第18話 思わぬ再開
今日の俺は釣りに来ていた。
川には見たらわかるほどたくさんの魚が泳いでいる。
釣竿自体は簡単なもので、枝に糸がついており、先端に針がついている。
針に餌を付けて釣っているが、これまた面白いほど釣れる。
「これは笑いが止まりませんな」
釣った魚は動物の皮で出来たバケツに入れる。
中には水が入っているので、生きたまま持って帰ることができるのだ。
「もうこれ、永遠に連れるな!」
釣りは待つのも楽しみの一つと聞いたことあるけど、それは現世で味わおう。
だってこれはこれで楽しい。
けっこう大きめのバケツを借りてきたがすぐにいっぱいになった。
「今日はここまでにするか。」
そう思い、後ろを向いたら、ゴブリンがいた。
「・・・またこのパターンですか?」
ゴブリンは3体だった。
ゆっくりと近付いてくる。
「この魚を持って逃げるのは難しいな・・・」
戦うしかない。
初めて釣った魚を置いて帰るなんて考えられないしね!
(いざとなれば近くに町があるからダッシュで逃げ込む!)
「こういう時は先制攻撃だ!」
そう言いダッシュで真ん中のゴブリンの顔面をぶん殴る。
するとゴブリンはびっくりするほど吹き飛び、倒れた。
ピクリとも動かない。
どうやら倒したみたいだ。
「あれ?なんか弱い?」
数日前のゴブリンとの戦闘を思い出す。
パンチ1発じゃ倒せる相手じゃなかった。
「そうか、町の近くだからレベルが低いんだな!!」
ゲームではよくあることだ、そうと分かれば。
右にいたゴブリンの顔面に右の肘で攻撃する。
やはりそれも一撃で倒せた。
左のゴブリンは、鈍器を振りかぶり俺に向かって振り下ろしてる最中だった。
とっさに両腕をクロスのして受け止めた。
何かをぶつけられたという感覚だけで特に痛みを感じない。
そしてすぐに攻撃に移る。
腕はガードしていたのですぐ動かせないので、右足でゴブリンの顔めがけて回し蹴りをした。
するとやはり簡単にダウンした。
「はぁ・・・はぁ・・」
息切れがする。
簡単に倒せても、体力はないようだ。
「こ・・・こわかった~」
数日前に集団でリンチされた相手なので、その恐怖心が少しよみがえったのである。
しかし、不思議と体が何かで包まれて守られてる感じがする。
「もしかして、これが霊力なのかな?」
それなら、霊力で攻撃と防御ができたことになる。
しかし・・・
「どうやって出したんだ?これ?」
完全に無自覚である。
戦う気になると勝手に出てきたみたいだ。
これは、コントロールして出せるようにならないといけないな。
そんなことを考えていると、目の前の茂みからゴブリンがまた2体現れた。
そして見たことないのが1体、ゴブリン2体の間に入ってくるように現れた。
「な・・・なんだこいつ!!」
そいつは、普通のゴブリンより2倍ほど大きいゴブリンであった。
ゴブリンキングといったところか・・・。
倒せる気がしねえ。
そう思ってると他のゴブリンより大きめの鈍器を振り下ろしてきた。
俺は慌てて両腕でガードする。
普通のゴブリンよりやはり威力が強い。
後ろに吹き飛ばされてしまった。
そして、痛みもあった。
右側にいた普通のゴブリンが襲い掛かってきたが、それは倒れながらも右キックで吹き飛ばした。
「いてえ・・・普通のゴブリンは倒せるんだけどな~」
ゴブリンキングはまた鈍器で攻撃しようとしてきた。
それは受け止めたら痛いとわかってるので、避けてかわす。
当たらなければ・・・!!
そう思い、ゴブリンキングの腹部にパンチする。
ゴブリンキングは少し効いた感じの顔をしたが、見た感じダメージはない。
それでゴブリンキングは怒ったのか、鈍器で連続攻撃してくる。
1発目2発目は避けたが3発目からは避けれなかった。
目の前で両腕でガードし、連続攻撃を受ける。
連続なので威力は抑えられているが痛いのは痛いし、ガードしてる限りこちらから攻撃はできない。
町までダッシュで逃げる余裕もない。
万事休すか。
そう思っているとゴブリンキングの後ろから、剣で攻撃する者がいた。
「おい!何やってるんだ!今のうち逃げろよ!」
声だけが聞こえる。
若い男の声だ。
しかし、放って逃げるわけにはいかない。
今こそ勇気を出さないでいつ出すんだ!
この助けてくれた人が、もしこのまま死んだら一生後悔する。
そう思い、ゴブリンキングの後頭部に思い切りパンチした。
すると脳が揺れたからか、フラフラし始める。
「いまだ!」
謎の青年は叫び、剣で切り刻んでいく。
俺はその反対側から、後頭部や横腹に連続でパンチを繰り出した。
やはり狙うなら急所だよね!
するとゴブリンキングは力尽きたのか、倒れた。
それと同時に残りのゴブリン1体は逃げて行った。
「たおせ・・・た!」
息が上がる。
動く分には疲れを感じなくなってきたが、戦闘ではまだ慣れていないため予想以上に疲れるのかもしれない。
地面に大の字に倒れて息を整える。
それにしても1人じゃ危なかった、助けてくれた人にお礼言わなきゃ。
そう思い立ち上がり、助けてくれた人のそばまで行きお礼を言った。
「ありがとうございます。1人だと危なかったです。助かりました」
そういうと、座り込んでた青年は顔を上げこっちを見た。
その瞬間、時が止まった。
「えっ?」
その顔には見覚えがあったからだ。
そこには中学生の時、俺をいじめていた中心人物である、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます