた喉に喉仏なんかはなく。ただ正常なものの感覚を狂わせる。狂い悶えそうになるのを抑えながら、私は私だということをただただ呟く。


 またやってきてしまった。

 魂が心から抜けていくような底冷えするような空気感と共に、あの這い寄りし混沌の邪神が首を傾げてこちらを待っているようだ。

 行くしかないし戻れはしないのであるのならば、まっすぐに進むしかない。

 あの邪神の元に、狂ったパレードの始まりはまだまだ先になるのだろうが、シャンタクちょうがこちらを出迎えるようにこうべを垂れる。

 嗚呼、始まってしまうのか。奴との対談が。心待ちにしてもいないその対談は望まれないものでもないが、それでも矢張り行きたくないと心が叫び出して暴れる。

 やめろ、その心の暴れは私の暴れじゃない。その暴れをものにしてこそのマリ・イグジットだろう?

 さぁ、始めようか。この絶望ある世界に向かわないようにするためのもう一つの戦いを。

 これは心と心の戦いなんだ。

 心と心で決着をつけてこその力であって、欲しているわけではない。ものにするための戦いだ。

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