第8話 魔力

アインの屋敷に滞在する中、俺はこの世界の常識について学ぶ事にする。

幸い、アインの屋敷には大きめの書庫があり、学ぶには事欠かない、そして、メアリからも世間の常識を教わりながら知識をつけていくのだった。


この世界には人族と魔族が存在しており、魔族を束ねる者を魔王と呼んでいる、これまで何度も討伐隊を編成し、向かわせているものの、魔王まで辿り着けたという話は無く、その多くが死んだものと扱われていた。


そして、魔族とは別に魔物も存在している、ケモノとの違いはその身体に魔力が宿るかどうかの違いであり、俺が倒した化け物はゴブリン二匹とホブゴブリンという上位種が一匹いた事を後日調査していた騎士から聞いてきた、ゴブリン自身は弱く簡単に倒せるそうだがホブゴブリンは見た目はほとんどゴブリンと変わらないがその速度は早く油断すると熟練の騎士でも倒されるそうだ、俺が最初に奇襲した相手ははからずも成功だったと言えた。


「マサキさん、今日も精が出ますな。」

居間で借りてきた本を読んでいるとアインがやって来る。

「アインさん、お借りした本を読んでるだけですよ。」

「おや、魔法についてですか?」

アインは俺が読んでいた魔法の使い方という本に気付く。

「恥ずかしながら魔法が使えないかと考えていたのです。」

「そうでしたか、なら一度魔力鑑定を受けられますか?」

「魔力鑑定?」

「ええ、マサキさんの魔力の有無と属性がわかりますよ。」

「是非お願いします!」

俺は魔法が使えるかも知れない事に少し興奮していた。

「ならばすぐに用意しますから、おい、誰か魔力鑑定用の道具を一式持ってきてくれ。」

アインは使用人の一人に声をかけ道具を持ってこらせるよう伝える。


しばらくすると大きな水晶玉と魔法陣が書かれた紙を持ってきてくれる。

「これは?」

「この魔法陣に手をかざすと魔力量が表示されます、そして、水晶に触ってもらうとその光の色で属性が判別できるのです。

まあ、説明よりやってもらうほうが早いですね、さあ手をかざしてください。」

俺はアインに言われるままに手をかざすと魔法陣が変化し、数字に変わる。


「えーと、1082ですか!多いですね!」

アインは目を丸くして驚いていた。

「普通はどれぐらいなのですか?」

「普通は100ぐらいですね、優秀な魔術師でも800ぐらいでしょうか?」

「じゃあ、私は多いのですね。」

「そうです、これは非常に多い数値ですよ、宮廷魔術師を目指してみますか?」

「それもいいかも知れないですね。」

俺はそのまま水晶を触るが何も光らない。

「アインさん光らないのですが?」

「おかしいですね、普通何かしらの光り方をするのですが・・・

壊れて無いかちょっと私が触ってみます。」

アインが触ると緑に光る。


「緑に光りましたね、これはどんな属性なのですか?」

「私は風の属性があるのです、とはいえ、魔力は高くなく200程度ですが・・・

しかし水晶は壊れていないのに光らないなんて・・・」

「まあ、魔力が使えなくても何とかなるでしょう。」

「この事は調べてみます、すこしお時間をください。」

俺はアインに言われるままに任せるしか無かった。

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