第18話 そう、思っていたんだ(ジェン視点)

 そして、あれからジョリー先輩に延々と植物と魔法薬理学の魅力について語られ、僕らは方向転換をした。


 魔法薬理学者を、目指すと。


 あのラボで、この二人と、働きたいと。



 ***



「……大変じゃなかったですか? 方向転換」


「うん、大変だった。でもね、ジョリー先輩の言う通り、物理と薬理学は似ていてね、活かせるものもあった。無駄にはならなかったよ」



 ***

 

 

 そして、猛勉強の末に、僕らは無事に入所できた。


 すぐ先輩方はやってきて、祝福してくれたんだ。


「おめでとう! 青年と青年!」


「ありがとうございます」


 ディック先輩はあの時と同じように、草で汚れたような白衣と、髪に葉をたくさんつけていた。


「祝いに“俺の助手”という贈り物を用意しておいたぞ!」


「……はい?」「……は?」


「この人ね、この間の論文で教授になる事が決まったの。大丈夫、安心して。私もとしてサポートするから」


「え、えーと。あなたも助教では?」


「うん、だけどね」


 ジョリー先輩は少し大きなお腹を、愛おしそうに撫でたんだ。


がいるから、敢えて助手に落としてもらったの」


「お腹に、お子さんが?」


「うん」


 少し恥ずかしそうなジョリー先輩に。


「わっはっは! いい事づくめだな! 良い時に来たな! 青年オンザ青年!」


 豪快に、嬉しそうに笑ったディック先輩。


 この二人から学べるなら、僕らも幸せだ。


 悪い事って重なるけど、良い事も重なってくれる。

 人生って捨てたもんじゃないな。たくさんの事を学ばさせてもらおう。




 










 そう、思っていたんだ。

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