第26話 けしからんおっぱいをしている女の子

前回のあらすじっ!

 涼宮さんと台本の読み合わせをしてます!ちなみに今は、俺が涼宮さんに膝枕してもらってます!以上っ!




 涼宮さんに膝枕をされてから数分経つが、涼宮さんが一言も喋らない。


「す、涼宮さん?」


「な、何かな?シロくん?」


「いつまでこの状態なの?」


「え、えーっと……誰かが『カットォォ!』って言うまでかな?」


「終わらねぇじゃねえか!」


(こ、これはマズイ!後頭部にとても柔らかい感触を感じる!このままだと、俺の後頭部が固い枕で満足できなくなっちゃう!)


「も、もしかして、私の膝枕は嫌……かな?」


 涼宮さんが不安そうな顔で聞いてくる。


「そ、そんなことないぞ!とても柔らかくて心地いい。できればもっと味わいたいくらいだ!」


「………そ、そう」


 俺の言葉を聞き、涼宮さんは顔を赤くしながら照れる。


(アホかぁぁぁぁ!!!誰が素直に感想を述べてんだよ!涼宮さんから幻滅されるだろ!)


 俺が焦っていると、涼宮さんから頭を撫でられる。


「!?」


「ど、どうかな?」


「そ、そうだな。とても気持ちが良くて眠りそうだ」


「ふふっ、ゆっくり休んでいいからね」


 涼宮さんは俺の頭を撫で続ける。


 俺は心地よさに目を閉じ、少しの間、眠りについた。




〜涼宮香織視点〜


(シロくん、眠っちゃったね)


 私はシロくんが寝てるのを確認する。


(ふふっ、いつもはカッコいいけど、寝てる時の顔は無防備でかわいいね)


 私は撫でる手を止めずにそう思う。


(まさか、シロくんを膝枕する日が来るとは思わなかったなぁ……)


 私はシロくんと初めて会った時を思い出す。




 私はハロウィンの日に初めてシロくんと出会った。その時、ものすごくイケメンな方だと思った。


 そして、興味本位でシロくんの『読モ』撮影に同行した。


 移動中、シロくんは私に『敬語はいりませんよ?』と言った。その時、この人は私のことをアイドルの私じゃなくて、同学年の1人の女の子として私のことを見てくれてるんだって思い、シロくんに興味を持った。




 シロくんが表紙の『読モ』が発売される日の前日。


 私はソワソワしてたのか、同じグループの1人、夏目梨奈に勘付かれ、シロくんのことを話すこととなった。


「へー、日向くんって人すごいね。香織って男運ないから、香織とお近づきになりたい人や、顔色を伺いながら接する人しかいないのに」


「そ、そうだけど、そう言われると、私が大人気アイドルみたいじゃない!」


「いや、大人気アイドルだろ。『おしゃべり7』への出演が決まってるのに」


「うっ!」


(そう言われると返答できない)


「で、なんでその人は香織と普通に接することができるんだろ?ウチなら可愛くて、けしからんおっぱいをしている女の子と少しでもお近づきになれるよう、顔色伺いながら接するけどなぁ」


 そう言いながら私に突撃して胸を揉んでくる。


「んっ……って何してるのよ!」


 私は梨奈の頭を軽く叩く。


「いったー!叩かなくてもいいじゃん!?」


「そ、それは梨奈が、わ、私の胸を……って!そんなことはどうでもいいの!」


「あれー?顔が赤くなってるねー?もしかして胸を揉まれて………はい、もう黙ります」


 私が殴る構えをしたため、静かになる。


「こほんっ!と、とにかく、私は明日、日向くんの『読モ』を買おうと思ってるの!ソワソワしてた原因はこれ!」


「なんだぁ。てっきり色恋沙汰が……って、当たらずとも遠からずって感じかな?」


「いやいや!私は日向くんと色恋沙汰なんか発生してないよ!?」


「またまた〜。日向くんのこと、ものすごく可愛い顔して話してたよ?香織、実は日向くんのこと気になってるんでしょ?」


「き、気になってるだけで、私が日向くんのこと好きってわけじゃないよ?」


「ふむふむ。まっ、気になってるんだったら、アプローチはしっかりしとかないとね。好きって分かった時にアプローチ不足だと、あとで悔しい思いをすることになるから」


「そ、そうだね」


 梨奈からアドバイスを貰い、私は日向くんに、少しだけ積極的に関わろうと思った。




 あれから『おしゃべり7』やCMの収録でシロくんと接する機会があった。


 接する度に、シロくんが素晴らしい男性だということがわかった。


 特に、CM撮影が終わった時、シロくんが「私たちのおかげ」って言ってくれた時は驚いた。


 私は絶対シロくんのおかけで、CM撮影が成功したと思ってる。多分、ミレーユさんも私と同じ気持ちだ。


 でも、シロくんだけは違った。本当に私たちのおかげで成功したと思っている。




「そういうところに惹かれたのかなぁ」


 未だに私の太ももを枕にして寝ているシロくん。


(気がつけば、いつもシロくんのことを考えるようになったなぁ。それに、義妹や幼馴染、ミレーユさんと仲良くしているところを見ると、胸がズキズキするようにもなったよ)


 私はこの気持ちを知っている。


「ふふっ、ホントかわいい寝顔だね」


 私はシロくんの顔を見る。


 そして、私はシロくんの耳元で…


「好きだよ」


 そう囁いて、髪の毛を持ち上げ、おデコにキスをした。

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