第2話 転生②

「転生ってあれか?別の世界で赤ん坊になって1から人生を楽しむっていう……」


「少し違うかな」


「違う?」


「そうだよ。私がいう転生って言うのはね、あっちの世界で別の体に魂を移してから行ってもらうことなんだよね。だから、どちらかというと転移に近いかな」


「なるほど」


「ってことで今から転生する種族を選んでね、で!」


「……なぜランダム…?」


「さっき私に意地悪したからそのお返し」


「マジか……」


 まぁ散々弄くっていた罰だと思うか…


「それで、どうやって種族を選ぶんです?」


「それはここの中にあるカードを一枚選んでもらうだけです。」


 そう言うと目の前に百枚はあるであろう数のカードが浮いていた。


「そういえば、種族っ何があるんですか?」


「王道だと人間種ヒューマン獣人種ビースト森人種エルフ山小人種ドワーフかな。たまにレアなのもいるけど………あ、魔物もいるからね?」


 そう言うと不敵に微笑んだ。


(魔物もあるのか………最悪直ぐに御陀仏だな)


「それじゃあ選んでね!」


 俺はそう言われて手前に浮いていたカードを手に取った。


(どうせ真剣に悩んで選んでもどれも分からないんだから考える必要はないよな)


「これにする」


「え~っとなになに……」


 俺からカードを受け取ったリラリア様は固まった。


「なんで……」


「どうしたん──」


「なんでよりによって『龍人種』なのよ!せっかくランダムにしたのに!」


「竜人種……?」


「龍人種よ!」


「それが何か問題あるのか?」


「『龍人種』って言うのはね、2000年前に滅んだ今では伝説の種族なのよ!そんな種族になったら……」


「なったら?」


「何もないんだけど」


「何もないのかよ」


「だって『龍人種』って滅んだけど今の時代だと最強種でもあるし……それに容姿端麗で頭脳明晰、ステータスが並外れとかいう頭可笑しいスペックしてるから……まぁ多少角が生えていたり尻尾かあるけど……」


「何でそれでも滅んだんだよ……」


「簡単ですよ。自分たちで作った魔道具が暴発して、それに巻き込まれて種族が滅んだのよ」


「うわぁ…」


 自業自得なんだな……


「それじゃあ種族は決まったので最後はスキルを選びましょうか。スキルは五つまで選べますので……ランダムで」


「……またランダムかよ」


「さっきは運がよかったみたいだけど流石に次はないでしょ」


 そう言うと先程のようにカードが目の前に現れた。それも先程の比でもない数万枚程。


「さぁ選べるもんなら選んでみなさい!」


 今度は自信があるのが胸を張って息巻いているが。


(胸は絶壁だから張れる胸はないと思うけど)


「いま変なこと考えませんでした?」


「いいえ、全くこれっぽっちも考えていません」


 俺は逃げるようにカードを選んだ。


(さっきのように手前のでも取るか。)


 そして手前にあった手頃なカードを選んだ。


「これにする」


「早いですね。まぁ先程のようになると思ったら間違いですk……」


 またもや俺から受け取ったカードを見て黙り込んだ。


「(もう良いです……)ボソッ」


「どうした?」


「(はぁ……)貴方が選んだカードは『武器創造ウェポンクリエイト』『異次元箱アイテムボックス』『火魔法Lv.1』『風魔法Lv.1』『隠蔽Lv.Max』です」


「……凄い…のか?」


「凄いなんて物じゃありませんよ……とりあえずこれを見なさい」


──────────

【スキル名】武器創造ウェポンクリエイト

【スキルランク】ユニーク

【詳細】無にして有を創り出すスキル。自身の思い描く武器を創造する。魔力を大量に消費するが、事前に創造するための素材を用いることで魔力の消費が大幅に下がる。

【消費魔力量】創造する武器による。(※初期創造に必要な魔力は1/5になる)

──────────

【スキル名】異次元箱アイテムボックス

【スキルランク】ユニーク

【詳細】全てを異次元の空間へと収納するスキル。これに収納出来ないものは無いらしい。

【消費魔力量】無し

──────────

【スキル名】火魔法Lv.1

【スキルランク】D

【詳細】火を生み出し魔法を使うことが出来る。レベルが上がることで使える魔法の種類が増えたり威力が上がる。

【消費魔力量】魔法の階級クラスによって変わる。

──────────

【スキル名】風魔法Lv.1

【スキルランク】D

【詳細】風を生み出し魔法を使うことが出来る。レベルが上がることで使える魔法の種類が増えたり威力が上がる。

【消費魔力量】魔法の階級クラスによって変わる。

──────────

【スキル名】隠蔽Lv.Max

【スキルランク】A

【詳細】自身の姿を隠したりステータスを隠蔽することが出来る。レベルが上がるほど見破られにくくなる。

【消費魔力量】10

──────────


「こんな感じです」


「こんな感じと言われてもなぁ…」


「つまり、貴方はユニークスキルを二つ持っていて、尚且つ魔法を使えて隠蔽まで持っています。これなら何処に行っても困らないですよ?あ、でも逝ったら流石に困りますね」


「あまり冗談に聞こえないんだが……」


「素の運は良いのに女運がないなんて可哀想ですね……」


(薄々感じていた所を突くなよ……)


「あ!そろそろ貴方をここに留めるのも厳しくなってきたのでそろそろ転生させても良いですか?」


「ああ」


「一応、お詫びとして私の加護を授けてあげます。それと『ステータス』と言えば自身のステータスを視ることが出来るので。それじゃあバイバイです」


そう言うと俺の周りは青白く光り輝き、景色が暗転した。


────────────────────

少し備考


スキルランク……下から順にF・E・D・C・B・A・S・ユニークとあり、上のランクほど希少で強いと言われている。

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