第13話 やりました! 

 日々物凄い勢いでひなは成長している。

 鳴き声も赤ちゃんわんちゃんから子犬らしく為り、動きも物凄く活発!


 それに比べ美佐は自分の不甲斐なさが悔しい。

 明達に遅れること三日で、やっとお座りを為てくれるようになった。そうだここからだ。焦らなくて良いんだ。

そして今日もひとりと一匹は練習に励んでいるのだった。

こんなに頑張っても美佐のランクは下から二番目。まだひなが上。これを何とかしたいが……なかなか難しい。

この間明に指摘された事があった。

一、何かと騒ぎ過ぎ。

ニ、声が高い。

そして一番大事なのは、ひなより先に目を逸らさない。

序列はほんの些細な事で決まってもしまうと何度言われたことか。

 今日もひたすら練習。

ぼーろを見ながらひなは自然人間お尻を下げていく。

「お座り!」

やった! 一発クリアからの伏せ。ぼーろを目線の下に下げて行く。ひなちゃんは目で追ってます。

「伏せ!」

やらない! 目で追うけどやらない。お座りでぼーろー貰っているからなのかやってくれない。

そしてなにも言って無いときは伏せる。

もう顔つきが生意気! 流し目と言うか横目でチラッと見てからのフンってか! 絶対馬鹿にしている! 悔し~ほとほと疲れ果てた美佐はいつものように、

「休憩するよ」

と言いながら寝そべると、ひなは当たり前のように美佐の横に寝そべる。

うん? まさか、これって……美砂は慌てておきあがると、試しにお座りからのぼーろを、目の前から下げて、

「休憩~」

と言って見た。するとひなは何事も無いようような顔して伏る。 嘘っ! 心臓が壊れそうだ。もう一回、今度はぼーろなしで、伏せをさせてみた。

「休憩~」

伏せた……伏せてる……ひなに天使が舞い降りたのか……。

それからはぼーろあげてもあげなくても、お座りからの伏せを為てくれるようになった。

一週間毎日頑張ったお陰だね!

ねっ! ひな! 後は待てだけだよ。成果をご披露した美佐とひなを褒めまくりの男ふたり。

美佐はひさしぶりに泣かない夜を迎えることができたのである。


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