第3話 美佐は犬が怖いのだった

 何故なら追いかけてくるから……世間で言う定説は時として当てはまらない場合もあるだろう。

「バカねぇ、走るから追いかけてくるのよ。知らん顔為ていれば大丈夫なんだから」

と、あれは嘘では無いかもしれないが、正しくも無い! どちらかと言えば嘘だ! と言いたいくらいの確信はある。

走らない。目も合わせてない。 なのに二度も襲われているからだ。あわや嚼まれるか! の大惨事。美佐はその苦い経験から約五十年もの間、犬と言う存在を無いもと為てきたのだった。町なかで出くわした時は、どんな状況にいても石になってその場をやり過ごす。出来ることなら道端に倒れ、死んだふりを為たいくらいだ。

例えそれがリードに繋がれていても!

例えそれが子犬であってもだっ!

 そしてそれは小二の息子にも襲いかかる犬受難であった。

遺伝子関係あるか? 科学的にはどうなの? 知りたいもんだ。

 ある日買い物から戻り、マンションの中廊下を歩いている私達親子の前に忽然と現れた大型犬。

いま思えば、犬種はボルゾイだった。然し犬と言えば柴犬ぐらいしか知らなかった犬種無知にとってみればボルゾイだかアルミホイルだが知らないが、食べられる!としか思えなかた。馬鹿だけどね。兎に角大きいんだっうの。それに超速い。息子を端に寄せた瞬間、その犬は猛然と走り出したのだ。当然私達めがけて。

息子はあぁもすぅなく回れ右して

マンションの階段を猛スピードで降りていってしまった。

飼い主さんも慌てて出て来たが

「走らない! 坊や走らない!」

いやいやその前に廊下に出すか?

おい! 紐! 紐! つけてよ! 結局食べられはしなかったけど、飛び乗られて転ばされていた息子。そりゃ大泣きしますよ。

「あのこのマンションペット駄目ですよね? それに紐なしなんて言語道断ですよ!」

兎に角息子の体を調べだか、怪我は無かったので一安心。

後から謝罪に来たけど母は許せない! で益々親子で犬恐いになってしまった。

 それから半年後、今度はゴールデン・レトリーバーに追いかけられた息子。同じ飼い主さんだから! これで最早!決定的になりました。わたしと息子の犬アレルギー恐怖症。

 その私達が、今日ただ今より

ウエストハイランドホワイトテリアを迎えいれてるとは~お釈迦様でも気が付くめぇ~。 

いよ! 美佐! 健! 格好良い~。

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