第12話 お名前


受付嬢「それでは、こちらの登録申請書に、必要事項を書いてくださいね」

受付嬢「あっ、代筆は必要だったかしら?」


ねぇね「大丈夫です。私が書きます」


受付嬢「そう? それじゃ、お願いしますね?」



そんなやり取りの後、登録申請書を読み始めたねぇね。


そんなねぇねをタダ見ているだけのワタシとおにぃ。


ワタシは、生まれてこのかた、教育というモノを受けていないので、文字を読めませんし、書けません。


(まあ、前世の記憶を取り戻してからは、日本語とか、英語なら少しぐらいは分かるけど・・・)


おにぃは、多少なら文字を読めるみたいですが、書けるのは自分の名前だけみたいです。


ねぇねはスラムに来るまではかなりちゃんとした教育を受けていたみたいで、読み書きは完璧です。


ちなみに、おにぃとねぇねには、ちゃんとしたお名前があり、


おにぃのお名前は【マルコ】で、お歳は15歳


ねぇねのお名前は【シエル】で、お歳は13歳


らしいです。


ワタシはかなり小さいときにスラムに捨てられていたみたいで、名前があったのかすら分からない状態です。



ねぇね「とりあえず、名前と特技、アピールしたい場合は得意魔法とか書けばいいみたい」

ねぇね「どうする?」


おにぃ「なるほどな。それじゃ、得意魔法は書いておこうか」


ねぇね「いいの?」


おにぃ「オレの得意魔法っていったって、普通の火魔法だけだしな」


ねぇね「じゃあ、書いておくね」


おにぃ「よろしくな」



そんなやり取りを見ながら、ちょっと焦り始めたワタシ。


(あれ? ワタシのお名前、どうすればいいの?)

(まさか、【おチビ】で登録はしないよね?)



そんなワタシの不安をよそに、ねぇねが書き終えたワタシの登録申請書を見せてきます。


ねぇね「おチビちゃんのお名前は【アミ】にしておいたわ。お友達って意味なの」


(え? ワタシのお名前だよね? ワタシに相談とかは?)


そんな感じで、ねぇねの独断先行で、ワタシのお名前は【アミ】に決まってしまったのでした。


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