第7話 お金の稼ぎ方
「ねえ、ユミちゃん何かいいお金の稼ぎ方って無いかな?」
ハルカは学校で友人のユミに相談していた。
「お金の稼ぎ方と言ってもね・・・」
事情を聞いていたユミも一緒になって考えるが中々いいアイデアは無かった。
ハルカはアルバイトをしようとしたのだが両親の反対にあい高校生であるハルカにとって正規のアルバイトは出来なくなっていた、そのうえユウトとの約束もあり、真っ当な稼ぎ方をするしか無い、ハルカは頭を悩ませていた。
「そうだ、動画配信者で稼ぐのはどう?
ハルカなら可愛いし、声も綺麗だから人気出るんじゃないかな?」
「ユウトさんに如何わしいのは駄目って言われてるの、顔で動画配信者って引っ掛かりそうじゃないかな?」
「うーん、それなら声だけでやってみる?」
「声だけ?」
「そう、Vチューバーになるの!」
「Vチューバーって、YouTuberとかに出ているアバターで歌ったりするあれ?」
「そう、ハルカは歌もうまいしきっと人気出るよ。」
「でも、私知識無いし、そもそも配信機材とか用意しなきゃ駄目なんでしょ?
そんなお金かけれないよ。」
「大丈夫、うちの家に全部あるから!」
「なんであるの!」
「お兄ちゃんがやろうとしてたんだけど、致命的に話し下手ですぐに挫折したの。」
「・・・シロウさんそんな事をしようとしてたんだ。」
ユミの兄である、シロウは人付き合いが苦手で引き籠もりがちなのだが学生時代からの繋がりあるマサキとはたまに遊びに行く関係であり、ハルカ自身会う回数こそ少なかったものの、名前は聞いていた。
「あっ、そういえばハルカも面識あったんだよね。」
「うん、お兄ちゃんの友達として家に来てた事もあるし。」
「そうなんだ、じゃあ機材も借りやすいね。」
「なんでそうなるの?」
「だってお兄ちゃん人見知り激しいけど、一度会った人なら比較的大丈夫だし、マサキさんの妹のハルカならたぶん大丈夫だよ。」
「でも、貸してくれるかな?」
「大丈夫、大丈夫、それに聞くだけならタダだし、早速行こうよ。」
ユミに連れられ放課後、ユミの家であり、シロウの家に向かう。
「配信用の機材を借りたい?」
「はい、やっぱり駄目でしょうか?」
マサキの妹として会うことは出来たがいきなりの不躾なお願いである、断られるのは仕方ない話だ。
「構わない、だが条件がある。」
「お兄ちゃん!エッチな事なら許さないからね!」
ユミが即座にシロウを威嚇する。
「女子高生のしかもマサキの妹にそんな事をするか!
俺が頼みたいのはこのモモちゃんを使ってほしいんだ。」
「モモちゃん?」
「そうだ、俺が丹精込めて創り上げたモモちゃんだが・・・
この俺の声では全てが台無しになってしまう!」
シロウは膝から崩れ落ちていた。
「だが、ハルカちゃん、君の声はモモちゃんに合う!いや、モモちゃんの為の声だと言っても過言ではない!」
「過言だよ!このキモ兄貴!」
「ぐはぁ!!」
ユミから鉄拳制裁がはいる!
「ユミ、暴力はだめだよ。」
「いいの!犯罪に走りかねない兄貴を矯正しないとね。」
「落ち着いて!」
『落ち着いて!』
ユミをなだめるハルカの声がスピーカーから聞こえてきた。
「や、やっぱり、合うな・・・
ハルカちゃん、君にはお金を稼がなければならない理由があり、私にはモモちゃんに動いて欲しい理由(欲望)がある。
すぐに収益化出来るかわからないが、試してみるのも悪く無いのではないか?」
「え、えーと、稼ぐ事は出来るんですか?」
「出来る!人気が出ればバイトなんかとは比べ物にならないぐらい稼ぐ事が出来る!
そして、モモちゃんと君なら成功する!
頼む、何曲かだけでもいい、歌ってみてくれないか!」
「歌うんですか?」
「そうだ!それで人気が出ないなら諦めてもいい、だが少しでも稼ぐ可能性を求めるなら試してみるのもいいんじゃないか?」
「何曲か歌うぐらいなら・・・」
「よし、話は決まりだ、すぐに準備しよう!
ユミ、それまでハルカちゃんの相手を頼むぞ、絶対に逃がすな!(帰すな!)」
「兄貴本音が漏れてる・・・
まあ、ハルカがVチューバーデビューするなら有りかな、ハルカ準備できるまで私の部屋に行こ。」
「えっ、え?」
テンションが上がるシロウに困惑しながらもその後歌の収録はスムーズに終えるのであった。
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