第35話 莉亜と

俺はセイラをアリアに任せて風呂に入り直し、部屋に戻る。

しばらくすると、ドアがノックされリアが入ってくる。


「ちょっ、お前その格好は」


「どう?召喚された時に着ていた学校の制服だよ、朝人さんこういうの好きでしょ」


リアの服装は、白のブラウスに赤リボン、紺のブレザーで極めつけは赤チェックのプリーツのミニスカートだった。紺のハイソックスに黒のローファー・・・

まずい、その格好で迫られたら抗えない、セラの全裸より破壊力満点だ。


「似合うでしょ」


そう言いながらくるくる回るリア。

スカートがふわりと舞い上がるが、

見えるか見えないかのギリギリを攻めてきやがって・・・

さすがアイドルとでも言おうか。


「ああ、とても似合っててかわいいな」


「うふっ、ありがと」


「で、色々話があるんだろ」


「うん、聞きたいことがいっぱいあるよ。優子も来たがったんだけど、美由紀が止めてくれたんだ」


「そうか、美由紀に感謝だな」


俺はソファーに座り、テーブルの向かいにあるソファーにリアを座らせようとするが、俺の隣に身体を付けるように座ってきた。


「ちょっと近いんじゃないか」


「いいの」


まあいいかと思い本題に入る。


「色々聞きたいんだろ」


「うん、何から聞こうかなあ。うーんと、じゃあ、まず宇宙の禁忌って何?」


「それはな、言ってみれば宇宙の法律みたいなもんだ、例えば、俺達のような力ある者が他の星に滞在する場合の決まり事とかだな。

あの時の場合は「滞在する星の自然現象に関与してはならない」って部分に引っかかったんだ」


「どうしてダメなの」


「俺が地球に居た理由ってのが、凶悪宇宙人や宇宙怪獣から地球を守るってことなんだ。だからそれ以外で俺の力を振るってはいけないってことなのさ」


「どうしてダメなの?結果的にたくさんの人を助けてくれたのに」


「宇宙人みたいに地球とは関係ない所からの侵略じゃなくて、地球上で起きた現象は地球人の手で解決しないといけないんだ、他にも、その星の生物同士の争いに関与してはならないってのもある。自然現象も争いも俺が介入すれば大抵は解決できる。だが、それではダメなんだ、自分たちの力で解決してこそ、その種の進化に繋がるって考え方なんだ」


「言ってる事は理解できる。でもそれでも納得は出来ない。私達からしたら、なんで助けてくれたのにそれが原因で死ななきゃならないのって思う、実際に私もこの世界に来るまで朝人さんの死を引き摺ってたし」


「もう大丈夫なのか?」


「うん、ちょっと聞いてよ、ステータスに状態ってあるじゃん、この世界で初めて自分のステータス見た時にそれが精神不安定になってたの、でも加護のとこにレッドファルコンの加護が付いてるのがわかったんだけど、そしたら状態が歓喜に変わったのね、優子にそれを見られてちょろい女って言われたんだよ、もう失礼しちゃう」


「プッ・・・ところで、俺も聞きたい事があったんだけどいいか」


「うん、何々?」


「いや、俺って日本に居る時はリアからしたらただのファンの1人だったよな。でもこの世界で 再会してからのお前って俺を最愛の人とか言って甘えてくるからちょっとびっくりしたって言うか、どうしたんだってのが正直な思いなんだけど」


「だってあんな状況だったんだよ、大津波が迫って来て逃げられない、助からない、もう死んじゃうんだって思ってたときに突然現れて何も心配するな、俺が守るって言われて本当に守られるなんて好きになるなって方がおかしいよ。もうあの時には私は朝人さんが好きになってた。しかもあんな別れ方だよ、あの人は自分の命を捨ててまで私を、私達を守ってくれた。そして目の前から光となって消えた。一体どこの映画ですか、ハリウッド映画も顔負けって感じで私の心の中に強烈すぎる思いを残して消えたんだよ。もう朝人さんの事しか考えられなくなった。もう2度と会えないって事がより朝人さんへの思いを強くしたんだと思う。


