第5話 うん! 美味不味い!

「よし! やったるぞー!」


 私は大研究広間にやってきた。


 ここは、研究道具から装置まで一式揃っている。紫外線照射装置や、天秤、薬包紙など薬学に必要なもの全部!

 しかも! 防音防火防水エトセトラ。よっぽど、世界を爆発させる程の実験でなければ、びくともしない部屋なのだ!


 さてさて、オートドライデシケーターに入れといた薬たちを取り出すか。

 まず、『Te』とラベルの貼られたチコちゃんと、『Kz』とラベルの貼られた、クチアちゃんが粉末状にされてある瓶を取り出した。


 さらにー。


「こんにちはー、チスちゃーん」


 敢えて減菌じゃないシャーレに入れといた、チスちゃんことチスプランクトンを手に取った。

 そして、みんなを仲良くビーカーに入れ、私開発『これで苦いお薬がダメな子もノメール』液を入れた。撹拌機かくはんきの下にセットし、スイッチオン。


 プロペラにブインブインかき回され、あっという間に赤紫色の、『ビッグボインジュース』完成!


 ビーカーを持ち、そのまま。


「ん、ん、ん!」


 腰に手を当て、飲み干した。


「うん! 美味うま不味まずい!」


 果物のような甘酸っぱさ、生野菜のような苦さに、魚のワタのような独特な味がミックスされている。

 『ノメール』液は、いいのは最初だけ。最初だけすごく甘いの。でも、飲み干した後に本来の味がやってくるの。


「お薬は、苦いけど、大切、ということを知ってもらわなきゃね! お?」


 大胸筋と小胸筋が痛み出してきた。これは効果抜群……。


「——ギャー!」


「どうした!? ミッチー! って、へばぁ! 何これ!」


「イアリちゃん……」


「え、まさかこれ、胸?」


「そう……」


 私の胸が、廊下まで伸びるほど長くなった。大きくならず……。


「つーか、よくブラが破れんかったね」


「イアリちゃん胸をツンツンしないで……。いつ大きくなってもいいように、開発したの、伸縮自在ブラ……」


「ミッチーは本当に天才だねー」


「イアリちゃん、縄遊びみたいに胸を揺らさないで……。何がダメだったんだろう……。材料も分量も間違ってないはずなのに……」


 頭の中で数式を分解し、数字や記号の羅列を作った。


「……わかった」


「原因わかった?」


「うん。を基準として作ったからダメだったんだ……。私は、普通の人より小さいから……」


「Aマイナスだもんねー」


「そんなサイズないよ……」


「アハハッ。それより早く縮めなさい、この飛び出た胸をっ」


「そこに落ちてる瓶を拾ってー」


 私は伸びた胸で、床に転がっていった解服薬の瓶を指した。


「胸でつつくなっ」



***


 あとがき。


 オートドライデシケーターは、全自動防湿庫、のことらしいですよ?


 そして、伸びる胸、


「実に面白い」


 ……すいません、言いたかっただけです(苦笑)


 でも、伸びる胸「実に面白い」と思ってくれた方、おりましたら、フォローなどポチしてくださると、いつかミチコが事件を解くかもしれません(笑)

 

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