第9話 濡れるがどうした! 屁でもない!

 あれから毎晩のようにひなに起こされている。 

家族の中で一番早く起きる美佐だが、放っておけなくて寝かしつけにゲージに向かう。

明は最早好きにさせるしかないと悟り寝たふりをしていた。

 そんなある夜中、突然ひなの泣き声が止んだ。また抱っこでもしているのだろうと思っていると、

「よしよし、一緒に寝ようね」

確かに美佐はそう言った。

寝返りを打つふりをして美佐を見ると、ひなを抱っこしたまま布団に入ってきた! おい! それは拙い! かなり拙い! 必ずやられてしまう。

「お~どうした? うん? 連れて来たの?」

白々しい演技。

「はい! 寝てるふりしている誰かさんと違って、私は優しいのよ~」

バレてたかぁ。いやそこは今問題ではない。兎に角ひなをゲージに戻さなくては! 

「あのね、まだトイレトレーニング出来てないでしょ? 布団駄目になるよ? 良いの?」

「構わない! 高くない布団だし」

仕方ない。されれば諦めると思い

寝ることにした。……結果は

予想通り掛け布団の上でしていた。

「ああ~したね~」

ああ~したね~じゃないよ。

判っていたでしょ? 美佐ちゃん! 如何するの? これ……。

「とりあえず、洗ってみるかぁ」

「洗うの? 出来る?」

笑いながら頷く美佐のこう言う所に明は惚れたのだ。

でも、今は少し切ない気持ちになってしまう明だった。

 

 ゲージ派の明と意見が合わない。いつもはだいたい明の意見に従う美佐だが、今回は如何してもゲージに入れて飼うのが嫌だと

言い張っている。

自由にさせてあげたい。一緒に寝たい。それには結構高いハードルを越えないとならない。と明にしつこく言われている。

超難関ハードルはトイレトレーニング。これを乗り越えたら勝ったようなもだったが、結局情に流されてしまった。だからこそ、やれることはやると言う意気込みを見せたかったのだ。

やれば出来る!いざ!お風呂場へGO!。後からチョコチョコ付いてくるひながいじらしい。






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