第4話 可愛すぎます!

 美佐は段ボールを少し開けては眺めてると可愛い目と視線が絡み合うのだ。

「目があった!」 

と叫ぶ美佐を横目で見ながら明は、

「そりゃ合うよなぁ。出たくて見上げているんだから」

「そんなんじゃ無いって。この子は私を好きなんだって」

「はいはい」

明は、美佐がこのままで済む筈無い事は判っていた。必ず落ちる。必ず……。

「もうぉすぐ着くよ! そしたらここから出してあげるからね」

美佐のテンションはどんどん上がっていく。

 さぁ着いた! 部屋に入り

段ボールから出そうとする美佐に明が声をかけた。

「出すのはもう少し待って。ゲージ組み立てないとでしょ? リビングの隅に取り敢えず設置するよ。ええと、それから」

「あ~オシッコしてるから、シート取り替えるね」

美佐が不用意に段ボールに手を入れると、鋭い乳歯が手の甲を掠めた。

「痛い!」

ああ~蘇る。あの時の恐怖が! 再発する予感をいち早く察知した明は、

「大丈夫か? 赤ちゃんの歯は鋭くて痛いからね。僕がやるから

美佐はこの辺片づけて」

「了解!」

なんだかんだ盛り上がりながらゲージを組み立ててると、息子の健が学校から帰って来た。

「ただいまっ! おお~ほんとに来たのね。どれどれ~」

段ボールを開けると、ゴロンとしている子犬に何やら言っている

「オッス、今日からお前の兄貴だよ、ねぇこの子女の子だよね」

「そうよ!」

「おっし! 妹よ~言うこと聞けよ!」

美佐と明は思わず顔を見合わせて笑ってしまった。

そうだった! 健は妹弟を欲しがっていたんだっけ。

「まあ仲良く為てあげてねぇ」

健はニヤリと笑い、

「こいつ次第だな~」

そう言いながら自分の部屋に行ってしまった。

こいつはぁ照れてます!

わんこもこいつも可愛すぎます。




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