第5話 大きな仕事

 一夜明けて外を見ると外が騒がしくなっていた。人々が騒ぎだてていた所にグローリが慌てて部屋に入ってきて言った。


「お、おい!大変だ!王都のSランク冒険者がやってきたぞぉ!!」


 なんでかは知らないが王都からSランクの冒険者がやって来ていて、見た目が可憐で性格はクールそうで腰に剣をおろしている女がエルサドールの町にやってきたのだった。すると、宿の前に立ち彼女は言い放った。


「この宿に巨大なトロールを倒した冒険者がいるはずだ!早く出てきてくれないか!」


 そう言うとロッサを呼んでいるらしくグローリが早く表に出ようと急かしてくる。早々に宿の外へ出ると大声で叫んでいた女と目が合い女が話しかけてきた。


「お前がトロールを倒したという冒険者だな!そのオーラで分かる。なかなか強いではないか。」


 ロッサの体からオーラが出ているらしい。そんなことは置いといてロッサは彼女に返答した。


「ぼ、僕達がトロールを倒しましたけど何か用があるんですか?」


 そう言うと彼女は自分の名前を名乗った。名前はエリカだという。金髪の彼女はそう言うとロッサをスカウトに来たと話す。何のスカウトか疑問に思ったロッサは彼女に質問をした。


「スカウトって何のスカウトなんですか?」


 そう言うロッサにエリカが答える。


「王都ステイルにいる国王様の護衛だ。本当はSランクの冒険者がやるのだがギルドの噂でな、Aランク超の巨大なトロールをGランクの冒険者が討ち取ったというではないか!それならばと私自身の目で見てみて見込みがあるのなら私から護衛に推薦しようと思ったのだ。」


 エリカによる話が終わるとロッサは初のクエストをクリアした翌日にこんなデカい仕事を頼まれるとは思っていなかったので驚きが隠せないのと同時に困惑していた。


 ロッサはマロンに聞こえる程度の声で相談した。


「どうしよう。あまり目立ちたくないのにすごい事になってきちゃったぞ。」


 マロンはロッサに対して提案をする。


「うーん。でもまあ名を売るんだったら受けてもいいんじゃない?ここは逆に目立っていこうよ!」


 マロンに助言を貰ったロッサは渋々依頼を受けることにした。それではとエリカが乗ってきた馬車にロッサ達は乗り込み王都ステイルへと向かったのである。


 馬車に乗り込んで二時間ほど飛ばすと王都が見えてきて、エルサドールの町より数百倍の大きさで壁に囲まれている大きな国だった。王都に着くとすぐさま王様の所へ行き挨拶をした。王様がロッサ達に激励の言葉を贈った。


「お主たちが今回護衛をしてくれるという冒険者達か!護衛が成功したあかつきには盛大な報酬を授けようじゃないか。頑張ってくれたまえよ。」


 一同は跪き王様の言葉を聞き終わると城を出て来たるべき時間まで休息につくのであった。


 ロッサは気になっていたのだが護衛は何人でやるのかとエリカに聞いてみた。すると、エリカとロッサ。ついでにグローリが付いてきていたのでこの三人で護衛をするらしい。ロッサは三人で護衛をすることに対して驚いた。


「え、王様を護衛するのに三人だけ?」


 エリカは困惑しているロッサに向け返答をした。


「あぁそうだ。今回は遠い遠征ではないからな。本格的な護衛は三人だが王直属の兵士は周りに数十人いるから安心していいぞ!」


 ロッサはそれを聞くと少し安心した様子で答えた。


「良かったぁ。流石に三人だけではないよね!荷が重すぎるよ。」


 そんなに緊張することは無いとエリカに言われたが王様の護衛なんて初めてなので緊張する他無かった。


 するとエリカに話は変わるがと話しかけられおもむろに演習場へ連れていかれ魔法の適正が複数あるのではないかと見抜かれていたロッサ。前にも話したがロッサはこの世界にある七属性の魔法が使えるのである。それをエリカが複数の魔法適正があるのではないかと悟ったのである。エリカは小さな結晶を渡し言った。


「この結晶を軽く握って魔力を注いでみてくれ。そうすれば使える魔法の属性に色が変わるはずだ。」


 ロッサは渡された結晶を軽く持ち魔力を注いでみた。


「こ、こうですか?」


 結晶はすぐさま七色に光り輝きそれをみたエリカが驚いていた。


「な、なんと!全属性使えるとは、何者なのだお前は!王宮魔術師でも四属性が限界だというのに!」


 エリカは興奮しながら急に笑い出してこう言った。


「はっはっはっ!なかなか面白いではないか!私は貴様に興味が湧いてきた!私と一回戦ってみようではないか!どちらが強いのか確かめたくなった!さぁ!剣を抜くがいい!」


 そう言うと顔に笑みを浮かべながら剣を抜くエリカ。まあいいかとロッサも剣を抜く。同時に一歩踏み出し物凄い速さでぶつかり合う。カキンと金属音が鳴り響き激しい戦いが繰り広げられている最中ロッサは力のほとんどを隠していた。それを感じ取ったエリカがこう言った。


「本気でやれ!情けは無用!行くぞ!」


 確かに本気でやらないとエリカに失礼だと思ったロッサは次の一撃で決めようと決心した時彼女もまた一撃で決めようと剣技を繰り出した。


「剣技!鋼斬鉄(こうざんてつ)!!」


 上から振り下ろされた剣に白いオーラが纏われている。その剣の太刀筋をロッサは上手く受け流しエリカの剣を飛ばした。すぐさまとてつもない速さで剣をエリカの喉元に突きつける。その一瞬の出来事にエリカは驚きを隠せずにいたが、素直に負けを認めた。


「いやぁ、まさか私の剣技を軽々と受け流すとはな。さすがに参ったぁ。これからはロッサと呼ばせてもらうぞ!同じように私の事もエリカと呼んでほしい!」 


 ロッサは彼女の手を取り「よろしく!」と言いお互いの強さを確かめ合った途端後ろ側からガサガサと音が聞こえてきた。出てきたのは一部始終を見ていたグローリだった。


「いやぁ。すごかったなぁ。まさかSランクの冒険者に勝っちまうなんてよ!俺もちょっくら手合わせしてくれねえか!」


 エリカは快く了承しグローリと戦ったが流石にAランクとSランクの冒険者では力の差は歴然。成すすべなくあっという間にやられてしまったグローリ。


「ぐはぁ!やられちまった!強ぇなあ!」


 エリカはグローリと戦い終わった後グローリに助言をした。


「あなたもセンスはいいですが鍛錬が必要ですね。」


 そんなことをやってお互いに自分たちの強さを確かめ合い王様の護衛の時間まで待機するのであった。


「ロッサって強いんだなぁ・・」


次回へ続く・・・







































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