第41話 え?

 よーし! 大作戦決行! って、あ! 先生がどっかに行ってしまう!


「先生! どこへー!」


煙草フューモ


煙草フューモは体に悪いからやめましょうー!」


 ガチャリとドアを開けた先生、その先に、


「キャー! シューラー教授よー!」


「教授ー!」


「…………」


 女性陣、ワラワラキャッキャ。


 海藻教授だった頃とは、雲泥の差だ。

 というのも。


 先生は第一研究室教授になった事により、私がいつも口酸っぱくお風呂に入ってください! と言っていたこともあり、毎日お風呂に入って髭も剃ってくれるようになった。


 おかげで、先生のイケオジ度が爆上がりし。


「ねぇっ、あのイケオジ誰!?」


「バカッ、シューラー教授よ」


「え!? シューラー教授ってあんなにかっこよかったっけ!?」


「ラボに来た当初はあんなだったよ」


「ヤバくない!?」


「ヤバいよね!」


「…………」


 通りすがりの女性たちも色めきたっている。


 ふっ、だが、甘い! 

 こういう時こそイアリちゃん命名『ミッチーバリア』を、出す時!

 食らえ! ミッチーバリア!

 私は先生の周りをぐるぐると回った。


「教授ー、デートしてくださらなーい?」


「…………」


 ボンキュッボン女性教授、私は眼中にない模様。

 みんなラオザム教授か! 小さすぎて見えなかったってか!

 だが、甘ーい! ミッチーバリアはたった今! 進化した! 行くぞ! ジャンピングミ——。


「へあっ!?」


 飛び跳ねる前に、先生に両脇を抱えられ、持ち上げられた。


「女はこいつで足りている」


 そーだそーだー! 足りているんだー!

 でも、身長差あり過ぎて、私は宙ブラリンチョなんだー!


「えー? そんなペチャパイのどこがいいんですかー?」


「にゃっ!? 女性の良さは、胸の大きさで決まらなーい!」


「胸なんざ揉みゃあデカくなる」


「そーだそーだー! 揉めば……、え?」


「つーわけで、今からこいつの胸をデカくすっから。じゃあな」


 先生は私を抱えているのに、器用に両手の中指と薬指でドアノブを挟み、ドアを閉め、鍵を閉めた。


 ……え? ちょっと待って、もしかしなくても、私ヤバい?


「わっ!」


 奥の寝室コーナーにやって来ると、そのまんまポーンとベッドの上に投げ出された。


 …………え?


 え?


 先生は私に覆い被さると、白衣を脱ぎネクタイを緩め始めた。


 ……え?


「おチビ、最初に言っておく。俺はもうすぐ六十だが、性欲は強い方だ」


「はい、……え?」


「今まで素っ気なくして悪かったな、その分、可愛がってやるからな」


「はい、…………え?」


「そういや最近、金星糖キンセイトウを食ってなかったな。久々に食うか」


 先生はサイドテーブルに置いてあった瓶に手を伸ばそうとした。


「あー! 先生! それは食べない方がいいです!」


「あ? 何でだ」


「それは、金星糖キンセイトウもどきの、私が作った媚薬で——」


「ほぉ」


 先生はニヤリと人の悪い笑みを浮かべ、ムラムラ糖が入っている瓶を手に取った。


「形、大きさ、色、さすがおチビ、金星糖キンセイトウそっくりだな」


「それは、どう、も?」


 先生はキュッキュと銀色の蓋を回して開け、ムラムラ糖を摘み、口に入れた。


 ……え?


「硬さ、味も、完璧だな」


 ガリガリと次々に食べていく先生。


 ……え? もう、五粒以上食べちゃったよ?


「——あー、熱くなってきた」


 ですよね。


「色々バッキバキになってきた」


 ですよね。


「お前が俺のために用意してくれたんだ、これを使って、気持ちよくなろうな」


 ムラムラ糖を歯で挟むと、先生は眼鏡を外し、青いワイシャツのボタンを外し始めた。


 ……ですよね! そうなっちゃいますよね! いや、私が作ったんだけどさ!


 荒く熱い息をもらしながら、顔を近づけてくる先生もかっこいいけどさ! 半端ない色気だけどさー!


 眼鏡を外した先生もかっこいいけどさー!


 でもさー! キャー!



 ***



 翌朝。



「イアリちゃん……、私、一気に大人の階段を上っちゃったよ」


「え!? もう!?」


「……アイファ、早くないか」


「体力ある内にヤって何が悪い」




 ***




 あとがき。


 ハッスルオヤジ、アイファ(笑)


 こんな感じで終わりましたが、次が最終話です(ペコリ)


 

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