そしてこの世界での再会。

優子が死んで何も考えられなくなって、目の前には優子を殺した巨大なドラゴンが居て、次は私が優子のように死んじゃうんだって思ってた時に、前と同じように突然現れて、前と同じ俺が守るって言われて、一瞬でドラゴンを倒して、まさかって思ってたら本当に朝人さんだった時の言葉では言い表せない気持ち。

2度も命を救われて、もうこの人なしでは生きていけないって思った、この人を愛して生きていこうって」


「・・・・・」


「でも、朝人さんってモテるからなあ、私でしょ、優子でしょ、セイラでしょ、ギルマスのソフィアさん。・・・ねえ、私は貴方の一番になれますか?」


「・・・・・・リア、お前はいつだって俺の一番だよ」


「ほんとに・・・じゃあ「でも」」


「俺はお前の気持ちに応えることは出来ない」


「なんでっ」


「お前達は魔王を倒してその魔力を使って日本へ帰るんだろう、召喚された日と同じ日に。

そして、アイドルとして活動していく。俺はアイドルとしてのお前の邪魔をしたくないし、お前と共に活動しているあいつらやファンを裏切らせたくない」


「それは・・・そうだけど」


「誤解の無いように言っておくが、俺は一人の女としてリアが好きだ。愛してる。だからこそ、ステージで輝くリアを見ていたいんだ」


「じゃあ、私の恋が成就する日は来ないの?」


「お前がアイドルを卒業するまでは来ないだろうな」


「そんな・・・」


「お前だって分かっていたはずだろ、ハラSUNに入った時から」


「うん・・・まさか自分が男の人をここまで好きになるなんて思ってもいなかった」


「と言うことだ、お前を受け入れることは出来ない」


「・・・・いやだ、朝人さんを取られちゃう、それは絶対にいやだ」


「じゃあ、どうするんだ、アイドル辞めるのか」


「それは・・・・わかったアイドル辞める」


「マジか」


「私にとってはアイドルよりもたくさんのファンよりも朝人さんの方が大事なの」


「そうか・・・お前がそう決めたのならばなら俺は何も言わない。ほんとにいいんだな」


「うん、日本に戻ったら卒業する」


「でもな、俺は日本には戻れないって言ったよな」


「うん、でも・・・」


「リアは後どれくらいこの世界にいるかわからないだろ。日本で暮らす時間の方が長いんだ。俺の居ない世界でアイドルを辞めてどうするんだ?俺としてはアイドルであるリアを好きになったんだから、アイドルでいて欲しいって思うんだけど」


「アイドル辞めても、ハラSUNの事務所に残って声優とかモデルとかやることはたくさんあるよ」


「えっ、そうなのか」


「だって私達7人は日本では、ううん世界中からファルコンに推されたアイドルとして認知されてとても忙しいんだよ、連日連夜TVに出て、声優や舞台、映画関係、それに海外からも声が掛かりまくっているって感じなの、その中で私はファルコンに愛された女ってことで更に忙しいんだけどね」


「・・・・すごいな、さすがはリアだ」


「ううん、全ては朝人さんが私を、私達を推してくれてたからだよ、それだけファルコンのインパクトってすごかったの」


「そんな事になってたんだな、俺はあの時からどうなったかわからなかったし・・・」


「朝人さん・・・今夜は一緒に居たいの」


「・・・わかったよ」


そう言ってリアを抱き寄せてキスをする。

ゆっくり唇を離すと、


「うふっ、初めてのキスだ」


リアが顔を真っ赤にさせて俺に囁く。


「そっか、ありがとう、うれしいよリア」


俺はリアを抱き上げベッドに連れて行き、そっと寝かせて、


「リア、愛してる」


「私も愛してます」


そして2人は重なって行く・・・・

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