第2話 「盛ればいんじゃね?」

「アハハッ、ミッチー可愛いー」


「イアリちゃん、頭撫でないで、私もう二十八だよ……?」


「撫でやすい位置にあるのが悪い!」


 イアリちゃん、172センチ。私、148センチ……。


「ホンット可愛くて好きだわー」


「嬉しいし、私も大好きだけどさ……」


「そんな可愛いミッチーに提案してあげよう! あの海藻教授を落とす方法を!」


「先生は海藻じゃないけど……。方法って?」


「ミッチー天才なんだから、ばいんじゃね?」


「何を?」


「胸を」


「どうやって?」


「薬で」


「……なるほど」


 私はポンと手を叩き、頭の中で開く。

 薬を作る材料や分量を。


「女性ホルモンに効くチチコエンドウ9.2グラム、植物性エストロゲンが多く含まれているクチアケザクロ7.6グラム。それを粉末にし、培養してくれるチスプランクトン4.3グラム掛け合わせれば、いける!」


「……前から思っていたんだけどさ」


「なーにイアリちゃん」


「その植物知識、どこでどうやって覚えたの」


「え? イアリちゃんも読み込んだよね? 『魔法植物全集』」


「いや、読んだけどさ。主な植物しか覚えないじゃん? 普通。チチコエンドウとかさ、脇役じゃね?」


「何を言ってるのイアリちゃん! チコちゃん大事だよ!」


「ダチみたいに呼んでるし……」


「だってさ! 女性ホルモンに大切なエストロゲン! 四十代からどんどん減っていくんだよ!? 更年期を迎えた時にはっ、すっからかんになってるかもしれないよ!?」


「ウチらまだ二十代じゃん」


じゃないよ! だよ! もう! だからっ、今のうちから若々しくきれいでいるためにっ、クチアちゃんでエストくんを摂取するのは大切なんだよ!」


「ダチ増えたし……、なんかダチ食ってダチ摂取みたいでなんだけど」


「植物は友だち! 怖くないよ!」


「いや、うちの気分の問題でさ……」


「それに! それにだよ!? チコちゃんは! 植物界被子植物真正双子葉類しんせいそうしようるいマメもくマメ科マメ亜科の中でっ、一番女性ホルモンに効くすごい子なんだから!」


「…………」


 チコちゃんの魅力を、伝えられたと思う。

 なんかイアリちゃん、口を開けて固まっているけど。


「おーよしよし、ミチコは本当に植物が好きで詳しいんだなー、お姉ちゃんは嬉しいぞ」


 イアリちゃんに抱きしめられ、大きなお山二つに顔が埋まった。って、なんか、チコちゃんと私、合体されてる!?


「イアリちゃん! 私はミッチェルー!」



***



 あとがき。


 ミチコの(笑) ちょっぴりだけ賢いとこをお見せできたでしょうか?


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