Column12 外来語の歴史——スペイン語

 外来語の歴史、次はスペイン語について語ろうと思います。


『日本語の世界2 日本語の展開』から、スペイン語が入って来た時期について引用いたします。


*****

 スペイン人が最初にわが国に漂着したのは、ポルトガル人の種子島漂着と同年の天文十二年と記録にあり、また、わが国に最初にキリスト強をお伝えたザビエルもスペイン人であったのであるが、実際に貿易関係が出来たのは文禄元年(一五九二)以降で、ポルトガルとの通商開始に比べると五十年ほど遅れている。

*****


 スペイン人が最初に日本に来たのが、「ポルトガル人と同じ年」と上記には書いてありますね。しかし、その点は事実かどうかは、今回資料が足りず調べられませんでした。すみません。


 一応『新 もういちど読む山川日本史』を開いて確認してみました。

 確かに「ポルトガル人に50年ほどおくれてスペイン人も肥前の平戸に来航し、日本との貿易に参加した」とは書いてあるのですが、「ポルトガル人と同じ年に日本に漂着した」ということは私が確認した限り書いていなかったので、多分別の資料を当たって見ないと分からないなぁという感じです。


 何にせよ、ポルトガルと比べて50年遅れて貿易が始まったのは、やはり言葉にも影響しているようです。その上、ポルトガルよりも15年ほど早く貿易を禁じられたこともあり、『日本語の世界2 日本語の展開』には「スペイン語から入った外来語はそれほど多くない」と書かれています。


 また、スペイン語はポルトガル語とよく似ていることもあって、どちらの言語から入って来たかどうか曖昧になっているのもあるのだとか。


 例えば「メリヤス」。これは「毛糸・綿糸などを機械で編んだ伸縮性に富む布地」のことです。(『明鏡国語辞典 第三版』より)

 もしかすると編み物をしている方だと、「メリヤス編み」と聞いたことがあるかもしれませんね。これはスペイン語の「medias」から来た説と、ポルトガル語の「meias」から来た説があり、辞書によって見解が違います。


 例えば、『明鏡国語辞典 第三版』ですと、スペイン語もポルトガル語も載せていますが、『新明解国語辞典 第八版』はポルトガル語しか載せていません。一方で『岩波国語辞典 第八版』は、スペイン語を載せているのです。面白いですよね。とはいえ、「メリヤス」という言葉を使う人のうち、ほとんどの人が由来を気にしないように思いますが……(笑)


 ちなみに、スペイン語の「medias」も、ポルトガル語の「meias」も、「靴下」という意味です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る