第33話 俺の影、強すぎです!

俺と堀内はダッシュで影に近づく。

すると影は立ち上がった。

そして手を前にかざすと、手のひらに野球ボール程の黒い塊が出来た。


「あれって・・・魔法!?」


この世界に来て初めて見るものだった。


「あぁ!魔法みたいだな!」


すると手の平にできた黒い塊がこっちの方へ飛んできた。

俺と堀内は避けると、さっきまで立ってた場所に塊が炸裂した。

その瞬間、ドゴーン!という大きな音とともに爆発した。

避けたがその爆発に巻き込まれ、2人とも軽く吹き飛んでしまう。

横に転がり、衝撃をおさえた。

爆発した方を見てみると、20mほどの範囲で地面がえぐれている。

結構な範囲が爆発したみたいだ。


「魔法やべえ~」


思わず声が出る。


「こんな威力の魔法見たことないぞ!」


どうやら規格外な威力だったらしい。

堀内がびっくりしている。

俺は即座に立ち上がり、ダッシュで近付いていく。

影は再び魔法を放ってきた。

俺はタイミングを見て、魔法と、爆発をよけていく。

1発1発撃つ間に、2秒ほどの余裕がある。

それであれば、威力など分かっていたら避けようがある。


そして影との距離が1m程になったとき、俺は顔面に1発パンチをした。

前回とは違い力いっぱいに。

すると前回は効いた様子はなかったが、今回は殴られた方向に首が少し動き、「うぐっ」っと聞こえた。


「効いた・・・!?」


やはり、ここでの力は心と関係しているようだ。

堀内と和解したことで、さらに心が強くなったようだ。


『この野郎!』


その瞬間、腹部の痛みとともに吹き飛んだ。


「ぐはっ」


「天之原!!大丈夫か!」


堀内は声をかけてくれたが、声をかけている場合じゃないと思ったのか影に剣で切りかかった。


『おっと!』


影は攻撃をするりとかわし、剣を蹴り飛ばした。

すると、堀内の手から剣は簡単に遠くに飛んで行った。


「なっ!」


そして影はパンチをするが、それは楯で防いだ。

しかし、威力はすごかったらしく、堀内はよろめいてしりもちをついた。


(なんだよこの力の差は・・・)


明らかに常軌を逸した力だ。


「くっ!」


俺はパンチを放ったがかわされた。

俺は連続でパンチを繰り出す。


「やっ!このっ!そら!」


たまに腹や顔面に当たるが、あんまり効いてる感じがしない。

堀内も、影の後方から、盾を武器にして、後頭部に思い切りぶつけた。

しかしそれもあんまり効いているようには見えなかった。


『ちょこまかとうっとおしいな!』


そういうと、俺と堀内の胸倉が捕まれ、そのまま地面にたたきつけられた。


「がはっ」


「うぐはっ」


息が出来ない・・・でも!


そのまま足に力を籠め、影を蹴り飛ばす。


『ぬっ!』


影は後ろに軽く飛ばされる。


「はぁ・・はぁ、堀内大丈夫か?」


「あぁ・・なんとかな」


「今まで自分の影や他人の影も相手したことあるが、お前の影段違いだぜ!」


「力の差がありすぎる・・・!」


【いくらなんでもおかしくない?】


なんで俺の影はこんなに強いんだ?

俺の心の闇となるものは大体解決したはずだ。

なのになぜ。


『不思議そうだな!俺が何でこんなに強いかって?知りたきゃ教えてやるよ。それはな、お前が経験していないことを俺はしたからだ!』


「なにを?俺の経験してないこと?」


『お前には記憶がないと言った方が正しいな。俺は見たんだよ。死の先をな!』


俺の影はそう言い切った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る