第5話 お金をゲットしよう!


ねぇね「なに? この透明な、これはガラス?」


おにぃ「中に入っているのは、蜜か?」


「そうです。はちみつです。ビン入りのはちみつなのです」


おにぃ「うへぇ~、すげぇ~」


ねぇね「はちみつ? あの甘味の?」


「そうです。これを売って、お金を稼ぎましょう!」


ねぇね「これを売るの? このまま?」


おにぃ「それは止めておいた方がいいかもな」


「え~、なんで~?」


おにぃ「こんな立派なビン、見たことないからだよ」


ねぇね「そうね。このビンはたぶん危険だと思う」

ねぇね「私達が持っていったら、お店の人から疑われるわ」


おにぃ「スラムの子供が盗品を持ち込んだってね」


またもやスラム出身という障害が立ちはだかった模様です。


「う~ん、それじゃ、別の入れ物に移し替えて、小分けにして売ればどう?」


ねぇね「それなら、大丈夫かな?」


おにぃ「お店を間違えなければ、ね?」


「お店を間違える?」


ねぇね「私達に優しくしてくれるお店と、そうじゃないお店があるの」


おにぃ「まあ、どの店も、オレたちが入れるのは裏口だけだけどな」



そんなやり取りの後、ボロボロのおちょこのような容器に、はちみつの一部を移し替えます。


(1200gのビンの空きぐわいから、100gぐらい移したのかな?)


そしてそれをおにぃが持って、3人でお店にお出かけです。



スラムを出て、10分ぐらい歩いた場所にあるそのお店は、正面から見ると、雑貨屋さんのようでした。


「ココのお店は優しいんですか?」


ねぇね「そうね。たまに余り物をくれるお店よ」



早速裏口に回り、営業スタートです。


ゴンゴンゴン


おにぃ「すいませぇ~ん。買取お願いしま~す」

ねぇね「すいませぇ~ん」


しばらくすると、ふくよかな女性が裏口から出てきました。


女性「はいよ。あら、あんたたちかい。今日は何を持ってきたんだい?」


おにぃ「今日は、これです」


ねぇね「甘い蜜を持ってきました」


女性「あら! 蜜だって? それは凄いじゃないの」

女性「ちょっと見せてもらっていいかい?」


おにぃ「もちろんです」


ねぇね「お願いします」


女性「マジりっけがないねぇ~」

女性「ちょっとなめてみてもいいかい?」


おにぃ「どうぞ」


女性「それじゃ・・・」

女性「うん、味も見た目も雑味がなくて、いい蜜だね」

女性「これは買取でいいのかい?」


おにぃ「はい。買取でお願いします」


ねぇね「あっ、器は返してほしいです」


女性「はいよ。それじゃ、別の器へと移し替えながら、重さを量っちゃうね」


おにぃ「はい」


そして、一旦お店に戻っていった女性


その間にいろいろ聞いてみます


「ねぇね、あの女性は優しいの?」


ねぇね「そうよ。普通なら、私達のお話なんて聞いてくれない人ばっかりだもの」


おにぃ「そうだな。買取だって、他の店だと、こんな風にちゃんと量ってくれないよな」


そんな会話をしていると、女性が戻ってきました


女性「大体98gってところだったよ、1gあたり2リルで、合計196リルでどうだい?」


ねぇね「そんなに?」


おにぃ「そ、それでお願いしまっす!」


どうやら高値が付いたようで、ねぇねは驚き、おにぃは感動している様子です。


(通貨の単位はリルなんだ、覚えておこ~)


そうこうしているうちに、持ってきたボロボロのおちょこをねぇねが受取りました。

そしておにぃが、ちっちゃな銀貨っぽいモノ1枚、ちょっと大きな銅貨っぽいモノ9枚、そして、小さな銅貨っぽいモノ6枚を1枚1枚数えるようにして手で受け取りました。


(貨幣価値が分からないからアレだけど、とにかく、現金ゲットだぜぇ!)



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