第32話 宿泊場所
「アサト様がファル様という事がわかり、今回の勇者様救出の不可解な点は全て理解できました。ファル様であれば、ダンジョン制覇など些細なことでありましょうし、優子、貴女は一度亡くなったのでしょう?」
「「「えっ!!!!」」」
「そうみたいなんですよね、ドラゴンに聖剣を折られたとこまでは記憶にあるんですけど、
気づいたらドラゴンが倒されていて、鎧は真っ二つになってて、私が倒れていたところにはすごい血だまりが出来ていて、こりゃ死んでるわって思ったんですよ」
「その優子を生き返らせたのはアサト様なのでしょう」
「「「はぁぁっ・・・」」」
「うん、そうだよ、私の見ている前で優子を生き返らせたんだよ」
「そのような事ができるのは神のみです、アサト様がファル様である証拠です。それに、アサト様の本当のお姿はれっどふぁるこんと言われるのでしょう?ふぁるこんとファル様、名前まで似ているではないですか」
「と言われてもなあ」
「アサト様、神殿にお越しになられてください。テレサ教の神殿の地下に戦いの神ファル様の像が祀られています、そのお姿を見ていただければわかっていただけると思いますので。ザック様とミラもそう思いますよね」
「はい、アサト様の変身したお姿を見た時に確信いたしました。この方こそファル様であると」
「私もそのお姿を拝見した時に、あまりの感動に涙が止まりませんでした」
「そうですよね・・・ですが私は生きた心地がしませんでした。それまでのファル様への態度。どんな神罰が下るのかと。でも取り乱した事でファル様に抱き抱えられキスされてファル様の唾液が私の身体の中に・・・ゴニョゴニョ」
おいおい、たしかにキスしたけど、そんな色っぽいもんじゃなかっただろ、それに唾液って、まあたっぷり堪能して流し込んだが・・・だからってセイラよそんなに腰をくねくねさせるなよ、誤解されるだろうが。
「やっぱり責任を・・・・」
ソフィアもしつこいな。
「はっ、そう言えば優子、貴女、聖剣が折れたと言いませんでしたか?」
「はい、折れちゃいました」
「まあ、しょうがないですね」
「おい、それでいいのか」
「形あるものいつかは壊れるって言いますし」
「だからって聖剣なんだろ、国の宝じゃないのか」
「折れたものはしかたないではないですか、それに聖剣なんか無くてもファル様がいらっしゃれば全てが大丈夫でしょう」
「まったく、このポンコツは・・・」
俺はアイテムボックスから折れた聖剣を取り出す、あの時拾って入れといんだ。
それをリワインドで直す。
「おおっ」
皆から驚きの声があがる。
「それは物を直す魔法なのですか?」
「違うぞセイラ、これは対象の時間を戻す魔法だ。見ろ、ちゃんと治っているだろ」
「確かに、途轍もない力を感じます」
「この剣が作られたばかりの頃に戻したんだ」
「そのような事が・・・」
「アサト」
「なんだソフィア」
「その魔法で私を15歳くらいまで戻せないか?」
「やったことはないが理論上は出来るんじゃないかってお前何言ってるんだ」
「いや、だってお前の周りの女性って皆若くて綺麗じゃないか、その中で私だけ26歳ってのも何だかなと思って・・・」
「一体何を言っているのやら・・・・」
「ファル様、若返させる事が出来る事は絶対に秘密でお願いします。もしこの事が知られたら、貴族の女性達に狙われますよ」
「わかっている、まあ狙われたところで若返らせてからヒィヒィ言わせるけどな」
「「「「「・・・・・・・・」」」」
「朝人さんが若返っているのもその魔法のせいなの?」
「「「「えっ」」」」
「気付いてたんだな、これはテレサのせいだ。俺をこの世界に送り込む時に少しだけ若くしときましたって言われたからな」
「ファル様の本当の年齢ってお幾つなのですか?」
「この姿の俺は30歳だ」
「「「「えええっ」」」」
「リアは知ってるもんな」
「うん、知ってるよ」
「30のくせに17の星野に好き好き言ってたのか、きもっ」
ちょっ、お前それは言ったらダメだろ・・・俺は過去に経験した事のないようなダメージを食らってしまった。
「平山ぁ、愛に年齢なんて関係ないって知らないの?それに大人の余裕ってやつ?
薄っぺらな同級生なんかよりよっぽど魅力的よ」
「ぐっ・・・」
リア、なんか目が怖いんだけど。
「と、ところで神殿にはいつ行けばいいんだ?」
何とか話の流れを変えないと。
「いつでもよろしいのですが、明日はいかがですか」
「わかった、明日だな」
「ところでファル様は今日はどちらにお泊りになられるのでしょうか」
「まだ決めてない、この街に入ってすぐギルドへ行ったし、その後すぐにお前らに拉致されたからな」
「拉致って人聞きの悪いこと言わないでください」
「冗談だ、と言うことでソフィア、いい宿があったら教えてくれないか」
「そうだな、何ならうちに泊ま「お待ちください」チッ」
「どうしたセイラ」
「ファル様は王宮へお泊りください」
「いいのか」
「はい、勇者様達も王宮に住んでいますし、部屋はまだたくさん空いていますので」
「それがいいよ、そうしようよ」
「リアもこう言っていますし、いかがでしょうか」
「わかった、世話になろう」
ギルドを出るともう夕日の美しい時間だった。
腹減ったなと思い、途中で何か食っていくかと考えていると、ギルドの前に馬車が来た。
「この馬車で王宮へ向かいましょう」
「いや、俺は歩いてのんびり向かうからお前らだけ馬車で行ってくれ」
「・・・・では、護衛を共に連れて行ってください」
「セイラ、お前は俺に護衛が必要だとでも言うのか」
「ファル様ほどのお立場のお人が護衛も無しに1人で街を歩くなどあってはなりません」
「・・・セイラ、俺を縛るつもりなら、俺はこの国を出て行くだけだ」
「そんな、ですがファル様は「だまれ」っっ」
「俺は冒険者だ、誰の指図も受けない。それに俺はヘタレで鈍感なラノベの主人公じゃない。何でも言うことを聞くと思うな」
「そうそう、どうしてラノベの主人公って女の言うことに強く出れないんだろうね、いくら立場が上の女性から言われたからって何でも言うこと聞くし、迫られても僕は何にも気づいていませんって手も出さないし、危ない戦場に付いて行くって言うことを聞かない女にも強く出れないで連れて行っちゃうし読んでてイライラするわ」
「うんうん、マジでイラつくよね」
美由紀と優子がなんか2人で言ってる、まあ俺もイライラしながら読んでたけどな。
「で、どうするんだ、お前の返答次第だ」
「申し訳ございませんでした。愚かな私をどうかお許しください」
そう言いながら真っ青な顔で土下座してきた。
「わかればいい、二度と俺の行動に口を出すなよ」
「畏まりました」
「じゃあ、もう立て」
セイラは真っ青な顔をしたまま立ち上がる。
「しゃあ、俺は行くからな」
「王宮へはいらしてください」
「ああ」
「私も朝人さんに付いて行く」
「私も」
「私も」
リアと優子、美由紀が付いてくるって言ってるが・・・まあいいか。
セイラ達は馬車で王宮へ向かい、ソフィアはギルドへ戻る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます