第19話 炎上する気持ちを味わいたいんじゃないかな?
前回のあらすじっ!
なぜか明日、ヒナちゃんたちの家にお邪魔することとなりました。以上っ!
あれから、断ろうとするも断りきれず、結局、明日の晩ご飯をヒナちゃんたちの家で食べることとなった。
その際、俺とミクさんが同級生だということがわかり、お互い、敬語を使わず接することとなった。
「あ、そうだ、真白くん。連絡先を交換してもいいか?」
「ヒナも真白お兄ちゃんと連絡先を交換するの!」
「あぁ、いいぞ」
「やったー!これでいつでも真白お兄ちゃんに会えるの!」
(いや、いつでもってわけじゃないが……)
そんなことを思いながら2人と連絡先を交換する。
「じゃ!また明日なの!」
「また明日な」
「あぁ、また明日」
そう言って、俺は神野さんの車に向かった。
帰宅後…
「おかえりなさい。撮影はどうだったかしら?」
母さんが出迎えてくれる。
「母さんのおかげで、問題なく終了したよ」
「そう、それはよかったわ」
そう言ってキッチンへ向かう。
(うまく演技をすることができたか、母さんなりに心配してくれてたのかな?)
俺はそう感じた。
その後、俺と桜は晩ご飯を食べる。
「あ、母さん。明日の晩ご飯、いらないから」
「あら。珍しいわね」
「あぁ、明日の夜、友達の家で晩ご飯をご馳走になる予定なんだ」
「…………もう一回言ってもらえるかしら」
「明日、友達の家で晩ご飯をご馳走になる予定なんだ」
「とも……だち?」
「友達って言葉の意味がわからないリアクションだな!?」
俺の母さんは友達って言葉の意味がわからないらしい。
「いえ、真白くんから普段聞かれない単語を耳にしたから」
「確かにそうだけど!」
「へー。お兄ちゃん、友達の家に行くんだ。その友達って誰なの?」
俺と母さんが話しているところに桜が入ってくる。
しかも、謎の威圧感を放って。
「えーっと、今日、収録で会った方のお家に招待されて……」
「ふーん。それって星野ヒナって子の家じゃないよね?」
「よ、よくわかったな。ヒナちゃんから招待されたんだよ」
俺がそう言うと…
「やっぱり。こればかりは邪魔できないよね……。はぁ、私、ずっとお兄ちゃんの近くにいて、監視した方がいいのかな?」
何やら、訳の分からないことを言い出す。
「ふふっ、桜ってかわいいわね。真白くんもそう思わないかしら?」
「どこが!?ずっと桜に監視されるのなんか嫌なんだけど!」
(俺に監視する必要があるってことは、注意しなければならない問題行動を俺がしたってことだろう。理由は不明だがな!)
全く身に覚えがない俺であった。
夕食後、リビングでゆっくりしていると、ミクさんから連絡が来た。
『星野ミク: 今日はお疲れ!明日のことなんだが、母さんが真白くんを車で拾うことになった。17時以降なら車を出せるらしいけど、どこで拾えばいい?』
『日向真白: そうだな。それなら18時頃、○駅で拾ってくれるとありがたい』
『星野ミク: わかった。そう伝えておくよ。ヒナもアタシも楽しみにしてるからな』
『日向真白: あぁ。俺も楽しみにしてるぞ』
そんなやり取りをして、ミクさんとの連絡を終了する。
その後、今度は神野さんから電話がかかる。
『もしもし、日向さん。夜遅くにすみません。今お時間よろしいでしょうか?』
『はい、大丈夫です』
『ありがとうございます。さっそくなのですが、社長から、そろそろシロ様にSNSを始めてほしいとの要望がありまして……。桜さんや穂乃果さんに手伝っていただきながら、始めていただいてもよろしいでしょうか?』
『えーっと……始めても良いのですが、何をすればいいんですか?』
『基本的には宣伝がメインとなります。自分の出演するドラマの放送時間が近くなると呟いたりする人は多いですね』
『なるほど。わかりました。桜に聞きながら始めてみます』
『ありがとうございます!あ、始めての投稿は自分が本物のシロ様だということを知っていただくために、キッド様のコスプレをした写真と一緒に呟いた方がいいと思います!』
『わかりました!』
そう言って電話を終了する。
(ん?本物のシロ様?俺が本物のシロ様だけど……どゆこと?)
俺は疑問に思いながら桜に声をかけて、電話の件を説明する。
「なるほど、ついにお兄ちゃんもSNSデビューだね」
「あぁ、そうなるな」
「それにしても、やっと本物のシロ様がSNSデビューするんだね」
「そーいえば、神野さんからも似たようなこと言われたんだよ。どういうことなんだ?」
「あ、そっか。お兄ちゃんはSNSしてないからわからないんだ。最近ね、シロ様を装ってSNSを投稿する人たちが増えてたの」
「…………なんで?」
「さぁ?炎上する気持ちを味わいたいんじゃないかな?」
特殊な方が多いようだ。
「そんなことがあるから、社長もお兄ちゃんにデビューをお願いしたんじゃないかな?もちろん、宣伝という面もあるとは思うけど」
「なるほど」
(理由はわからんが、SNS上でシロ様が大量発生してるってことか……。え、そこに本物の俺が投稿しても炎上するだけじゃね?)
「なぁ、俺、SNSデビューしてすぐに炎上とかしたくないぞ?」
「本物のシロ様が炎上するわけないでしょ?」
「いや、だって……」
「はいはい。はやくキッド様に着替えて」
俺は桜から無理やり部屋に押し込まれる。
(神野さんがキッド様のコスプレをした写真も一緒に投稿してって言ってたけど、俺のカッコ良くない顔を載せても炎上を加速させるだけだろ)
そんなことを思うが、載せろと言われているので着替える。
俺は着替え終えて、桜を部屋に招く。
そして、試行錯誤をしながら写真を撮り、文章を考えて、俺は初投稿する。
『シロです。SNSを始めました。時折投稿しようと思います。よろしくお願いします』
との文章と共に、一枚の写真を投稿する。
投稿する際は、身元の特定ができないよう、注意しつつ行う。
(どうせ、俺のSNSも炎上するだろう。いや、炎上されたら困るんだけど!)
そんなことを思いながら、俺は着替えた。
翌朝、SNSを開くと…
『この顔!本物のシロ様ですわ!待ってましたわ!』
『本物のシロ様出現。拡散します』
『さっそくフォローしました!』
等々、俺の呟きに対して様々なコメントが来ていた。
「………………」
(違う意味で炎上しとる!)
俺が本物だと気づいてくれたようで、たくさんのコメントがきていた。
(もう、全部見なくていいや。ごめんね、億劫になるくらい来てるんだよ。なぜか)
そんなことを思っていると、俺の目に凄まじい数字が目に入る。
「フォロワー5万人!?なんじゃこりゃ!昨日の夜SNSを始めたんだけど!」
驚きのあまり声が出る。
(俺如きをフォローする意味がわからないが……なにかいいことがあるんだろう)
そんなことを思い、今もなお増え続けているフォロワー数から目を背けた。
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