#12 懊悩
困ったことになった。非常に困ったことになった。歩き続けることはいいが、ここがどこだかわからんと言うことだ。私は元来めんどくさがりな性格。新生魔力な私でも解決できないことなんか多々ある。無数にある。それがわからないほど子どもでもない。しかし、この状況にもほとほとに懊悩してきた。場所がわからないんじゃ旅もへったくれもないわけだし、それにしてもあっちをみてもこっちをみても木、木、木……木 of the 木といったところだ。諦めてここで寝るとするか?そんなことを考えたところで、前から人影がちらほら。
「これはこれは、面白いことになってまいりました……!」
あいつは……覚えているぞ、デススペルだ。あの青年のような見た目に騙されてはいけない。あいつは私と張り合うことのできる化け物。魔力として存在している私にとっても強敵。
「……何をしにきた?」
「別に何をしにきたわけでもありません。今はまだ戦う時ではないのですから」
おかしなことを言うやつだ。こんなにも私の心は荒々しく音を立てていると言うのに、あいつはどこ吹く風とのらりくらり。まるで妖怪のぬらりひょんみたいじゃないか……。
「目的はなんだ?なぜ接触してきた?そして、後ろのやつらは誰だ?」
「フフフ、質問は一つまでと教育機関で習わなかったのですか?」
……お前に言われるとなんかイラっとくるものがあるな。
「ですが、いいでしょう。質問に応じて差し上げましょう!なんといったってわたくしは優しいので!!」
「……お前に感謝はしたくないが、一応話を進めるぞ」
「それは残念……まずは最初の質問の返答と参りましょうか。目的とは、後ろの方達にも関係してくることなのですがね。回りくどいことは抜きにして、全部の質問に対して一言返させていただきましょう。この後ろの8人を殺していただくことが目的です!」
なんだと?殺すことが目的だと?
「ふざけるな!それはどう言うことなんだ!」
「ふざけてなどおりませんよ。この者たちは【迫る手】の中でも上級クラスの狂人たち。それら全てを撃破し、私に挑んでもらいます。それが【迫る手】のボスへの挑戦権であり、この世界を牛耳る【迫る手】を打破しうる最大にして最高の攻略方法なのですから!」
こいつはマジにいっているのか?わからん。にしても狂人とは、こいつらは純粋な人間じゃなかったわけだ。どうりで魔力的存在である私とためはれるぐらい強いわけだ。しかも幹部クラスときた……ここは仕掛けるしかないだろうな。
「おっと、今攻撃しても構いませんが、その時どうなるかはご了承ください。今にも殺気だってやってしまおうというアホを抑えている私や世界の住民が粉々になってしまいます……あぁ、なんと悲しいことでしょうかっ!」
「……わざと言ってんなら殺すぞ……。わかった、今手出しはしない。ただ会った時には殺していいんだな?」
「えぇえぇ、会った時にはもちろん殺してくれて構いません。しかし、あなたにこの狂人たちが勝てるかどうかはまた別問題ですが。では行きなさい狂人たちよ!散会し持ち場につきなさい!!」
デススペルがそういうと7人は一斉に飛び出し、俺を含めて3人を残すだけとなった。そんなことだろうと思ったぜ。最初の1人を殺して、居場所をゲットしなきゃなんねぇわけだ。しかしどうにもスッキリしない。どうしてこんな仕掛け方をするのか。真実はこいつらの中にあるとみていいだろうな。
「もうお察しかもしれませんが、このものを殺さない限りは次のものには辿り着かない仕様となっていますのであしからず……それではわたくしはこれで失礼しますね。あとは若い者同士で……とか言うお決まりギャグはいいですかね」
そう言い残すとデススペルは消え去っていく。だが、張り詰めた緊張の糸は一向に緩むことはない。目の前には狂人がいるのだから。
「ウチの名前はデスイーター。お前が魔力の塊のマリってんだな?私はめんどくさくて回りくどいのが苦手なんだ!さぁ、とことん試合おうぜ!!」
イーター……こいつらの名前にはなんらかの法則でもあるのか、意味でもあるのだろうか。そんなことを考えている時間は今ない。こいつを突破しないと次の道は開けないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます