第6話 切ない泣き声に……

 その夜はひなが心配で明と美佐は客間で休むことに為た。キユ~ンキユ~ンと淋しげな泣き声で目が覚めた美佐。

寝る前に明からは、くれぐれも情けをかけてはいけないと言われていた。

でも……可哀想で可哀想で、そっと様子を伺って見ると、目があった! 明はグウグウ寝ている。

美佐はひなの背中をトントンしながら、

「ひなちゃん~静にね~ねんねだよーん」

美佐が傍にいると安心するのか、

静になる。

「良い子だね~良い子だね~」

痛っ! 頭をコツンとされて

上を見上げると、明と目があった。

「こら~我慢比べだって言ったでしよ? こっち来なさいよ」

「脅かさないでよぉ。心臓止まるかと思った。ひなちゃん、お父さんが駄目だって。ごめんね」

ゲージを覗き込み手を振っていると、明にパジャマを引っ張られた。客間に戻ると明は

「やっぱりねぇ、こうなると思った。もう約束守りなさい。みんなが同じ事しないと、結局ひなが混乱するんだよ。判る?」

「ごめんなさい。でも……」

「でもいいから。兎に角これからのことはひとつひとつ話し合いをしながら決めるとしても。今夜は駄目!判ったら寝るよ!」

頷く美佐。

「キュン~キュン~」

ひなが泣いてる。我慢我慢と言い聞かせて美佐は布団に潜り込み、暫く堪えたが、そのうちひなの泣き声も収まり、美佐自身も眠ってしまった。

 明も当然気にはなってはいたが自分が言った以上我慢し無くてはならなかった。

「これからが大変だよ」

明は高いびきで眠っている美佐の鼻を摘まみ、溜息をつくと布団に潜り込んのであった。




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