【完結】塩×砂糖=恋〜天才助手と海藻教授の愛答〜

冥沈導

第1章 恋とは数式のよう

第1話 私を見てー!

「せーんせっ、先生ってばー」


「……何だ」


「本ばかり読んでいないで、私を見てくださいよー」


 先生は私を横目で見た。


「見たぞ」


見たじゃなーい!」


 研究室にて、白衣を着て分厚い薬学書を読んでいる先生に向け、地団駄を踏んだ。

 先生こと、魔法薬理学教授、アイファ・シューラーさん。瓶底眼鏡、ボサボサで黒緑色の海藻みたいな髪、剃らない髭。


 みんなは先生を「隠キャ」だの、海藻みたいな髪に掛け「加齢臭ならぬ加齢藻」だの、あれこれ酷いことを言うけれど、私は知っている!


 先生は、隠キャじゃなくて、薬学オタクで、加齢臭しちゃうのは、お風呂も寝食も忘れて研究に没頭しちゃう、すごい先生だっていうことを!


 何故なら!


 私は! 四歳の時から先生の助手をしているからだー!


「えっへん!」


「何がえっへんだ、邪魔だ、おチビ」


 のっぽな先生は立ち上がると、しっしと手を払った。


「——せんせー! 私を見てー!」



 ***



「ミッチー、また振られたのー? これで何回目ー?」


「1952.5153回……」


「後ろの点5回は何」


「寝ぼけてお父さんと間違えた0.2031、寝言で告白していたらしい 0.3122……」


「ぶっは! あんたらしいねー!」


 隣で歩きながら大笑いしているこの子は、大親友のイアリ・ドレイユちゃん。

 金髪ポニーテールにピンクに染めちゃった白衣を着て、化粧もばっちり決めている。見た目は派手だけど、明るくて相談に乗ってくれるとっても良い子なんだ!


 そして! 私と同じく恋する助手!

 ただ、違うのは。


「イアリちゃんは、どうやって教授からオーケーもらったのー?」


 教授と恋人だということ……。


「そんなん決まってんじゃーん」


「何々!?」


「ボディアタックよ!」


 イアリちゃんは、白衣を肌けさせ、胸元を見せた。

 赤い派手なブラからはみ出そうな、大きなお山が二つ。


「…………」


 自分のを見てみた。……山じゃなかった、平地だった。


「……うわーん! 大きくなりたいよー!」



***



 あとがき。


 まだ、賢くない、ただのおバカチビちゃんです(笑)


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