第15話 抗がん剤治療(テセントリクとアバスチン)に決める
10月19日(水)
妹1が、10/12に行ったS総合病院のF医師との面談の内容をラインに転送してくれた。癌センターに行く前に、聞いておけば良かった。失敗(-_-)
<2022.10.12 S総合病院 消化器内科・肝胆膵内科 F医師>
(9/28の検査の結果と、今後の話し。?は聞き取れなかった部分)
医:腫瘍が結構大きい、1.5センチくらいはある・肝臓の半分いかないくらいの大きさ・転移は今の所認めていない、と言う様な状況です。なので、検査結果としては、肝臓腫瘍、悪性である可能性が疑わしいと言う状況です。
腫瘍のマーカーと言うものを見ると、??よりも少し高くなっているので、肝臓に出来る????で良いんじゃないかなと言う結果。
肝臓に腫瘍ができる人は、何かしらの原因がある人が多い。
今後の治療を考える上では、肝硬変としてどれくらいの数字があるかと言う事が重要になる。これって言うのは、クレードA、B、Cと言うのがある。それぞれ点数で決まる。Aは基本的には手術や、そういうのが出来る。Bは、頑張ればできるけど結構副作用とかが出る。Cは移植するしかない。盲腸はない?????????アルブミンの数字が3.1を超えているので、?????血液を固める成分が?????で6点。グレードAなので、つまり肝硬変としてはまだ悪くない。大きさも大きさなので、治療すると言うと、手術を目指す感じ。ただ、結構大きいので、手術となると、恐らく肝臓を半分くらいは切る事になる。肝臓って、どれくらい取れるかと言うのは、その人の肝臓によって違う。元気な肝臓は、ある程度とっても大丈夫だけど、肝硬変がある人・悪い人だと、ちょとでも取るとダメって言う事があって、取るという事になると、ICG検査と言う特殊な検査をする事になる。
「他の方法で」と言う事だと、肝臓の手術でいうと、針をさして焼くと言うのがあるが、それは3センチ以下でないとできない。他に、TACEと言って血管をつめて、ひょうろうぜめにする方法で、これは結構熱が出るかも知れない。完全に消すわけではない。残ってしまう。後は、飲み薬の治療。点滴の抗がん剤治療。この場合は、3週間に一回通院が必要。今、前立腺の方でやっているものよりは、大変な注射になってしまう。
母:大変と言うのは副作用ですか?
医:副作用は、前立腺よりはあるかも知れないですね。具体的には、どこか血が出やすくなったり、食欲低下、血圧が上がる、特殊な物で言うと、免疫チェックポイント阻害薬という難しい名前なんですけど、身体の免疫を高める様なタイプの治療に入る。そうすると、変に身体の免疫が高まると言う副作用があり、具体的には糖尿病になったり、変な肺炎(薬による肺炎の事で間質性肺炎と言う)、甲状腺(ホルモンを作っている所)の機能が低下する。他にも、いろいろと沢山ある。そういった物が、前立腺の時よりも起こりやすくなってしまう。前立腺と同時にやっていいのか解らない所なので、そこは先生と相談してみる必要がある。どちらかと言うと、前立腺よりは、こちらの方が優先になると思う。
今、症状が出ていないので、このまま症状に合わせた治療で、様子を見ていくと言う事もできる。その方が、身体にドカと言う負担はかからない。
母:前立腺の注射をすると、2日くらいはダラダラしている。6月までは健康で、転んでから…云々(過去の関係ない話を説明している)
医:どういう方法が良いかなと言う事を、ご家族で話し合ったり出来ましたか?
母:今日の結果でと思っていた。
医:そうですね。今日の結果で言うと、腫瘍のサイズが大きいので、手術となると大手術になる。肝臓的に、そもそも沢山取れないよと言う事だと、残ってしまう。後は、TACE。これは、腫瘍が大きいので、腐る範囲が大きいと熱が大量に出たりとか、肝臓機能がドカっと悪くなる。後は、身体への負担を考えると?????でも治療をすると言うと抗がん剤治療をやるのが一番、治療の選択種の中では、僕がいろいろと患者さんを診ている中では、今言った3つの中では、一番負担が少ない事が多い。使う薬は、セテントリクとアバスチンという薬。一つは免疫を活性化する薬と、後は、血管を止める。両方、副作用が違う。副作用が出る確率は高くはない。出ない人もいる。出ちゃうと酷く出ちゃう。
妹1:副作用が出て、やっぱり止めますと言う事は出来ますか?
