第10話 ひなと美佐躾けるのはどっちが難儀?

 毎日一緒にいる美佐が、兎に角すぐに抱っこ為てしまう。

ひなの甘え上手と言うよりも、傍から見ていると完全に舐められているとしか思えない。

ピヨンピヨン飛べばすぐ抱っこ。

足にスリスリすれば抱っこ。

それこそ「ワン」吠えれははい~とばかり何処に居ても飛んできて抱っこ。ひなの中では完全に順位付けが付いてしまった。

第一位明、第二位健、第三位ひな、栄えある最下位が美佐。

 明は困っていた。これから色々と躾けるのに最早結果は目に見えているのをどうやって逆転させるか! それにはまだ順位付けされてない……義母を巻き込むしかない。本当申し訳ない。其れにしてもまずは、美佐にしっかりしてもらわなくてはならないのだが。

いやはや、ひとりと一匹の躾とは

想像はしていたものの、こりゃ難儀だぁ。足元をチョロチョロ為ているひなと目が合う。

「ひなちゃん? 頼むよ……お母さんの言うこと聞いてね」

「ワンワン」

「ひなが鳴いてる!」

飛んできた美佐を押しとどめると

「こんなんでいちいち抱っこ為てたら、あなた一日何も出来ないでしょ!」

明がひなを撫で始めると、コロンとお腹を見せてた。

「私が撫でると、逃げるか、手を甘噛みしてくるよ」

やっぱりそうなるよな。

「明日から躾けに入ろうか。だからぁ今日から抱っこの回数減らしてみてよ。良い?」

頷きながらもう抱っこしようと為ている。

「仕事行くからね。約束守ってね」

「ラジャー」

虚しくラジャーが明の背中におぶさってくる。

がっくり肩を落とし家をでる明だった。


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