チップ払ったっていいだろうが!
クリスマスとは私の命日なのではないか?とふと休憩で
彼が顔を真っ赤にしたり照れたりと、珍しいところが見れた。
最高のクリスマスプレゼントだ。
私ばかり貰って申し訳ないなと思いながら休憩をやめて勉強しようとした時に隼人さんと目が合った。
「隼人さん私…何かしましたか?」
「あ、いや…その、うん…なんでもない」
「?変な隼人さんですね。何か悪いものでも食べましたか?」
「いつも通りだよ…ただ…」
「ただ?」
隼人さんは眉を下げて言った。
「お前が…ここに来るのは、嬉しいとは思うけど、その…同い年の人と遊ぶとかないのかなって」
私は目を丸くした。
彼はそんなことで…と言ったら怒られる気がするけど、そんな些細なことを心配していたらしい。
「私はクリスマスにいつも通りここで勉強して…隼人さんに会えてすごい幸せですよ」
すごい今まででは考えられないくらい幸せだと思う。
来年彼といられなくなっても後悔はないくらいには幸せだ。
「隼人さん私もう帰りますね」
外を見ると真っ暗で帰らないと行けないらしい。
「あ、ちょっと待て!」
「え?何かありましたか?」
「送ってくもう暗いし…」
「そういうの大丈夫です。隼人さんお店ありますし迷惑かけられません」
テキパキと荷物を鞄に詰めて、財布を取り出した。
隼人さんは「待て待て待て!」と慌てている。
「隼人さんどうしたんですか?」
「この時間に女の子歩かせるのは危ないだろうが!」
「いつも歩いてますけど…」
「なんでこういう時くらい甘えないのかねこの子はさ?!」
うがーっと頭を抱えて彼は叫んだ。
ここまで必死になっているのか理解が出来ずにいる。
大人として子供をこの時間に歩かせるのが宜しくないと思っているのだろうか?
「どうしましょうか…?」
「待っててくれると助かるんだけどな?」
「親呼んだら安心しますか」
「…まぁ、うん」
残念ながら今日お母さんとお父さんはクリスマスだから何か遊んできなよという私の提案に賛成して出かけているので呼べないけれども。
「じゃあ途中まで…」
「だ、大丈夫ですって!気にしすぎだなぁー」
私は隼人さんに自分の頼んだ紅茶の代金と一応クッキーの代金を支払う。
彼は「クッキーは個人的に作ってあげただけだからいらない」と言ってきたが「それならチップで」と返した。
「ここ日本だって言ってんだろうが!」
「日本でもチップの文化あってもいいと思うんですよね私」
「いらん!なんで女子高生にそれ以上それも頼んでない個人的なものの金額も払わせないといけないんだよ?!」
「商売じゃないですか、もっと強欲に生きませんか?」
「なんで俺女子高生にそんなこと言われてるの…??」
隼人さんは訳が分からないという感じだ。
「と、とにかくだ!待ってろちょっと店閉めるだけだから!」
「え?ダメでしょ、せっかくの稼げるチャンスを一秒でも無駄にするのもったいなくないですか?」
背を向けてドアノブに手をかける私と困惑する隼人さん。
「なんで俺よりもこのお店の心配してるの?!」
私は振り向いて隼人さんの目を見て言葉を紡いだ。
「だってこのお店がなくなったら隼人さんに会う口実が作れないじゃないですか」
「…あ、え」
ブワッと顔が赤くなる彼と至極まっとうな理由だと思って言った私。
「ごちそうさまでした」
お店を出ようとすると隼人さんに腕を掴まれた。
少女漫画のような展開に今度は私が困る番だ。
「やっぱり意地でも送ってく」
「へ?ちょ、隼人さん?!」
意地でもと言っている彼の目はガチの目をしている。
「ちょっと店閉めるから」
「分かったよー」
常連さんはそう言って私たちを送り出した。
「ちょ?!稼ぎ時逃しちゃうから!戻ってください!」
「だからなんでお前が経営してる側の立場の考え方なの?!」
私たちはそんな言い合いをしながら私たちはクリスマスで皆浮き足立っている人たちがいる街を歩いていた。
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