第17話 吠えるひな、逃げる美佐

 ひなは大型犬が大っ嫌いになり、出会うと吠えまくる始末。

吠えるだけなら未だしも、体格差などものともせずに追っ払おうとする。そうなると、誰も近寄って来てはくれない。

明は色々試してみるが、三つ子の魂百まで……これを直していくのも難儀だが、それより美佐の方が大問題。ひな以上に大型犬を怖がるようなってしまった。ひな吠え、美佐は知らぬ間に逃げる。

ここでお説教を為たところで、ドツボにハマる事は目に見えている明は、

「美佐、一番怖いのはどんな犬?」

と優しく問いかけてみた。

「大型犬は全部だけどもね。特に黒のラブラ?ドール。黒が怖い」

だからか……。ひなは黒の大型犬に異常に吠えまくる。

これは、格下の美佐を守っている

訳で、まずは美佐を何とかしないと……。

「美佐ね、ひなは美佐を守っているんだよ。健気だね。まだ生後三ヶ月ぐらいでさ。美佐も少し頑張ってみない?」

「えっ! 守ってくれてる?

嘘……そっかぁ、私が逃げるからだね……でも怖いんだよ」

「じゃぁ、まずは飼い主さんと仲良くなろよ。必ず挨拶して、触れて良いか聞いてみて、良ければお尻辺りを撫でてみるのはどう? それから絶対犬と向かい合わない。横に立つこと。いい子だねと言いながら腰を下ろして撫でるんだよ。間違っても上から頭を撫でない事」

「うーん、お父さんが見本見せてくれたら出来るかも」

 翌日、明は此れぞざっ・お手本のような対応を見せた。するとひなは吠えるのをやめて、お互いに匂いを嗅ぎ始めた。

明の真似をしながら美佐もやってみると、ひなは落ち着いている。

「ひな静かだね……。美佐も少し判ったでしょう? 美佐ならやれるからね」

そう言いながら、半歩進んだと信じたい明だった。





 

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