第25話 薔薇姫の誓い 本祭②
「見なくてよろしいのですか?」
ステージで舞っている様子に目向きもしないで椅子を揺らしながら天井を見上げるセレスにコーヒーを差し出した
「見たら緊張するから見な〜い」
コーヒーを飲みながら軽い口調の返答を聞いて微笑んでセレスの方を見た
「本当は興味が無いのでしょう?」
「バレた?」
セレスが横目でサミダレを見てコーヒーカップを机に置いた
体を伸ばしてから立ち上がってステージの方を見た
「おや? 興味が無いのでは?」
「舞には興味無いけど人混みの中で変な動きが無いかは気になる」
舞を見てる観客達を見ながら左腰に手を置こうとして手を空振った
その様子を横目で見ていたサミダレが笑いを堪えながら声をかけた
「普段帯刀している場所ですもんね」
「うるさい……」
唇を結んでサミダレから目を逸らした
髪を崩さないようにセレスの頭を撫でた
「心配せずともお守りいたしますよ」
「子供扱いしないでくれ……」
セレスが恥ずかしそうに手を払ったのを見て微笑みながら首を傾げた
「おやおや私にとってはレディはまだ子供ですが」
「そりゃ64歳から見たら25歳なんて皆子供でしょうよ……」
サミダレが刀の柄を撫でた
「それにこの歳でも腕前は落ちていませんよ」
「そりゃ1回も稽古で勝てたことないんだから強いことくらい知ってるよ」
サミダレに1回も勝ててないことを悔しそうに言う
悔しそうに言ったセレスを孫を見守るように微笑んで見た
セレスが眉をひそめて1人の男を見た
「あそこにいるのは……」
「新しいマヴェッタ家の当主ですね」
剣術闘技会でトント•マヴェッタが死んだ後マヴェッタ家はトントの息子であるシャヘラ•マヴェッタが当主になった
トントの死後もマヴェッタ家の情報を調べていたがマヴェッタ家は厳重に警備がある地下があった
(まだ隠したいことがあるのか……?)
マヴェッタ家の人間がいたら気取られないように警戒して見張っておけと事前にアレストとセレストに伝えていたため2人が少し離れた位置からシャヘラを監視していた
「マヴェッタ家の調査は慎重になさってくださいね」
黙って頷いてセレスはシャヘラから目を離して他の観客の様子を見ていた
突然部屋の扉をノックする音を聞いてサミダレ警戒しながら扉越しで要件を聞いた
「何か用でしょうか?」
「お飲み物のルームサービスです」
観客のいる広場から目を離さず扉に背を向けたままセレスがルームサービスを断った
「お断りいたします」
そう言った瞬間銃声がして扉が蹴破られた
扉を蹴破って銃を持って入ってきた男の顔を一度見て玩具への興味を失った子供のようにすぐに広場に視線を戻して冷たい声色でサミダレに伝えた
「情報得たから殺して良いよ」
「御意」
それを聞いた瞬間サミダレが刀を抜いて男の心臓を刺した
最期の力を振り絞ってセレスに銃を向けたがセレスが男の頭に暗器を投げた
サミダレが倒れた男から銃を回収した
「怪我はございませんか?」
「もちろん怪我してないよ」
銃声を聞いてホテルに配備されてた警備員達が部屋に来た
「銃声が聞こえましたが大丈夫ですか!?」
警備員にサミダレが事情を説明して別の部屋に移動した
「過去覗いたけどさっきの男はマヴェッタに雇われてる奴だった」
「お顔を見せてください」
両手でセレスの頬を抑えてセレスの赤い瞳をしばらく見つめた
「大丈夫そうですね」
安心したようにセレスの頬から手を離して幼子を窘めるように手刀で軽く頭を叩いた
「あなたの力は寿命を使うのであまり使わないでください ましてや過去を見るのは瞳への影響があるのですから……」
「大丈夫大丈夫〜」
適当な返事をするセレスに呆れた表情を浮かべながらため息をした
(セレス様はどれだけ自分の命を安売りするんだろうか)
広場の方を見ると7番目の人が舞っていた
「そろそろ広場に向かわないと」
そう言って立ち上がってから体を伸ばしてストレッチをした
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