Column9 その発想はなかった! —— 「ジャイこ」
私が持っている書籍のなかに、『みんなで国語辞典! これも日本語』があります。
これは、国語辞典に載せたい語を一般募集して、『明鏡国語辞典』の編者である北原保雄氏が監修して作った、国語辞典風の本です。
初版が2006年に出ていますから、その時期に使われていた言葉(若者言葉や日常の言葉、学校での言葉、仕事場での言葉などの新語・新用法など)が掲載されていているので、もう聞かなくなってしまった言葉もありますが、今も使われている言葉を見つけることもあってとても楽しいです。
またこの書籍の一番の特徴は、大人はもちろん、中学生、高校生が書いた語釈を書いているところ。
当時、実際に使っていた人たちが語釈を書いているためか、瑞々しく、今読んでも古びたような印象がありません(私の感覚ですが)。言葉には流行り
大人たちは「若者言葉」を敬遠しがちですが、語釈を読んでいると「ちゃんと意味があるんだな」「彼らにとってぴたりとくる言葉なんだな」と分かるせいか、自然と受け入れる気持ちが出てくるのではないかと思います。
そして何より、この本に語釈を提供した人たちの感性がすごい!
大人たちの語釈も「痒いところに手が届く」みたいな感覚がありますが、中学生や高校生は自分たちが知っている言葉をしっかり生かして、「ある言葉」の意味を構成しています。長すぎてもいけませんし、短すぎてもいけない——国語辞典の語釈をきちんと考慮して書いていて、尚且つ読んでいる側にぐっとくる説明を付けているところがお見事です。
普通の国語辞典には、少数派のために載せられない言葉たち。知っている言葉もあれば、初めて知るものもあって、こんな言葉も生まれていたのだと思うと、人々は今ある言葉を使いつつ、しっくりくる表現を模索し続けているのかなと感じます。
では今回は、この書籍から気になった言葉を一つご紹介しましょう。人によってはくだらない内容かもしれませんが、良かったらお付き合いください(笑)
皆さん、「ジャイこ(もしくは『ジャイコ』)」という言葉をご存知でしょうか。すぐに答えを書いてもいいのですが、折角なのでクイズにしてみようと思います。
「考えたくない!」という方は、お手数ですが文末に向かって一気にスクロールして下さいませ。答えが書いてありますので、そちらをご参照ください。「答えを知っているよ~」という方は以下読まなくても良いですし、もしくは暫しの間お付き合い下さると幸いです。
「ちょっと考えてみたい!」という方は、少しずつヒントを出していきますので是非考えてみてくださいね。
<ヒント1>
お察しの通り、ドラ〇もんに出てくるキャラクターではありません。では、そのキャラクターにちなんだ名前なのか、というとそうでもありません。
<ヒント2>
多くは、学校にあります。
<ヒント3>
教室で使います。
<ヒント4>
黒板の付近にあります。
<ヒント5>
「ジャイこ」の「ジャイ」と「こ」を分けてみるのもポイントかもしれません。
さて、皆さん分かったでしょうか?
では、正解を発表します。
<正解>
*****
【ジャイこ】(『みんなで国語辞典! これも日本語』より)
「ジャイアント黒板消し」の略。普通の黒板消しの二倍はある。
*****
どうでしょう、当たりましたか? 知っていた皆さん、お付き合い下さりありがとうございます。
2006年にはあった言葉。Twitterで検索したら、2015年に投稿されたものを見つけました。この辺りまでは使われていたようです。
最近はどうなのでしょう。「ジャイこ」という言葉は地域によっても使われていたり、使われていなかったりするみたいなので、何とも分かりませんが「ジャイアント黒板消しある?」と言うよりも、「ジャイこある?」の方が言いやすいのは確かですね(笑)
ちなみに私は、「ジャイアント黒板消し」のことを「ジャイこ」という言葉を知った後に知りました。そもそも「ジャイこ」が、学校になかったんですよ~(笑)
何にせよ、沢山書いた後に消すのは楽そうです。
「ジャイこ」という略し方を考えた方、ナイスだなと思います。でも、最初「ジャイこ」という見出し語を見たときは全く分からなかったです(笑)
その発想はなかったー!
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