医:出来る。でも、それが難しい。止めても、止まらない。免疫の方なので、止まらない。アクセルをふんだ状態で、坂を転がり落ちている状態なので、副作用が変わらない可能性がある。そこがすごく心配な所。ただ、多くの人は、前立腺癌の副作用みたいなのはないが、大きいのがドカンと来る。
母:ほっとく事はできないですよね。
医:ほおって置くと、他に影響がでる。治療できるかと言うと、今が、一番出来る。もっと後にすると、体力が落ちて、治療のタイミングがなくなる。治療をやるなら、直ぐに。まっていると、体力が低下するかも知れない。
母:私達では解らないので、先生にお任せという感じになると思います。先生が良いという事を受け入れたい。副作用は、仕方ないよね。
妹1:途中で止めて、副作用が出ても、数ヶ月したら治まる事もありますか?
医:それはあります。大きな流れとしては、手術と抗がん剤治療で大きく違う所は、得られる効果が違う。手術は、大変だし、かなりキツいけど、治る可能性もある。抗がん剤は、付き合って行く治療になっていく。
妹1:それをすると、今以上に悪くならない様に、ストップする為の抗がん剤と言う事ですか?
医:出来れば小さくしたい。
妹1:なりますか?
医:なる事もある。
妹1:やってみないと解らないって事ですか?
医:やってみないと解らない。効果がなくなったら、別の薬になっちゃう。効果が、高い薬から試していくので、後になる程、効果が低くなる。はやり、抗がん剤の治療は一番効く物からやっていく。一番効く物が効かないと言う事は、他の薬も効かないと言う事になる。
母:肝臓にそういう物があるというのは…43才の頃に…云々(また、過去の関係ない話し)
医:身体の免疫のタンパクをはかると、原因がわかる。抗がん剤治療が一番良いかと思います。
妹3:前立腺癌で注射をする日と、肝臓の治療の日と、一緒にやりますか?
医:そういう患者さんもいますが、重い方を優先して治療をして行く事が多いです。父の場合は、ホルモン療法なので、平行して出来るかも知れません。それは、僕の方から、前立腺の先生と相談してみます。
10月20日(木)
妹1と、父の治療の事で、電話で話す。「TACEの説明って、しっかり聞いた? TACEって方法もあるけど・・・・」と言うと、妹1は、「いろいろと考えたり、調べたりしたけど、お父さんに、苦しい思いをさせたくない。緩和ケアが良いのでは?と言う思いが強い」と言っていて、考えの違いに気が付いた。そうだったんだ。妹1は、癌の治療で苦しんだ友達がいるらしく、副作用で苦しむのと、緩和ケアで穏やかに過ごすのと、穏やかの方が良いのでは? と思っている様だ。
確かに、T総合病院に入院していた頃は、私も、そう思っていたけれど、骨折の最悪の状態が過ぎ、自力歩行が出来る様になり、食欲も、元気も出来てきた父をみると、抗がん剤治療も耐えられるのでは? と希望が出てきた。もっと、生きていて欲しいと言うエゴの様な気持ちも。どちらの考えが正しいのかは、解らない。けれど、父は「また北海道に行く」と言う目標を口にしていた。だから私は、父自身は、まだ希望を捨てていないと思っていたし、誰よりも前向きだと思っていた。
妹1は「お父さんに、緩和ケアと言う方法もあると言う事を、誰も言っていないじゃん」と言う。「お母さんが、抗がん剤治療と決めたら、そうするしかないんだし、緩和ケアで死んじゃったら、緩和ケアをすすめた自分の責任みたいに言われるから、私からは言いたくない」とも言っていた。
「そうだ。誰も、父に緩和ケアと言う方法もある事を、しっかりと説明していなかったな」と思った。それも、ズルをしている様で、もし父が死んだ時、言わなかった事を悔やみたくないなと思い、母に相談してみようと思い、電話をする。
私:お父さんには、緩和ケアと言う方法もあると言う事を、伝えなくて良いの?
