#25 回帰

 私のステータスは中々に高いものとなったようだ。この虚無空間では時間を忘れて鍛錬に没頭できる。私のような時間を待つことのできる淑女(金髪ブロンド碧眼ロリ)であるのならば結構なのだが、せっかちで我慢ならないものにとってはこの空間は苦痛に感じるやもしれんな。

 ステータスをトゥルー・オリジンが数値化してくれたので、早速見ていこうと思う。


       ステータス


 STR(筋力):500  〔化け物〕SSS

 CON(体力):490  〔化け物〕SSS

 SIZ(体格):ロリ  〔ロリ〕F

 DEX(俊敏):480  〔化け物〕SSS

 APP(ロリ):ロリ  〔ロリ〕S

 INT(知性):200   〔賢者〕S+

 POW(パワー):450    〔化け物〕SSS

 EDU(教養):75   〔大学卒〕A+

 MP(魔力):◼️◼️◼️ 〔人外〕SSS+


 ・称号


 ◯金髪ブロンド碧眼ロリ

 ◯原初保有者オリジンホルダー

 ◯救世者

 ◯邪神に魅入られし者(邪神の欠片:3)

 ◯神格


 このような感じだ。

 APPのロリとSIZであるロリに納得は未だに行っておらず、改善してくれとトゥルー・オリジンに申し出てみたものの「それは神の力が遠く及ばずに申し訳ない(真顔)」と言われてしまったので、どうすることもできないそうだ。ちくしょう。なんでこんな体格になってしまったのか……全てはあの駄女神のせいだな、よしすぐ倒そうすぐに滅ぼそうそうしよう!

 そんなノリと勢いで勝てるほど女神という存在は甘くはなく、強敵だ。そんなことは知っているが、TS転生までさせられてこんな世界を預けられたんだ。文句を言う権利ぐらい私にだってある。そうじゃないとおかしいまである。私は確固たる自信を持ってそう高らかに宣言する。元の体が別に欲しいってわけじゃないし、そうそう戻されてももう元に戻れそうにもないしなぁ。


 そう考えると鬱になってきた……やめよ。

 麺ヘラを起こしそうで嫌な気分になる。麺ヘラの意味は麺を食べないとヘラってしまうと言う所謂持病ってやつだ。実際は我慢できるんだが、どうにも落ち着かない気分になる。

 みんなにも何かしら病があって、それを押さえつけながら生きているんだと私は感じる。病は気からとも言うが、そんなことはなく病は持っている。持ちうるものなのだと証明したい。

 まぁ、私の教養は75しかないので、説得力も何も皆無に等しいのだが、それは致し方なしたかし……QEDできないのが悔しくて悔しくてたまらないんだがどうしてくれるんだ、この気持ち。


「ははは!マリ、キミはやっぱり面白いねぇ!いじっていてここまで反応してくれるオリジン保有者は中々いないよ!みんな死んだ顔つきになりながら、この展開は知っていた!みたいな感じでさぁ、つまらないんだよねー」


「私はいじっても面白くないぞ?なんの反応も示さない時しかないね」


「いやいや、君みたいなロリ体型中々いないよ!「なんだと貴様」ははははは!やっぱりキミは面白い、反応速度が段違いだ!他のどの保有者所持者と比べても、キミと肩を並べる存在はいないだろうねぇ……強さ一つとってもそうだ。キミは強くなるよ、絶対に女神の袂まで行く。行けるのさ……僕でさえもがキミに憧れの情を抱くよ」


 そんなことを言うと、トゥルー・オリジン……オリジンは寂しげな顔をこさえて私を見つめてくる。

 そんな端正な顔立ちに見つめられると、男だった私でも照れるじゃないか……なんだよばかやろう。


「僕の顔を認識できるようになったね?これが神格さ。神にとって姿を見られることは悪いことなんだ。どっちつかずで居て、人間には決して判別なんてつかないモノなんだよ!キミは成し得たね、ここでの修行を受けて得るものが確かに存在したんだ!」


 神格だとか、人格だとかごちゃごちゃうるさい。私は私、私が私である以上はあの女神のことを許すこともないし、世界を渡り歩いて邪神の欠片を集め切ってやるしかないのさ。

 あの邪神を満足させるためじゃない。私自身のためにそれをやってのけてこその人生、私を保つための証明にもなる。

 だから、オリジン……私を強くさせるために修行をつけてくれてありがとう。と心の中で言っとく。聞こえてはいるだろうけど、言葉にするのは照れ臭くて言えそうにもないから心の声だけで勘弁してくれ。ここに引き込まれていったのも運命。ここで身につけたことこそも運命の一ピースだったのだけれど、なんだか何年も何百年もここに居たような気がする。


「はは!感謝されるとやっぱり嬉しいね、僕と出会って感謝をするものじゃなくて、恐怖して絶望して、世界の一端を知って自害する人ばかりだからさ。そう言う人達はみんな神の獣になってキミに襲いかかってくるだろうね。でも、キミならやれるよ。このトゥルー・オリジンが保証しよう。キミの力とキミの心を許容しよう!神のお墨付きが出たんだ、キミも納得のいくものになっただろう?」


 そう言うと、視界のもやが晴れたかのように虚無空間から離れようとしている。

 もうちょこっとだけ話したかったけど、ここでお別れみたいだ。いや、お別れじゃないか。しばしの時だけ、ここから離れる。ここは私の心であり家であるから、あんたがここにいる限り、存在する限りここに帰ってくることにするよ。それがいちばんの恩返しで、私にできる最大限の気持ちなんだから。


「ありがとう、キミといて楽しかったよ。さようなら「いや、違うね!!もうオリジンとは友達……って呼ぶのは烏滸がましいかもしれないけど、心を認め合った仲間だから!また会う日まで……元気でいろよな!」


「……神の心配をするなんて、変な人だね!うん、うん!!約束だよ!」


 闇が消え去り、目が光を吸収して眩む。戻ってきたんだ。戦場に。この世界に戻ってきたんだ。

 私は旅を続けることにした。なんだかんだ言って歩くのは嫌いじゃない。素晴らしいことではないだろうか。こうやって地を踏みして、また新たな敵のところへ向かう。

 待ってろよ、邪神。お前の望みと共に、あの女神を打ち倒してやる。こんな世界を作ったクソッタレに文句を言ってやるんだ。あの時散々ブー垂れてたけど、今度は本気で文句を言いにいってやるんだ。

 それが最善だとわかって回帰したのだから。

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