第22話 影との遭遇
俺は今日狩りに来ている。
西門の橋を渡って川沿いに南側に行くと、結構ゴブリンに遭遇する。
そして早速ゴブリン3体と遭遇した。
ゴブリンは俺を目に入れるやすぐに、鈍器で襲い掛かってきた。
それを俺は、片手で防いでみた。
するとやはり、当たった程度にしか感じなかった。
全然痛くない。
これじゃわからないな。
そう思い次は攻撃に移る。
昨日の戦闘みたいに力は入れずに、握りこぶしは軽く握る程度でパンチを繰り出す。
するとそのパンチはゴブリンの顔面に当たった。
そのゴブリンは吹き飛んで動かなくなった。
「やっぱりだ・・・」
そうつぶやき残りのゴブリンも追撃する。
難なくゴブリン3体を倒すことができた。
「やっぱり、昨日より強くなってる」
今日の狩りはあることを確かめるためのものだ。
それは、心の変化で、強くなっているという事だ。
この地に来た初日は、ゴブリンにボコボコにされてすごく痛かったし、それほどダメージを与えられなかった。
しかし今は、ゴブリンの攻撃に痛みを感じることもないし、軽く殴るだけでゴブリンを倒すことができるのだ。
ゲンさんは言っていた。
モンスターを倒して戦闘経験しかつかない。腕力が上がったりなんかしない。
しかし、明らかに攻撃力と防御力が上がっている。
考えられるのは、ここ数日の経験で心が強くなり、それで霊力が高まった。
その強くなった霊力を体に通すことで、攻撃力と防御力が上がっているといったところか。
どうやらこの考えが1番濃厚だろう。
「どこかのアニメみたいだな・・・」
そんなことを考え歩いていたら、緑の肌で大人よりデカく、顔が豚のようで、筋肉ムキムキなモンスターがいた。
どうやら食材を探しているみたいだ。
「あれってオークだよな」
結構な小声でしゃべったが、それが聞こえたのかオークはこっちを見て、威嚇しながら1歩ずつ近づいてくる。
運がいいことにそいつは1体だった。
とりあえず先制攻撃すべく、ダッシュで近づく。
それにオークは反応し、パンチを繰り出してくる。
俺はそれをよけ、みぞおちめがけて1発思い切り殴る。
するとオークは反動で、数歩後ろによろける。
お腹を抱え、「ヴ~!」とうなっている。
おそらく攻撃が効いてそうだ。
「ゴブリンみたいに1発ってわけにはいかないか」
相手が態勢を整える時間を待ってるほど馬鹿じゃない。
続いて痛みで前かがみになっている頭をけりとばす。
すると脳が揺れたのか、フラフラし始めた。
続いてもう1発入れるために近づいたが、それはオークが腕を振り回しそれが俺の顔面に当たり阻止された。
そんな俺は、そのまま地面に倒れこんだ。
「いてぇ・・・」
さすが筋肉ムキムキなだけはある。
普通に不良に殴られたぐらいは痛い。
俺は、起き上がるが、オークのパンチが目の前に迫っていた。
俺は腕で防ぎ、そのままオークの横腹に1発パンチをぶち込む。
オークは痛みで唸る。
そのままアッパーを決めようとするが、腹部に痛みを感じ、吹き飛ばされる。
どうやらみぞおちにパンチを食らったみたいだ。
息ができない。
地面でもだえ苦しむ、そしてオークが近づく足音が聞こえる。
俺は近づくオークの右足に両足で、思い切りけりを入れる。
オークは衝撃で後ろに倒れ、よほど効いたのか起き上がれない。
俺はすかさず立ち上がり、横腹にけりを入れ、ジャンプしてミゾオチを思い切り踏みつける。
「グガァ~!!」
うめき声をあげ、ミゾオチを踏みつけてる俺を両手でつかんだ。
そのまま地面に思い切りたたきつけられ、連続で、拳を振り下ろされる。
しかし、オークは足が痛く立てないのか、左足で体重を支えて、座った状態で殴っている。
俺は、それを腕でガードしているが、なんとか耐えれそうだ。
オークはそろそろ俺を倒したと思ったのか、攻撃をやめのぞき込んでくる。
俺はその顔面に思い切り両足で蹴りを入れる。
するとオークは後ろに倒れこんで動かなくなった。
「はぁ・・・はぁ・・はぁ」
ぎりぎりの戦いだった。
すると何やらモンスターの気配を感じ、冷や汗が出る。
茂みが揺れる。
心臓の音が聞こえる。起き上がろうと思ったが起き上がれず倒れる。
「やばい・・・!」
するとゴブリンが3体現れる。
そして少しホッとする。
「ゴブリンの攻撃だったら効かないし、何とかできそうだ」
そうつぶやいた瞬間、ゴブリン3体が鈍器で殴りかかってきた。
すると、
「いってえ!!」
思わず腕でガードする。
ゴブリン程度の攻撃だったら、今では痛くないはずなのに、普通に殴られるぐらい痛かった。
「え!?なんで!??」
訳が分からない。
「ちょっと待って!!」
そういってもゴブリンの攻撃は止まらない。
【~ん・・・ぅぶ?】
何か聞こえた気がしたがそれどころじゃない。
とりあえず、思い切り真ん中のゴブリンを蹴り飛ばす。
すると攻撃が止んだので、そのまま左のゴブリンに、右脚の肘で攻撃する。
すると左側のゴブリンもそのまま後ろに倒れた。
それて俺は、立ち上がり体制を整える。
それに続いて、左のゴブリンは立ち上がった。
「えっ?・・・そんなに効いてない!?」
なんで・・・!!
そう思っていたら出遅れた、ゴブリンの鈍器が横腹にヒットした。
「ぐっ!!」
呼吸ができない・・!
そこからゴブリンは鈍器で殴りかかってきたが、避けることに徹した。
当たったら痛いからだ。
【・・・く・・】
俺は地面の砂を握り、ゴブリンの顔めがけて投げつける。
ゴブリンは「ぐがぁ!!」と悲痛の叫びをあげ後ずさる。
それを好機ととらえ、ゴブリンの頭を両手で抑え、顔面に右脚の肘でけり上げる。
するとゴブリンは動かなくなった。
残るはあと1体。
とおもったところ背中に激痛が走る。
どうやらゴブリンは背後から攻撃してきたみたいだ。
俺は地面に倒れる。
俺はすぐに攻撃が来ると予想し、横に転がる。
するとさっきまでいた場所に、案の定、鈍器が突き刺さる。
俺はそのまま、ゴブリンの後頭部に蹴りを入れる。
そしたらゴブリンは動かなくなった。
何とか3体倒せた。
「はぁ・・・はぁ・・・倒せた!」
ゆっくり息を整える。
ゴブリンの攻撃を防いだ腕を見る。
「なんで、攻撃を食らったんだ?」
最初のゴブリンはノ―ダメージだったのに、後半のゴブリンからはダメージを食らった。
2つの違いは、オークと戦う前か、戦った後かだ。
「もしかして・・・」
考えたら単純だった、疲れていたかどうかだ。
戦闘で、攻撃したりダメージを食らったりしたら霊力が減り、攻撃や防御に回せる霊力が足りなかったのだろう。
だから後半のゴブリンには、攻撃が通りにくく、ダメージも喰らったのだ。
「体力が大事ってことか・・・」
息が整い体力が戻ってきた。その時、目の前に異質な影みたいなものが見えた。
目を凝らしてみると、それはそこにいた。
人の影みたいなものが、立っていたのだ。
「えっ?」
それを見た第一声がそれである。
それもそのはず、人の影が立ってこっちを見ているのだから。
影を立体的にした感じだ。
よく見ると目や口のへこみ、鼻の出っ張りなどがある。
「・・・これが影!」
皆がこれを影というのも納得である。
その影がワープしたかのように目の前に現れる。
「っうぉお!」
急な出来事に俺は後ずさる。
というかこの影よく見たら。
「堀内の影・・・だよな」
なんで俺の前に現れたんだ!?
聞いた話だと影は自分の心の闇であり、それを倒すことにより心は浄化されるはずだ。
影にとって自分でない他人の前に現れることはない。
他人の影を攻撃しても倒すことはできない。
そう聞いている。
何をするのか様子を見ていると、顔がにやけた、と思ったら急にお腹を殴ってきた。
構えてはいたので腕で受けることはできたが、痛みが段違いだ。
殴られた衝撃で後ろによろめいてしまった。
「いってぇ~、いきなりなんだ?」
しかし影は答えない、一歩一歩近づいてくる。
とりあえず反撃してみることにした。
影の左脚めがけて右の回し蹴りをしてみる。
影は、その本人の心の闇であり、本人しか倒すことができないと聞いていたので、ダメージを与えられるか賭けだった。
そしてどうやらその賭けに勝ったようだ。
影は左に少しよろめいた。
「倒せないけどダメージは与えられるのか?」
しかし、そんなにダメージはないのかすぐに体勢を立て直す。
「なんかワープしてくるし、逃げられないか・・・」
動けなくなるまでダメージを与えるしかないようだ。
「とりあえず、やるしかない!」
すぐに次の攻撃に移る。
さっきの戦いのダメージで限界は近いのだ。
これ以上ダメージを受けるわけにはいかない。
顔面を中心的に攻める。
脳はあるとは思えないが、急所を狙うしかない!
連続でパンチを繰り出すも、これといって大きなダメージを与えているようには見えない。
結果。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・」
体力をすべて使い果たしバテてしまった。
影にダメージを与えるには霊力を使う。
ゲンさんの言葉を思い出した。
さっきの戦闘でほぼ霊力を使い果たした俺は、影にダメージを与えることはできないようだ。
「ど・・・どうすれば」
このままだと一方的にやられるしか道は残されていない。
すると影は「ニチャ~」っと楽しそうに口をニヤケさせる。
すると影は目の前にワープしてきて連続で顔面や腹などを連続で殴り始めた。
腕でできる限り防いでいるが衝撃で地面に倒れ、影は馬乗りになる形で顔面に連打を浴びせる。
ついに腕のガードもできなくなり、顔面にダメージが入る。
もうどうしたらいいのかも思いつかない。
この攻撃がいつやむのかだけを考えるようになってしまった。
中学生の時、堀内達にいじめられていた時のことを思い出す。
あの時の物理的ないじめは基本休憩時間に行われていた。
だから、休憩時間が終わるまで耐えたらとりあえずしばらく休憩できるという、耐える目標があった。
しかし、今はそれがない。
いつまで殴られるのかが分からない。
もしかしたら死ぬまで殴られるかもしれない。
いや、死んだ後も殴り続けるかもしれない。
影は声を発していないが笑い声が聞こえてくるように楽し気に殴っている。
意識を保つのも危うくなった時、ガツン!という音とともに上にまたがっていたであろう影の気配が消えた。
遠のく意識のなか、離れたところに堀内の影が倒れているのが見える。
そして近くにもう1体影がいた。
その影はこちらを見て優しく微笑んでいるようでもある。
そのほほえみを見て安心したのか、意識が途絶えた。
意識が遠ざかる中ではっきりと聞こえた。
【天之原君! 天之原君!! 大丈夫!?】
立花さんの声だ。
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