第22話 あの無駄乳にやられた男はたくさんいる。
前回のあらすじっ!
俺の評価があがらねぇ!以上っ!
ヒナちゃんに慰めてもらった後、食事を再開する。
「へー、2人とも芸能界活動に集中するために、最近ここに引っ越してきたんだ」
「そうなの!だから、お姉ちゃんと逸れたときに交番まで辿り着くことができなかったの」
(そういえば、ヒナちゃんと出会った時もそんなこと言ってたな)
そんな話をしながら、俺たちはゆっくりと過ごした。
「今日はありがとうございました!」
「こちらも、ヒナのワガママに付き合ってくれてありがとう」
「む〜!ヒナはワガママ言ったわけじゃないの!ただ、真白お兄ちゃんにお礼がしたかっただけなの!」
「そうだな」
そう言いながらミクさんはヒナちゃんの頭を撫でる。
「俺も楽しかったので、気にしなくていいよ。ヒナちゃん、また遠慮なく誘ってな」
「わかったの!」
そう言って、俺はミクさんたちと別れる。
お母さんに車で家まで送ってもらい、家の玄関を開ける。
「ただいまー」
俺が玄関に入ると…
「お兄ちゃん!何もなかったよね!?」
ダッシュで桜が駆けつけてきた。
「あ、あぁ。なんの心配をしてるかは知らんが、普通にご飯を食べてきただけだぞ?」
「そ、そう。お兄ちゃんと星野ミクが親公認の恋人……じゃなくて!お兄ちゃんが星野ミクを襲ったりしなくてよかったよ!」
「そんなことせんわ!」
(なんで桜からそんな心配されるの!?俺、すぐ女の子を襲うような人に見えるの!?)
そんなことを思っていると…
「あら、帰ってきたのね。女の子たちとの食事はどうだったかしら?」
母さんが話しかけてくる。
「あぁ。とても楽しかったよ」
「そう、それは良かったわ。女の子たちとの食事と聞いて、友達のいない真白くんが楽しめるか不安だったけど、杞憂だったわね」
「なぁ、友達のいないって言葉、必要ないよな?」
「そんなことないわ。その言葉が1番大事よ」
「あ、そう……」
(泣いていいかな?)
母さんの言葉に俺の心は傷つきました。
あれから数日がすぎ、今日も学校終わりにドラマ撮影に向かう。
今日の収録は穂乃果が同行している。
神野さんに送ってもらい、収録場所に着く。
本日も制服に帽子を着用して臨む。
着替え終え、シロ様となり、神野さんと穂乃果の3人でスタッフへ挨拶周りをする。
その最中に…
「あー!お兄ちゃん!」
ヒナちゃんが俺の下へと駆けつけてくる。
今日も後ろには、ミクさんとお母さんがいる。
その様子を見た穂乃果が…
「来たな、メス豚。ポークカレーにしてやる」
隣で訳のわからないことを言っていた。
「シロ様。今日もよろしくお願いします」
「いえいえ!こちらこそよろしくお願いします!」
「じゃあ、ヒナと撮影場所に向かってますので」
「またねー!お兄ちゃん!」
そう言って一足先にミクさんたちは撮影場所に向かう。
その様子を後ろから見ていると…
「いい、シロ。あのミクって女にも近づかない方がいい」
「ん?どうしてだ?いい人だと思うが……」
「ん、それは、胸が大きいから」
「………………はい?」
「あの胸は凶器。無駄に脂肪がついてるだけだが、あの無駄乳にやられた男はたくさんいる。だから、シロはあの女と関わらない方がいい」
「いや、確かに、たくさんの男がノックアウトされてそうだが……」
「ん、シロもその1人にならないよう、気をつけて。間違ってもあの女の脂肪を見てデレデレしないように」
「お、俺はデレデレなんかしないから大丈夫だ」
(あの巨乳に、目が吸い寄せられそうになるが……)
「さっき、あの女の胸を見ながら話してたのに?」
「俺はそこまでヒドイ男じゃねぇ!」
(ミクさんの顔を見らず、胸を見て話す男ってヤバいだろ!)
