第40話 ムラムラメロメロ大作戦!

 こうして、先生と第一研究室に入ってみたんだけど。


「うっ、わぁ……」


 ラオザム教授の趣味丸出しな、何とか調っていう、貴族が使っている金ピカな家具ばかりだった。


「…………」


 先生は思いっきり不快な顔をすると、魔法で売却値段を調べ、


利益レナート売却ヴァンド利益レナート売却ヴァンド


 淡々と売り飛ばしていった。


「こんなもんか。あいつが使っていたとなると、大したもんじゃねぇな」


「…………」


 いや、100万以上、儲かりましたよね? 大したもんですよ?


「おチビ、運ぶの手伝え」


「あっ、はいっ」


 第一研究室を出て、隣の第二研究室へ。


 いつも使っている黒のシンプルなデスク、チェアー、ベッド、ビーカーなどの研究道具を先生と一緒に運んだ。


「あー、落ち着く」


 先生はイスにどかっと座った。



 そんな先生を見つめ、私は思う。



 どさくさに紛れてだけど、好きだと言ってもらえた。


 ここは完全防音室。


 とうとうチャンスの時が、来たんじゃないか!


 ムラムラメロメロ大作戦を決行する日が!


 閃き力は衰えたけど、日々の散策で実は見つけていたのだ! 媚薬になるという、ローナセイボリアという植物を!


 ローナセイボリア。

 十年に一度しか生えない薬草だ。


 セイボリアというハーブの亜種で、同じような爽やかな香りなんだけど、食用じゃないのは胃腸薬、食用は肉料理によく使われる。


 が!


 なんと!


 ローナセイボリアは!


 催淫効果があるのだー!


 あっはっはー!


 が! しかぁし!


 十年に一度しかない生えないローナセイボリア、通称“気まぐれ草”は、希少価値があるとされていて、無断で採取はできない。


 魔法植物管理センターに確認し、許可をもらわないといけない。


 で、少し前に魔法電話MTしたら、



『え!? ミッチェル・クロウって、あの“謎の天才ベビー”のクロウさんですか!? クロウさんであれば許可なんていりませんよー、どうぞ採っちゃってください! あ! 今度、そちらに行く用があるので握手してください!』



 と、興奮気味に言われた。


 いやいや、もっと厳重にいきましょうよ。

 あと、私は有名人じゃないですから。

 それに、ちゃんと根っこから取って、少しもらったら寄贈しますからっ。


 ローナセイボリア、葉の先端に催淫効果があるらしい。確かに、うっかり魔法で鼻を塞ぎ忘れて葉を切ったら、それだけで体が熱くなった。


 あれはヤバい! だけど、良い!


 よって! こっそり制作しておりました!


 細かく切って粉末状にし、ファメール粉という食用粉、粘度の高いリョ糖液と一緒に混ぜる。混ぜる。とにかく混ぜる!


 そして、小さく丸め攪拌かくはんにポポポーイ! 先端に凹凸できるまで撹拌かくはん


 こうして、できました! 命名! ムラムラ糖! 


 見よ! このフォルム! 完璧!


 そして!



 先生、頭が疲れる+金星糖キンセイトウだと思って食べる×ムラムラする=私をガバリンチョ。



 という式が完成する!


 ふはははー! さすが私だ! 先生の事になると閃きも冴えている!


 さてさてー、先生がいつも金星糖キンセイトウを入れている瓶と全く同じものに、ムラムラ糖を入れまして、さっきお引越しする際に入れ替えたのです!



 時は、来たー!



***



 あとがき。


 コメディ入りまーす、すいませーん。


 みんな頑張ったからね、楽しくいきたいです。


 あ、お気づきでしょうが、こんぺいとう→きんぺいとう→きんせいとう→金星糖、です(笑)


 ……ネーミングセンス、ください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る