第8話 町のお店へ


その日から、毎晩寝る前にはお湯で体を洗い、朝はお着替えをしてお洗濯をすることにしました。


ねぇねもおにぃも、身ぎれいにすると見違えるようになり、履物を見なければ、スラムの住人とは思えません。


(もう少しお金が溜まったら、靴も買い替えよう)


ちなみに、その日にワタシが【想像創造】で創り出したモノは、


【湯船 FRP製 120×70×80】


これにねぇねの魔法でお水を張り、おにぃの魔法で温めてお湯にしてお風呂に入ったのです。


翌朝は、湯船に再度お湯を張り、その中でお洗濯をしました。


その日は朝から【想像創造】で


【石鹸】


を創り出し、洗濯にこれを使いました。


(とりあえず石鹸で、体だけじゃなくて、お洋服も洗っちゃうことにしましょう)



そして洗濯物をねぐらに干したら、今日は、また例の親切な町のお店にはちみつを売りに行くことにします。


(1日間隔をあけたから、またはちみつを採ってきても、そんなに不思議じゃないよね?)



今日もまずは裏口からスタートです。


ゴンゴンゴン


おにぃ「すいませぇ~ん。買取お願いしま~す」

ねぇね「すいませぇ~ん」


しばらくすると、以前と同じ、ふくよかな女性が裏口から出てきました。


女性「はいよ。あら? あんたたち、随分と見違えちゃったじゃない」


ねぇね「えへへぇ~、身ぎれいにしてみました」


女性「うんうん、いい心がけだね」

女性「普段から、そうしていれば、きっといいことがあると思うよ」


ねぇね「はい」


女性「それで、今日は何を持ってきたんだい?」


おにぃ「今日もこれ、甘い蜜です」


女性「おとといのヤツと同じかい?」


おにぃ「そうです」


女性「それはいいね。また見せてもらっていいかい?」


おにぃ「もちろんです」


ねぇね「お願いします」


そんな感じで前回同様、別の器に移し替えながら重さを量ってくれる女性。


女性「今回は102gだったから、204リルでいいかい?」


おにぃ「それでお願いします」


ねぇね「ありがとうございます」


女性「じゃあ、これね」


おにぃが小銀貨2枚と、銅貨4枚を受け取り、ねぇねがボロボロの器を受け取ります。


このタイミングで、ワタシは女性に話しかけてみます。


「すいません、ちょっとよろしいでしょうか?」


女性「ん? なんだい? おチビちゃん」


「あの、ワタシたち、身ぎれいにしたんで、お店に入ってもいいですか?」


女性「ん~、キレイになってるし、他のお客さんに迷惑をかけないのなら、いいわよ」


ねぇね「ホントですか?」


おにぃ「ありがとうございます!」


「それじゃあ、また蜜が手に入ったら、お店の正面からお願いにきますね?」


女性「ああ、蜜は大歓迎だからね。期待して待ってるよ」



そんな感じで、次回のはちみつの取引の予約を取り付けることができました。


それも堂々と、お店の正面から入っての取引です。


(スラム脱出計画、まずは第一歩です!)


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