母:言わなくても良いでしょう。だって、あと2年は生きていたいと言っていたし。人に聞くと、先生が言うほど、副作用は出ないみたいだよ。
私:でも、そういう選択もあると言った方がいいんじゃない。
母:解ったよ。「何もしないで、そのまま寿命まで生きると言う事も出来るよ」と、言ってみるよ。
私:抗がん剤治療で、いろいろと副作用が出て、また、寝たきりになって、紙オムツになっても、お母さんはお父さんに、無理な事はさせたりしないよね?
母:そんな事、させる訳ないじゃん。
ああ、この会話、録音しておけば良かった。
家族と言っても、それぞれ、考え方に違いがある。父の気持ちも大事だし。それらを、うまくまとめながら、父にとって一番良い事を選択して行ければ良いなあと思うが、難しい。
10月22日(土)
もし、父が抗がん剤治療をしたとすると、どんな副作用があり、そのダメージはどの位なんだろう。医師の説明以外に、経験者の声が聞きたいと思い、ネットで調べてみる。「高齢者 肝臓癌 抗がん剤治療 副作用」「テセントリク アパスチン 副作用」「肝臓癌 高齢者 プログ」。でも「コレ!」と思う記事はなかった。求める物は、具体的な記録と、やって良かったと言う声。ポジティブな気持ちになれるもの。でも、そういうプログは、なかった。
父が行う予定の治療は、テセントリクとアバスチンという点滴薬。切除不能な肝細胞がんに対する初めてのがん免疫療法で、2020年秋に、中外製薬が免疫療法として初めて肝細胞がんに対する有効性を示した併用療法。
癌センターの医師が「今は、良い薬があります」と言っていたが、コレの事なのだろうか? でも、やはりどんな薬でも、副作用が気になる。副作用を緩和する為に、また薬を飲む。薬付け・・・・。
誰か、身近な人で抗がん剤治療をした人や、その家族の声を聞きたいな、と思うが、そういう人はいない。
買い物の帰りに、同じマンションの方に声をかけられた。「お父さんの具合、どう?」と。父が転倒した時に、その話しをしたんだった。この方も、高齢のお母さんの介護をされていて、ご自身も乳がんを経験されている。それで、肝臓癌の事と、治療方法で迷っている事を言うと、「私は、しない方が良いと思う。兄が、胃癌で余命4ヶ月と言われて、何もしないでいたけど、それから7年生きたよ。今年の1月に亡くなったんだけど。最後は、脳に転移もしちゃった」と言っていた。「しない方が良い」と言われて、また、悩む。何もしなかったから転移しちゃったのなら、それも怖いな。
夕方、妹3からラインが来た。父が、母と一緒に、歩行器で、近くのドラックストアーまでお買い物に行ったとの事。だいぶ、歩ける様になったし、行動範囲も広がって来たんだなあ、と嬉しく思った。けれど、ここまで機能が回復しているのに、抗がん剤治療のせいで、また寝たきりの状態に戻ってしまったら、可哀想だ。父自身が、後悔する事はしたくない。いろんな考えや思いが、グルグルグルグル回っている。
10月23日(日)
今日も、夕方、スーパーでお買い物をしている写真が送られて来た。カートを押しながら。買い物カゴには、卵が入っていた。
10月24日(月)
S総合病院に行く日。今日は、先日のセカンドオピニオンに行った事を報告して、今後の治療方法を決定し、抗がん剤治療にするなら今週中には入院する予定になっている。
結局、家族の中の誰も、強く「緩和治療にしよう」と主張する人はいなくて、もう、流れに任せて、予定通りにすすめる様な気配だ。
朝の8時30分。姉妹のグループラインに「自宅で待機しているので、癌センターでの内容でわからない事があったら電話下さい」と伝える。