「ホント、この世界にはいらないところに脂肪がついてる奴が多い」
そう言いながら自分の胸を見る穂乃果。
(穂乃果の胸は寂しいからな。大きい胸を持ってるミクさんに突っかかりたいだけだろう)
そんなことを思った。
収録が始まる。
今回は俺の妹役であるヒナちゃんとの撮影が多かった。
あるシーンを撮影している時、ヒナちゃんのミスにより、俺は右手の甲を擦りむいてしまうアクシデントが起こる。
「ご、ごめんなさい。お兄ちゃん」
「いや、ヒナちゃんは悪くないよ。擦り傷くらいだから、これくらいならすぐ治るよ」
「うぅ、ごめんなさい」
その様子を見ていたミクさんとお母さんが、俺たちの下へ駆けつけてくる。
「すみません、シロ様。傷は大丈夫ですか?」
「はい!これくらいはなんともありません」
俺は怪我をした右手を動かす。
「そうですか、よかったです」
ホッと胸を撫で下ろすお母さん。
「シロ様。これ使ってください」
ミクさんから、可愛らしい熊がプリントされた絆創膏を渡される。
「ありがとう、ミクさん」
「いえいえ、今後もヒナが迷惑をかけるとは思いますが、よろしくお願いします」
そう言って、ミクさんとお母さんは俺たちの元から離れる。
俺は絆創膏を貼り、残りの収録に取り掛かる。
その後は問題なく収録が終わり、スタッフや監督に挨拶を済ませ、控え室に戻る。
(ふぅ、今日も問題なくできたな)
俺は無事終わったことに安堵しながら着替え終え、神野さんと穂乃果が待つ、駐車場へと向かう。
「真白お兄ちゃーん!」
後ろの方から俺を呼ぶヒナちゃんの声が聞こえたため、振り返る。
「ヒナちゃん、収録お疲れ様」
「うん!あ、真白お兄ちゃん。シロ様の居場所わかる?」
「ん?シロ様なら先に車の方に行ったけど……」
「やっぱりなの。ヒナ、シロ様に怪我をさせてしまったことを謝ろうと思ったんだけど、控え室にはいなくて……」
「そのことなら気にすることはないと思うよ」
俺はそう言うが…
「いえ、そういうわけにもいかないので…」
「あぁ。一言謝りたかったんだが……」
お母さんとミクさんは、納得してくれない。
「真白くん。申し訳ないけど、これをシロ様に渡してもらっていいか?」
そう言って、ミクさんは俺の前に缶ジュースを出す。
「さっき買ってきたんだ。真白くんならこの後シロ様に会うだろ?」
「あ、あぁ。俺もシロ様が待つ車に行く予定だ」
「なら、シロ様に渡してて。『ヒナが迷惑をかけました』って」
「わかった」
俺は返事をして、右手でミクさんが持ってる缶ジュースを取る。
その時…
「ん?真白くんも右手の甲を怪我したのか?」
「!?」
(ヤ、ヤバい!怪我から俺がシロ様ってバレる!……わけないよな。たまたま同じ箇所を怪我しただけだ。冷静に対応しよう)
「あ、あぁ。さっき控え室で怪我してな」
「そうか、気をつけ……ちょっと待って」
そう言って、ミクさんは俺の右手を握る。
(な、なに!?いきなり手を握られたんだけど!)
俺がテンパっていると……
「これ、アタシがあげた絆創膏だな」
「!?」
(やべぇ!絆創膏のこと、頭から抜けてた!)
「この絆創膏って、この辺りじゃ手に入らないものなんだ。もしかして、真白くんって………シロ様?」
(ギャァァァァァァ!!!!マズイ!ど、どどどうすれば!?)
俺は心の中で叫んだ。
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