第37話 瀕死
グリエルの町から旅立ち数日が経っていたロッサ達は緩やかな旅を送っていた。するとそんな旅路の中でマナがこう言った。
「なんか最近何もないわねぇ。刺激が欲しいわ!刺激が・・・。」
グローリも退屈そうにマナの言った事に賛同するかのように言った。
「確かに何にもねぇなぁ。」
そんな二人にアリッサは諭していた。
「旅をしていたら何かしら起こるだろう。気長に待つんだな。」
一方ロッサはと言うと魔王の事に関してずっと考えていた。
「魔王か・・・。」
そんな風にして考えているとマナに考えすぎだと怒られた。
「まぁだ魔王の事で考えているの?過ぎた話なんだからいちいち気にしないの!その時になったらまた考えればいいでしょ!」
「う、うん。それもそうだね。」
マナの助言で魔王についてひとまず考えるのをやめたロッサ。そんな事をやっている内に次の町に着いた。
「ふわぁぁ。やっと着いたぁ。」
眠そうなマナにグローリが「起きろ!」と一喝を入れた。
そうして町の中に入ろうとすると空から勢いよく地面に何かが落下してきた。辺り一面が光り輝き爆発をして目の前にあった町が一瞬にして塵になった。
「一体何が、起こったんだ!」
すると落下地点の中心に黒い体に黒い目で人間の様にスリムな男がこちらに視線を向けてきた。ロッサの直感が冴えわたり皆に忠告する。
「こいつはやばい!皆逃げるよ!」
咄嗟に動いたロッサだったが目にも見えない速さでロッサの体を一瞬にしてその黒い男は貫いた。
「ロッサ!」
「か、体に風穴が空いちまったぁ。」
マナは二人よりもはるかにショックが大きかったのだろう発狂してしまった。
「いやあああああああああ!」
何が起こったのか分からなかったロッサだったが自分が一瞬でやられたのは確かだった。意識が遠のくなか仲間達が雄たけびを上げて交戦している音が頭の中に響いてきた。段々と薄れゆく意識の中ロッサは自問していた。
「あれ?僕は今何をしているんだろう。どうして、こんな事になっているのだろう。今何が起こっているんだろう。」
一方マナ達三人は黒い男に軽くあしらわれていた。
「ぐはぁ!」
「きゃあ!」
「うわっ!」
黒い男の目的はロッサだけでは無いらしく三人も標的に入っていた。一瞬にして殴り飛ばされた三人は一発で虫の息にされてしまった。黒い男が三人に止めをさそうとしたその時。どこからか眩い光が三人を包み込む。そしてマナ達の目の前に現れたのは光に包まれた人影だったのだ。その人影を見た黒い男は逃げるようにその場を立ち去った。
マナは薄れゆく意識の中人影が黒くて小さな何かに変わっていくのを見た後にマナは意識を失った。
数時間後。グリエルの町魔王ゾールの城にて・・・。
「う、うーん。」
なんとロッサは生きていたのである。他の三人も無事であった。
「助かったの?僕達・・・。」
「そうみたいだよ。」
マロンはそう言うとロッサ達が黒い男にやられた後見知らぬ光が黒い男を撃退したと説明をしてその光がロッサの傷を癒したとを伝えた。
「謎の光か。それにしてもあの男とてつもなく強かった。守れなかった。皆を・・・。」
ぐっと噛み締め後悔をするロッサ。その時扉が勢いよく開けられるとマナが飛び込んできた。
「ロッサぁぁぁぁぁぁ!」
泣きながらロッサに飛びついてきたマナにロッサは頭をなでながら宥めた。他の二人も後からやって来てロッサの無事を確認した。
「良かったなぁ!」
「何とか皆無事でよかった。」
皆で無事を祝っているところに魔王ゾールがやって来てこう言った。
「おー。生きてたかぁ。お前凄いな!ディアの野郎に襲われて生きてるなんてな!」
あの黒い男は悪魔族の魔王ディアだと言うのだ。ロッサはあの時の戦いを振り返りながら言った。
「あれが強すぎる魔王ディア。まるで歯が立たなかった。」
「だから言ったろう。強すぎるんだ!アイツは!」
するとロッサはある決心をしたようである事を言い出した。
「決めた!僕魔王になるよ!」
その言葉を聞いた皆は一斉に声を合わせて驚いた。
「な、なんだってえぇぇぇぇぇ!」
「そうは言ってもどうやって魔王になるかは分からないんだけどね。でもその時が来たら僕は魔王になる!すべてを守って見せる!」
改めて心に誓うロッサだった。
すると魔王ゾールが魔王になると言い出したロッサに焚きつけた。
「さぁ!魔王になると誓ったんだ。国でも興すか?!」
しかしロッサは今やりたいことを選んで言った。
「それも良いかもね。でも今は旅を続けるよ!」
「そうか。まぁいつでもこの国にやってくるといいさ。お前は私の魔力を探知して飛べるんだろう?いつでも会えるさ。」
「何かあったら頼るよ!その時はよろしく!」
そう言うと十分に魔王ゾールの城で休養した後また旅に出るロッサ達であった。
「魔王ディア強すぎるんですけど・・・。」
次回へ続く・・・。
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