第2話
最上風磨は磯子でスペイン語の先生をしていた。サボルには味、カサには家、トロには牛って意味がある。
風磨は暑寒別天売焼尻国定公園にやって来た。
読み仮名クイズを芳川健人に出すことにした。
同地は1990年(平成2年)8月1日に暑寒別道立自然公園と天売焼尻道立自然公園を統合して日本国内で55番目、北海道内で5番目に指定された国定公園。公園区域は暑寒別山系と雄冬地区の海岸部、
暑寒別山系では110を超える高山植物が確認されており、固有種であるマシケゲンゲ、マシケオトギリなどのほか、キバナシャクナゲ、チングルマ、シナノキンバイ、エゾツツジなどを見ることができる。群別岳、天狗岳、雄冬山などの山頂や稜線部にはコケモモ-ハイマツ群落が発達しており、この中には道南地方とは隔離分布しているイワナシの生息が確認されている。雨竜沼湿原は山地型湿原であり、中央部をペンケペタン川が蛇行している。100以上の池塘が点在し、水面には浮島が見られる。湿原性植物と高山性植物が混交して生息しているのが特徴になっている。天売島は大部分がササの草原になっており、西海岸の海食崖地域ではウミネコ、ウミガラス、ケイマフリ、ウトウなどの海鳥類が3月から8月にかけて大規模なコロニーを形成する。焼尻島ではに約5万本のイチイやミズナラなどが天然林を形成している。
芳川は工学博士だ。職場は五霞にある。
サーブリック記号は面白い。
第一類は手を伸ばす=TE、∪
つかむ=G、∩
組み合わせる=A、♯
第二類は選ぶ=ST、→
位置決め=P、g
第三類は保持する=H
避けうる遅れ=AD
休む=RE
これが全てではない。
風磨と芳川は1971年(昭和46年) - 留萌高等学校、夏の甲子園出場(0-1 県立岐阜商業高校)した年に生まれた。2人とも51歳だ。
2022年ははじまったばかりだ。
1月4日
医事会計システムや電子カルテシステムがサイバー攻撃によって「ランサムウェア(身代金ウイルス)」に感染していた留萌にある山根病院でシステムが順次復旧し、約2か月ぶりに通常診療を全面再開した。
院長の山根健太はサイバー対策班の渡辺明美にぞっこんだった。
1月5日
内閣官房は、午前8時7分頃に北朝鮮から弾道ミサイルと推定される飛翔体が発射されたと発表。防衛省は、落下地点を日本海沖の排他的経済水域(EEZ)外と推定。アメリカインド太平洋軍は、飛翔体について弾道ミサイルとの認識を示した上で、「同盟・友好国と緊密に協議している」と発表。内閣総理大臣、藤本天音は会見で昨年来北朝鮮が連続してミサイルを発射していることに遺憾の声明を出した。
家庭も省みず仕事に生きる、49歳の介護士、原野梨央。仕事においてはケアマネージャーに選ばれ、プライベートでも娘の結婚が決まるなど、順風満帆に見えた彼女だが、突如物忘れが激しくなり、めまいや幻覚といった不可解な体調不良が襲う。
夫の清史郎に促され、渋々忙しい仕事の合間を縫って山根病院を訪れ診察を受けた結果、森歌子医師から若年性アルツハイマー病という診断を下される。知らないうちに自分の体内で起こっていた受け止めがたい現実に直面した彼女は、錯乱し自暴自棄になり、病院の屋上から飛び降りようとするが、医師の必死の説得により何とか思いとどまる。
そして、屋上から階下へ戻る階段の途中で座り込み、清史郎と話し合い、2人は涙を流しながらも病気と向き合う覚悟を決める。
風磨と芳川は留萌市に留まることにした。
バスが燃やされたり、列車が脱線したり恐ろしいことが相次いでいた。
「留萌から出たら良くないことが起きそうだな」
風磨は言った。2人はロビーでニュースを見ていた。バスが燃やされた事件の続報が入ってきた。
園田って観光客が焼死したらしい。
「怖かっただろうな」と、風磨。
「テロリストの仕業だろうか?」
「脱線の方は分からないが、爆破の方はテロだろうな」
風磨たちは留萌市海のふるさと館という留萌市大町にある博物館である。
留萌市が総事業費7億6000万円を投入して1989年6月10日に開館した博物館で、建物は鉄筋コンクリート造の地下1階地上2階建て、延べ床面積は2025平方メートルとなっている。
黄金岬付近のかつては日和山やのろし台として使われていた高台上にあり、1階の常設展示室にはニシン漁で栄えた留萌の歴史などに関連する所蔵品350点が展示されていて、2階には展望ラウンジやレストランがあり日本海を展望できる。
「キレイな海だな」と、風磨。
「最上も十分キレイだよ」
「うげー吐き気がする」
「冗談だ」
展望ラウンジの階段を降りながら、芳川が「寄りたいところがある」と言った。
「何だ、風俗か?」
芳川は風俗マニアだ。大宮の南銀、歌舞伎町、西川口、いろいろ行っているらしい。
「コロナなのに行かねーよ」
「で、どこだよ?」
「山根病院」
「アンガールズのキモい方がいるのか?」
「アンガールズは両方キモいぞ」
山根健太って院長は旧友らしい。
「そーいや、留萌出身だったな」と、風磨。
2人は埼玉にある短大で知り合った。
レンタカーのミニパジェロに乗り込んだ。
芳川はミニパジェロを発進させた。
赤信号のとき、風磨はクイズを出した。
『暑寒別天売焼尻国定公園』と書いたメモ帳を見せた。
「何て読むか分かる?」
「しょかんべつてうりやぎしりこくていこうえん」
芳川はすんなりと読んだ。
難読語探偵芳川ここにあり!
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