第27話 決着
わたしの光線と、キテラの火球が、拮抗する。
「なんという魔力! キューティーチャーミサキとは、かくも! これでは、近づくこともできん!」
歴戦の戦士であろうはずのあやかし仮面でさえ、静観しているしかない。
「ふんばれリク! 魔女を内側から追い出してくれたら、容赦なく魔女を撃退できる!」
リクくんに、わたしは声をかける。
「ムダよ! あたしとリクは、魂レベルで繋がっているわ! もう引き離すことはできない! 血筋の力を侮ってはいけないわ」
「バカ野郎! 血筋がなんだってんだ! リクはリクだ! テメエの子孫じゃねえ!」
わたしだって親がヤクザだが、教師をやっている。
人は、なんにだってなれる。
それは、魔法でも奇跡でもない。
「いいかリク。魔法がなくても、魔女の力に頼らなくても、あんたはすごい! 生徒たちが、証明してくれたじゃないか」
わが校の生徒たちは、リクくんに別け隔てなく接している。
「でもあなたは、大切な人を奪ったわ! そんなあなたに、リクを励ます資格なんてない!」
「うるせえ! リクを悪の道に引き込もうとするやつに、言われる筋合いはねえ!」
たしかに
わたしが奪ってしまったも、同然だろう。
だが、リクくんに魅力がないわけではない。
魔力なんて関係なく、周りはリクくんを大切にしている。
「だからリク、お前は魔女に頼らなくったっていいんだ! お前は人間でいいんだ!」
「ムダよ! リクは魔女の力に依存を……なんですって!?」
リクくんが、魔女キテラの力を切り離す。
「どうして!? あなたは悪しき魔女になるしか道がないのに! これだけの力を有しながら、悪用しないなんて!」
「うるせええ!」
わたしは、キテラの顔面にヨーヨーを食らわせた。
「リクは、そんなこと望んじゃいねえ! テメエとは違うんだ!」
やはりコイツは、リクを器としか見ていなかったようだ。
リクはそれに気がついたんだろう。
「悪の根は、引き継がれる! あらがってもムダよ! リクは、魔女になるしかないの! それは定めよ!」
「てめえの野望のために、子孫を弄んでんじゃねえ!」
わたしは、魔女の心臓にヨーヨーを叩き込んだ。
ボディーブロー気味に入ったヨーヨーが、キテラの肉体を砕く。
「今は退いてあげる。だけど、あたしは人間への復讐をあきらめないわ! いずれ力をつけ直して」
「いいから、さっさとリクから出て行け!」
再び、わたしはキテラの鼻っ柱にヨーヨーをぶつけた。
キテラの肉体が宙を舞い、虚空へと消えていく。
辺りを覆っていた負のエネルギーが、一気に霧散していった。
「リクは!?」
わたしは慌てて、リクくんを探す。
彼は、褐色の男性に抱きかかえられていた。かたわらに、リクくんの妹ちゃんを連れて。
「アリガトゴザイマス」
カタコトの日本語で、男性は語る。
彼こそ、リクくんのお父さんだった。
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