第25話 「ミッチーと私はラブラブなんだからぁー!」
「イアリちゃん、ギブギブ! 苦しいよー!」
段々と強くなるイアリちゃんの腕の力に、白旗を上げ背中を叩いた。
「こんぐらい我慢しんしゃい! どれだけ心配したと思ってるの! ねぇ、シューラー教授?」
イアリちゃんは廊下の方を向いた。でも、先生は見えない。
「合わせる顔がないってさ」
オネット教授が苦笑しながら廊下から顔を出した。
でも、合わせる顔がない? なして?
「任せてミッチー!」
体を離し、白衣の裾で豪快に涙と鼻水を拭いたイアリちゃん。
「合わせる顔! 作ってやるから!」
「うん? うん、ありがとう?」
合わせる顔を作る、が意味わかんないけど。
そう思っていると、イアリちゃんはずかずかと廊下に行き。
「何もしてないんだから、堂々とこっち
「うおっ!」
先生の背中を蹴ったみたいだった。よろけながら、先生が医務室の中にやってきた。
「イアリ、ちょっと酷いんじゃあ……」
「確かにミッチーには何もしてませんが、私は辛かったんです! あの時は色々と吹っ飛んでいたから何とかなりましたが! 落ち着いてみると、ミッチーとの付き合いがたかが数年、なんて、言われたら……」
イアリちゃんはポロポロと泣き出した。
「……そんなこと言ったんですか? 先生」
「……否定はしない」
「その人とのっ、親密度なんてっ、時間で決まるわけじゃない! わかってるけどぉー! けどぉー! ミッチーと私はラブラブなんだからぁー!」
そう言ってさっきのように泣き出したイアリちゃん。
いや、うん、とっても嬉しいよ、ありがとう。
けど、恋人のオネット教授がいる前で、ラブラブはどうかと思うよ?
そう思い、オネット教授を見ると、イアリちゃんをそっと抱き締め、背中をポンポン。私には爽やかウインク。
気にしないで、ってことかな? ならば。
「そうです! 私とイアリちゃんはラブラブなんです! 先生も大好きですが! 負けないくらい私たちの想いは熱いんです!」
熱説しながら、布団をバフバフ叩いた。
それを見た先生は、口を開けたまま固まり、しばらくして、ホッとしたような呆れたようなため息を吐いた。
「完全なる敗北、だね? アイファ」
茶目っけたっぷりにオネット教授が言うと。
「……お前も俺も、とんでもない助手を持ったな」
と、先生は笑った。
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