第50話 第二のエルフの村

 魔王ノーティカを魔王ゾールに引き渡した後ロッサ達は新たな地に辿り着くために歩いていた。


「まだ着かないのぉ?」


 ロッサ達はあれから適当に進んでいて自分達が今どこにいるのかすら把握していなかった。


「ちょっと確認してみるよ。」


 ロッサは空間理解でマップを確認してみた所デリオールから南東に進んでいて先にはまだまだ森や平野が広がっていた。その事をマナに伝えるとマナが駄々をこねて言った。


「なんでこうだだっ広いのよ!大きな国が一つくらいあってもいいじゃない!」


 そんな事を言い出すマナをロッサは落ち着かせる。するとマナはロッサに向かって規格外な提案を唐突にをした。


「そうだ!あんたここら辺に国作っちゃいなさいよ!」


 ロッサは突然のマナの提案に驚きを隠せなかった。


「えぇぇぇ!いきなり何を言ってるの?!僕が国を作れるわけなでしょ?」


「行けるわよ!亜人とか人間とかと仲良くなれるのだからすぐ国が大きくなるわよ!」


「そう言うもんかねぇ。」


 そんな事を話しているとマップに映っていた森が見えてきてロッサ達の目の前に立ち塞がった。するとグローリは目の前に広がる森を見てこう言った。


「森かぁ。罠なんてないよな。」


 グローリはまだ森の中で罠に引っかかった事がトラウマになっているのだった。


 そんなこんなで森の中へ進むと中は意外と空気が澄んでいて涼しかった。


「へぇ、この森の中は過ごしやすいなぁ。」


「こんなに気持ちいいと眠たくなってしまうな!」


 エルフのアリッサが言うのなら間違いないのだろう。この森は良い森なのである。アリッサが眠たくなると言う事を聞いたロッサはそろそろ休憩にしようと言い出しロッサ達はその場で休憩を取ることにした。あまりにも気持ちいいのかその場で眠ってしまったロッサ達は小一時間の睡眠をとった。


 つんつん・・・。ロッサは誰かに顔を何かでつつかれていた。


「うーん。」


 つんつん・・・つんつん・・・。


 植物のツタのようなものでつつかれているロッサはパッと目を開くとそこにはマナより少し大きいぐらいの少女?がロッサの目の前に座って自分から生えているツタでロッサをつついていた。


「のわっ!な、なんだ?」


「あ、やっと起きましたね。」


 そのやり取りを聞いた他の皆も次々と起きだした。


「なんだなんだぁ?」


「むにゃ・・・。」


「何事だ!」


 皆が飛び起きたので驚いたのか見た目が緑色で精霊の様な少女は木の陰に隠れてしまった。するとロッサは低姿勢で近づき少女に謝り少女は一体何者なのか聞いていた。


「驚かせてごめんね。君は一体誰なんだい?」


 すると少女は木の陰から少し顔を出しながらこう答えた。


「わ、私は森の精霊のドリアードです。」


「森の精霊ドリアードだと!」


 アリッサは驚いた様子で話し出した。


「ド、ドリアードと言えば大昔に空中のエルフの里を作るときに手伝ってもらったっていう伝説の精霊だぞ!」


「あの空中に浮かばせるためになんかしたの?」


 ロッサの問いかけにアリッサは曖昧な答えを出した。


「なんかしたんだろうな・・・。」


 するとロッサ達の会話を訂正するかのように割って入ってきた。


「なんかじゃなくて空に浮くように改造したのは私ですから!」


 ドリアードは先程とは比べ物にならないくらいの声量で言った。するとロッサは昔ここら辺にあの空中に分離する前のエルフの集落があったことを悟ってドリアードに聞いてみた。


「という事はこの辺に昔エルフの集落があったってこと?あそこからここは遠いけど。」


 ロッサの言う通り今空中に浮かんでいるエルフの集落とロッサ達が今いるこの森とはとてつもなく離れていた。


「おそらくですが長い年月によって風に流されていったのでしょう。せっかくですのでエルフの村があった場所に行ってみますか?」


 アリッサが間髪入れずに返事をする。


「ああ!頼む!」


 ロッサ達は他にやる事もなかったのでエルフの村があったと言われる場所に行ってみるとそこにはよく見てみると何故だかエルフの様な見た目の人間が住んでいるではないか。


「な、何故だ!空中の集落だけではなかったのかエルフ族は!」


 驚きが隠せないアリッサにドリアードは優しくこう言った。


「あの時空中に行かなかったエルフ達が生き延びているのですよ。」


 ロッサは村の中を見てみると耳の長いエルフもいれば普通の人間とも見れる人がいることに気付いた。


「ここにいるのはエルフだけなの?見た所人間もいるようだけど・・・。」


 するとドリアードはロッサの方を向き説明をしてくれた。


「あれはですね。ハーフエルフですのよ。人間とエルフのハーフでしてねぇ。不思議とエルフと人間の間にも子供が生まれるのですよ。」


 さらっとドリアードは言ったが実際異種族の交配はかなりすごい事なのである。そのせいなのか知らないがかなりの人数が村に住んでおりまだまだ発展途上中の村であった。


「ここなんかすごく環境がいいから住みやすいだろうなぁ。」


「エルフが人間と・・・。」


 そう呟くとアリッサはチラッとロッサの方に目を向け狙っているような視線を向けた。マナをそれを見るとアリッサの前に立ち塞がった。ロッサは苦笑いをしてエルフの村へ入って行った。すると一人のハーフエルフらしき女が話しかけてきた。


「旅人さん?ようこそエルフの村へ!」


 明るく話しかけてきたハーフエルフの女にロッサはこう答えた。


「あ、あぁ。僕達は冒険者をしながら旅をしているんだ!」


「へぇ、そうなんだ!良かったら村長の所へ案内するけど、来る?」


 そう言うハーフエルフの話にロッサは乗った。


「そうだね。村長の所へ案内してもらおうかな。」


「はーい!」


 ハーフエルフの女は軽やかにロッサ達を村長の家まで案内してくれた。


「村長ってどんな人なんだろうなぁ。」


次回へ続く・・・。


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