第16話 衝撃! お散歩デビュー②

 さあぁひな行こうねと、優しく促すも全く歩こうとしない。

初めての外にかなりビビっていて、匂いばかりを嗅ぎまくっている……。

本には匂いは出来るだけ嗅がせない、マーキングはさせないと書いてあり、美佐はその通りにしようと躍起になっていた。

電柱は特に何処のわんちゃんがオシッコ為ているか判らない。

美佐はキレ気味にリードを引っ張る。

「さっきから駄目駄目言いっぱなしだね」

 明も流石に呆れている。

習性だから仕方ないし、ひなのやりたいことを見てみようと提案したが、

美佐は受け付けない。

「それじゃだめなんだって!」

と声を荒げる。険悪ムードになりながら、やっとのことで公園近くまで来たときの事。

 突然! 本当に突然! ゴールデンレトリーバーの成犬が物凄い勢いでひなめがけ飛び出して来た。

なんとその子はノーリード。明がリードを思いっ切り振り上げると、ひなは宙を舞い、明の肩ぐらいまて上がりナイスキャッチ! ではない! 今度は明の体にじゃれるじゃれる……。飼い主さんが走って来て……リードに繋がれやっと大人しく為った。

美佐は平謝りの飼い主さんをジロリと睨んでいるように見えたが、実はただ単に固まっているだけだった。

 明は、あおざめている美佐の肩を軽く抱き寄せ、

「驚いたね。でもひなも美佐も他のわんちゃんに慣れないとね」

辛うじて頷く美佐だったが、ひなは駄目だった。翌日からそこに来ると、尻込みして動かなくなってしまったのだった。


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