11時30分に、「科学療法に関する説明書」と言う冊子の写真がラインに添付されてきた。それきり、報告の連絡がこなかった。何かあったのかな? 妹達が、忙しくしているかも知れないので、こちらから電話をするのも悪いと思い、ひたすら待っていた。そして、夕方6時頃、やっと妹1から電話が来た。何と、また、病院の手違いがあり、いろいろとあって連絡するのが遅くなってしまったとの事だった。
<その内容>
今朝は、早めに病院に行ったが、だいぶ待ち時間が長かった。それに疲れて、父と母は、診察と説明が終わったら二人で先に帰宅した。すると、治療に必要な採血が足りなかった事が発覚して、明日から2泊3日で抗がん剤治療を開始する筈だったのに、来週に延期になってしまった。何て事! 妹1と妹3は、その後、入院の説明や、会計の説明などを受けて、3時過ぎまで病院にいた。
妹1は、治療が始まるからと思って、予定をくんで実家に帰省してくれていたのに。ホントに、凡ミスが多い病院だ。それについて、誰も、病院に文句を言わなかったらしい。こういう事って、そこにいない第三者の方が、文句を言いやすい時もある。私が、電話で言いたいが、妹達が我慢したのだから、私も口を押さえよう。でも、腹の虫が治まらないので、今、言いたい事を、ここに書き出す。電話をしているつもりで。
そちらで肝細胞癌の抗がん剤治療をする予定の家族の者ですが、少しお話したい事があるので、お電話致しました。
8月に転倒して、救急車でこちらの病院に搬送して頂き、痛みを訴えたのにもかかわらず、帰されて、数日後に再来し、レントゲンとMRIで肋骨骨折がわかりました。けれど、日増しに体調が悪化したので、T総合病院さんで診て頂きましたら、腰椎圧迫骨折もしていた事が判明し、そちらで入院させて下さいました。何故、最初に救急搬送された時に、きちんとした診察をして下さらなかったのでしょうか? T総合病院さんでは、血液検査の検査が異常だった為、MRIで内臓の検査をして下さり、肝臓癌が見つかりました。以前から、前立腺癌でS総合病院で診て頂いていて、毎回血液検査もしていたのに、何故肝細胞癌を早期に発見できなかったのでしょうか? そして、今日、抗がん剤治療をする為の診察に行き、25日から治療に入る予定でいたのですが、治療に必要な採血を忘れていて、治療開始が延期されてしまいました。この日に合わせて、父も、家族も心の準備をしたり、遠方から予定を合わせて介護に駆けつけたりとしています。父も、一回の採血ですんだ事を、また、痛い思いをしないといけなくなりました。
骨折の見逃しや、このようなミスが続き、不安な気持ちが拭えません。
父の場合、高齢ですし、かなり大きな腫瘍なので、抗がん剤治療を決心するのに、家族はとても悩んだし、心配な事が多々あります。今後、治療中に、例えば、投薬の量を間違えるとか、種類を間違えるとか、様子の変化を見落とすとか、そういう事があるのではないかと思ってしまいますが、考えすぎでしょうか?
今は、いろいろな情報が、簡単に広まってしまう時代です。故意に、事実と違う情報を流すつもりはありませんが、聞かれれば、正直に答える事になると思いますので、以後、こういった事が、絶対に起こらない様に、お約束して下さい。
ふ~・・・・。実際には電話をしていないけれど、書き出したら、少し、スッキリした。
10月29日(土)
妹1が、実家の汚れた壁の掃除をしてくれている。父の抗がん剤治療のスタートが遅れた為、実家に滞在する期間が延び、今の所、父の介護も、そんなに手がかからず、時間がたっぷりあるので、出来る事を探してやってくれている。何と言っても、約40年分の汚れなので、大変だろう。時々、掃除のビフォー&アフターの写真が送られ来る。そして、明日・明後日と、床のリフォームの為、業者の方が来るらしい。
夜、妹3から、抗がん剤治療の日程と、使う薬のパンフレットの写真が転送されてきた。
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