第6話 貨幣価値とお買い物


おにぃ「すげぇ~、オレ、小銀貨なんて初めて触ったよ~」


ねぇね「私にも触らせて~」


スラムのねぐらに一旦戻ってきたワタシたちは、今、はしゃいでいる真っ最中です(ワタシを除く)。


(貨幣の価値が分からないから、小銀貨とか言われても、よく分かりませ~ん)


そんなワタシの気持ちを知ってか知らずか、ねぇねとおにぃはハイテンション。


おにぃ「早速買い物に行ってこようぜ」


ねぇね「美味しいモノ買お~」


という訳で、今度はお買い物にお出かけな3人です。


「何を買いに行くんですか?」


ねぇね「私、お肉食べたい!」


おにぃ「オレもオレも!」


「じゃあ、町のお肉屋さんに行くの?」


おにぃ「いいや。町のお店はオレたちにモノを売ってくれないからダメだな」


「え? それじゃあ、どこでお買い物するの?」


ねぇね「スラムにある屋台のお店に行くのよ」


「屋台のお店?」


ねぇね「そう。何でも売ってるのよ」



そんな会話をしつつ、歩くこと5分程。


やってきたのはスラムの外れ。


町との境目に近い、比較的綺麗な場所にある、掘っ立て小屋のようなお店です。



店主「よう、坊主ども、なにか要りようか?」


おにぃ「肉を売ってくれ」


店主「肉だぁ? お前ら、金はあんのか?」


ねぇね「今日はあります。大丈夫です」


店主「そうか、それじゃあ、これなんかどうだ? 野ネズミの干し肉だ」


おにぃ「それ、いくら?」


店主「そうだな~、この大きさなら、3リルってとこかな」


ねぇね「買います、それ買います!」


店主「即決とは豪勢だねぇ~。それじゃあ、はいよ。銅貨3枚と交換だ」


おにぃ「ついでに黒パンも3つくれ」


店主「黒パンは1個1リルだ。合計で6リルだな」


おにぃ「それじゃ、これで」


店主「まいど~」



そんな感じでお買い物が進められていきます。


(う~ん、1リルでちっちゃい銅貨1枚、それが手のひらぐらいの丸パン1個分の価値ですか)

(とすると、1リル=1ドル(120~140円)ぐらいかな?)


ワタシの中で、貨幣価値が徐々に明確になっていきます。


(ということは、さっきのはちみつは、大体2万円ぐらいで売れたってこと?)

(結構なお値段ですね~)

(ねぇねとおにぃが驚くわけだ~)



そんなことを思いながら、買い物を終えてねぐらに戻るのでした。


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