第13話 ギルドで初めて仕事を受けました

「とりあえず経験を積まないことには始まらないし、ギルド登録してきます!」


俺はおじいさんに元気よくそう言った。

お金も手に入るしね。


「ギルドは町の真ん中にあって、ドーム状になっとるから見たらすぐわかると思うぞ」


そこでふと思った。


「まさか入会金とかいりませんよね?」


「そんなものかからんよ。町の経営に必要な人材確保にお金を取っとったら人なんて集まらんからの」


「なるほど」


それもそうかと思う。現世でいうと、会社に就職するのにお金取られちゃうってことか。

そんな会社ないよね。


「まぁ、初日だしの。採取系の仕事でここら辺を探索するとよいぞ」


「なるほど、それはいいですね」


確かにここら辺の地形が全く分からないので、知る必要がある。

それにはうってつけだな。


「そうと決まれば行ってきます」


ガラガラガラ~

玄関を開ける音が家中に響き渡る。


「気を付けての」


元気よく外に出る。

辺りを見渡してみる。現世の日本みたいに連なって家が建っているわけではない。結構家と家の間にはスペースがある。建物は全部1階建てで、庭には大きな畑がある。きっとそこまで技術力はないのだろう。家も張りぼてでできた感じだ。


「でもまぁ、景色もきれいだし、大阪の街並みを見慣れているから新鮮だ!」


ギルドがある方角は聞いていたので、そっちに向かって歩いていく。

しかし広々としているので、もうすでに遠目であるがギルドらしいドーム状の建物が見えていた。

ちょっと遠そうだな・・・。


(時間ならいっぱいある。ゆっくりでいいさ)


この世界での時間は、現世ではどれだけ経過したかが分からない。

少しうとうとして20分寝てしまった時、とても長い夢を見たことがある。

そのことを考えるとここで2~3日過ごしても、現世ではそれほど時間が経っていないのかもしれない。

そもそも、この世界は夢じゃないので、この法則には当てはまらなさそうだ。


そんなことを考え歩いていると、町の中心部に近付いているからか人通りが多くなってきた。

そしてここは商店街なのだろうか、大通りで露店らしき小屋がたくさん建ち並んでおり、食べ物、衣料、家具など様々なものが売っている。

お金は日本と同じ円であった。


(これは分りやすくていいな)


しかし少し違っているのが、硬貨は取り扱っておらず、すべて紙幣となっているみたいだ。

おそらく硬貨を作る技術がないのだろう。

目的地のギルドは、その商店街のすぐそばにあった。


「大きな入口だな・・・」


入口にある2メートルはあろう大きな扉を開け、中に入る。

奥にはカウンターがあり、係の人が仕事の割り振りを行なっているようだ。

それより手前は、情報交換の場だろう。机と椅子が並べられ何人か座って会話している。

席に座ってる人の邪魔にならないように、受付に向かう。

受付は最大5人体制でできるようになっているが今は仕事を受けに来る人が少ないのか、1人で受付を行なっていた。

誰も受付に並んでいない状態なので、皆仕事は朝受けて早くに仕事を終わらせるのであろう。それか、よほど時間がかかるのかもしれない。


「こんにちは、今日は初めてですね?」


「はい」


毎日受付をしていると顔を覚えるのだろう。

20代と思われる優しそうな受付のお姉さんに声をかけられた。


「どのようなお仕事をお探しですか?」


「初めてなので、採取系のでお願いします」


「それではこちらでいかがでしょうか?」


A4ほどの木の板に文字が刻まれたものを差し出される。


そこには日本語で食材採取と大きく書かれており、その下に小さな文字で説明がつらつらと書かれていた。


「食材を採取してくる初心者用の仕事となります」


なるほど、食べれそうなものを片っ端から集めてきたらいいのか。


「でも、食べれるものと食べれないものの区別が分かりません」


「そちらは、持ってきていただけたらこちらで区別しますので、大丈夫ですよ」


なるほど、それなら俺でも出来そうだ。


「籠をお貸ししますので、ご利用ください」


なんて優しいお姉さんなんだ。

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