第19話 帰り道、思いにふける
ギルドから出て、ゲンさんの家に向かっていた。
ギルドで釣った魚を売ったら、3万で売れた。
30分釣ってただけなのにすごい儲けだ。
ギルドとしては、やはり食材不足が深刻で、高く買い取って、安く売ってるみたいだ。
そうしないと本当に食材が集まらないようだ。
そんなことよりも
「まさか堀内がいるなんてな~。」
中学生の時、最初にいじめ始めたのが堀内だ。
あれがなかったら、楽しい中学生活を送れていたかもしれない。
堀内の事はすごい恨んでいた。
しかしここにいるってことは、現世で死んだという事だろう。
「でも、まさか死んだなんて・・・。」
俺にはもちろん友達がいなかったので、そんな話は俺の耳まで届くわけもない。
どうして死んだんだろ・・・。
気になるが、胸の内にしまっておく。
そもそも聞きたくとも堀内とは、あれからすぐ分かれた。
「じゃあな」と言葉を残して、彼は去ったのだ。
信じられないが、彼もまた心に闇を抱え、この世界にとらわれたという事だ。
中学生のころ、休憩時間の度に俺を殴っていた際の、彼の顔を思い出す。
人に危害を加え、あんな楽しそうな顔ができる人間が、心に傷なんかできるものだろうか。
俺をいじめた罪悪感で心を痛めたとも思えない。
それとも、深刻なほどの心の傷を負い、その苦しさを紛らわすために俺をいじめて、楽しんでいたのだろうか。
考えても、答えは出ない。
俺は、いつの間にか恨んでやまなかった彼の事が気になりだしていた。
今まででは絶対にありえないことである。
人の心を壊すということは、その人を殺したのと同義であると俺は思っている。
人を物理的に殺すか、精神的に殺すか。
どっちも人は死ぬのである。
そんな彼の事が気になる俺は、一体どうしてしまったのだろうか。
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