第8話 明は……美佐をよく知っている

 あらら二冊もではないだろう?

明は、美佐が健の妊娠期間と出産してから半年の事を思い出していた。あれは酷かった。本当……。

 美佐は能天気のように見えて、石橋をたたき壊すぐらい用心深く怖がりなのだ。育児書なんて一冊あればいいと、たかを括っていたのが大間違いだった。美佐の欲しい答えが載っていないと、ネット、本屋で育児書を買い漁る。

これは載っていたけど、あれは書いてない。そうなるといても立ってもいられないのだ。

気が付けば、なんと育児書だけで

二十冊、家庭の医学書二冊!

ホルモンバランスが崩れているのは判るが、泣いたり、怒ったり忙しいのだ。買うのを止めたらと言ったときは大号泣と大激怒された。

そして学んだ。「先回りの神の発動」 言われる前に買ってくると意外に欲しい欲しいが減る、逆に神様みたいと感謝され、こんなに要らないのになんて口走る。

 今回も確実にそうなる。何たって犬が怖い嫌いなんだから。

だから! 明は先回りの神を発動為たのだ。

然し……二冊で済まないのは判っている。美佐はと言うと、

「ひなちゃんの本だよ! 読んであげるね」

何とも微笑ましい光景だ。


カシャッ。想い出……違う。

少し前はこんなに穏やかな気持ちだったぞ! だから落ち着けと

見せるために。

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