第10話 やっと着いた東の国ブラウン
獣人の村で沢山休んだロッサ達は次の旅の目的地である東の国ブラウンに向かおうとしていた。村の長に別れを告げ、早速ブラウンへ歩もうとした時この前助けた少女がこちらに走ってきて旅の安全を願ったという御守りを作って来てくれた。
「これあげる!」
そう言うと少女から御守りを受け取り早速首に下げ少女に感謝を伝えるロッサとグローリ。
「また会おうねぇぇぇぇぇ!!」
ロッサ達は元気よく手を振ってくれた少女に対して手を振り返しまた旅に出るのであった。
「あの村の人達はとても親切だったね。」
ロッサが言うとグローリがそれに反論した。
「今回が良かっただけかもなぁ。次出会う亜人は凶暴かもしれねぇぜ?」
そう言うグローリに対してロッサは「そうだね」と答え進み続けていた道中ロッサはある事に気が付く
「ロウガに乗ればもっと楽に進めたんじゃ・・・」
ロッサの言葉を聞くとロウガが目を輝かせながら言った。
「あ、主様をこの背に乗せて走ると!いいのですか?!乗せても!」
そう言うと間髪入れずに元の大きな狼に戻り軽々とロッサとグローリを背中に乗せて走り出した。そしてロッサは後悔していた。
「こんなに楽な方法があったのになんでロウガに乗せて貰わなかったんだぁ。トホホ・・・」
後悔しているロッサにグローリが言った。
「まぁいいじゃねぇか!自分の足で歩いた分だけ旅は面白れぇってもんよ!」
そう言うがロウガに乗っていけば東の国ブラウンに向かうのは容易だった。
ロウガに乗って数時間。あっという間に東の国ブラウンに着いてしまった。ブラウンに入る前にロウガにまた小さくなって貰い関所らしき所へ入っていく。そして、自分達が冒険者である証のプレートを見せると快く国の兵士が歓迎してくれた。
「ようこそブラウンへ!」
兵士にそう言われた後ブラウンに入ると一行は驚いた。国の大きさは王都ステイルよりも小さいが活気があり、人々が色々な種族で構成されている国だった。人間に亜人が普通に道を歩いており完全に共存している風景がそこには広がっていたのである。普通に考えると獣人がいた村の近辺に国があるのだ。そんな近くの国に亜人がいないとは言い切れない。不思議じゃないと思ったロッサ達は一旦落ち着き、今夜泊まる宿を探そうとした時。見た目十五歳くらいの人間の女の子が話しかけてきた。
「ねぇねぇお兄さん達!旅人さんか冒険者さんだよね!うちの宿に来ない?この国でも有名で快適な宿なんだよ!」
ロッサの腕をグイグイ引いて国の入り口からさほど遠くない場所で人通りの良い明るい雰囲気の宿屋へ半ば強引に案内された。
宿の中に入ると女の子の母親らしき女性に女の子は言った。
「お母さーーん!新しいお客さんを連れてきたよ!!」
すると強引に引っ張られているロッサを見て女の子の母親はこう言った。
「リン!また強引に連れてきたんでしょう?まったくアンタって子わぁ。」
女の子の名前はリンという名前だった。
ロッサは宿を探す手間が省けたのでこの宿にしようと思い女の子の母親に言う。
「ちょうど宿を探そうとしていたのでちょうど良かったですよ!ね!グローリ?」
そう言うとグローリはロッサの言うことにすぐさま合わせた。
「あ、あぁそうだな!良かった良かった!」
それを聞くとリンの母親は「そうかい?」と言い快く向かい入れてくれた。
「うちは素泊まりで一日15Gだよ。ちょいと高めかもしれないけどその分ここで食事してくれたら何かしらサービスするよ!」
気前のいいお母さんにあてられてロッサ達はとりあえず十日分の宿代の150Gを支払うとグローリの腹が鳴ったので早速食事にしようと宿の食堂に向かった。食堂で食事を待っていると出てきたのは美味しい肉に野菜スープやお酒なんかも出てきて本当に美味しそうな食事だった。ロッサは転生してからお酒など一切飲んで来なかったので転生後初めてのアルコールにロッサは少し酔ってしまった。グローリは酒を飲んで食ってを繰り返し満足したのかその場で寝てしまった。やれやれと思いながらロッサはグローリを抱え自分達の部屋に向かうと中々いい感じの広さの部屋で上等なベットがあったのでそこにグローリを寝かせるとロッサもベットに寝転んだ。そしてロッサはマロンに話しかける。
「はぁ。食べたなぁ。久々にお腹いっぱいになった気がするよ」
「夢中で食べてたもんね!獣人の村でもちょっと気を使っていたでしょ?」
マロンに見透かされていたロッサは少し驚きながら言った。
「バレてたか・・・」
「Zzzz」
二人を乗せて走っていたロウガも疲れていたのかすぐに眠ってしまっていてそれを見たロッサとマロンも「寝ようか。」と言いすぐさま眠りについた。
翌朝。一同はブラウンの国を散策しようと色々な場所に行ってみた。酒場や冒険者ギルドにフリーマーケット等をやっている市場。裏路地やお城の前の観光名所。何故こんなにこの国を回ると言うと獣人の村にいる時ロッサはオリジナル魔法の探知魔法を習得していたのである。一定の範囲内であれば何がどこにあるのか分かる魔法でその魔法によると一つだけ邪悪な反応を探知していたのである。それをロッサは見つけ出したいと思い国を巡って散策していたのであった。だが邪悪な反応はオーラを隠しているのか見つからなかった。
そして邪悪な反応を見つけられずにいるとまた人通りの多い場所へやってきたロッサ達にとんでもいない光景が飛び込んでくる。髪の毛が白くて瞳が赤い見た目は小柄で首に枷を繋がれている。奴隷だろうか、少女の前で歩いている男に荷物を持たされている様でその光景を周りの人々は当たり前のように見過ごしているのだった。
「ここは奴隷制度でもあるのだろうか・・・」
ロッサの呟きが聞かれていたみたいで通りすがりの住人に小声で言われた。
「あまり奴隷の事に首を突っ込まない方がいいぜ。大抵金持ちが連れて歩いてんだ。何に使ってるかは知らないがな。北のスラムに行くとよく奴隷が売買されているんだと、金持ちが買うんだそうだ。」
そうロッサに言うと通りすがりの男はそそくさと逃げて行ってしまった。
「奴隷かぁ。世の中は厳しいなぁ。」
そんな事を思っているとグローリが宿に戻ろうと提案してきた。
「とりあえず宿に帰ろうぜ!もう夕方だ。おばちゃんの飯が食いてぇよ」
「そうだね。帰ろう。」
ある程度国の裏の部分を見た一行は宿に帰り飯を食い二日目を終えたのである。
「奴隷かぁ。はぁ。」
ロッサは夕方見た奴隷の事を思い出していた。無理もない転生前の寺井誠(ロッサ)はブラック企業でまるで奴隷のように働かせられていたのである。あまりいい気持ちにはなれないと思っていた。何とかしてあげられないかと思いつつ静かに眠るロッサであった。
「奴隷はきついよね。」
次回へ続く・・・
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