振られたら秒でヤンデレ美少女にロックオンされた

第15話

　サヤが手早く材料を切って鍋に入れる。

「後は魚介とお肉、根菜から出汁が出たら葉物野菜を入れて味を調えれば完成だよ」

　流れるような動きに見入ってしまった。

「シャワー、浴びてくるね」

「お、おう」

　シャワーだと！

　返事はしたが落ち着かない。

　サヤが戻って来た。

「一緒に入る？」

「いや、俺も部屋に戻って入って来る」

「ここでもいいよ？」

「からかうな」

　俺は自分の部屋に戻り、手早くシャワーを済ませて戻った。

　心臓がドキドキする。

　サヤの部屋に入り待つがシャワーの音が続く。

　落ち着かない。

　サヤが出てくると、バスタオル姿だった。

「え？」

「ねえ、バスタオルと服、どっちがいいかな？」

「服でお願いします」

　サヤは笑顔のまま無言で戻って行った。

「お待たせ」

　サヤはぴっちりして、ペラペラな白いワンピースを身に着け戻って来た。

　黒い下着の色が透けて見える。

　胸元は空き、丈が短い。

　バスタオルより無防備じゃないか？

「バスタオルより服がいいんだよね？」

「そうだな」

　バスタオルはまずい。

　バスタオルはもっとまずい。

　バスタオルが何かしらのアクシデントで落ちてしまったら大惨事、そう、大惨事なのだ！

　サヤが鍋をテーブルに置いた。

　かがみこんだサヤの胸元に目が行く。

「ご飯も食べるよね？」

「食べる」

「私も食べるよね？」

「……いや、いい」

「迷った？」

「食べようか」

「私を？」

「鍋をだよ！」

「ごめんね、調子に乗っちゃった」

　俺の頭を撫でる。

「鍋を、食べよ」

「おう」

　チゲ鍋を盛って口に運ぶ。

　サヤがじっと俺を見ていた。

「うまい」

「よかった」

　2人で黙々とチゲ鍋を食べた。

「ふ～、熱くなって来たね」

「そうだ、な……」

　サヤの服が汗で張り付いて黒い下着がくっきりと見える。

「サヤ、下着が汗で見える」

「あ、そうだね。でも、皆に見られるわけじゃないから大丈夫」

「俺が気になるんだ」

「そっか、向かい合って食べると目に入っちゃうよね。並んで食べよ」

　サヤが俺の隣に並んだ。

　そして俺と腕を組み胸が当たる。

「ちょちょちょ！胸が当たってる」

「当ててるの」

　サヤを見ると笑顔だ。

「体が火照って来たよ」

　そう言って俺に寄りかかる。

「イツキ君が熱くなって来たね。暖かいよ」

「……」

「もうお腹いっぱい、休憩するね」

　サヤが俺の前に座った。

「く、これは、きつい」

「イツキ君の椅子、収まりがいいよ」

「ちょ、これはまずい」

「元気になっちゃう？」

「そうだよ！」

「気にせず食べよ。まだ食べられるよね」

「く、動くな」

「ごめーん」

　俺は様々なイメージトレーニングを模索した。

　サヤに覆いかぶさろうとするとサヤが化け物に変わって殺されるイメージ。

　サヤに覆いかぶさろうとした瞬間におばあちゃんの裸体を想像した。

　だが、ことごとくイマジンプロテクトは打ち砕かれた。

　5重防壁を突破されただと！

　く、振り返って動くな！

　マジで！

　俺はサヤの両脇を掴んで持ち上げた。

「はひ！」

「悪い、驚かせた」

「うんう、調子に乗っちゃった」

「今日は帰る」

「うん」

　俺は玄関を出た。

【サヤ視点】

　帰っちゃったか。

　失敗したかな？

　でも、嫌われていないのは分かる。

　最後、イツキ君が私の両脇を掴んで持ち上げた瞬間、私は急に押さえつけられてワンピースを引き裂かれるイメージで胸が一杯になった。

「胸とか触るくらいはしてもいいのに」

　イツキ君の匂いを消したくない。

　でも体が火照ってまずい。

「清潔第一」

　イツキ君の前で汚い姿を見せたくない。

　明日は休み。

　明日も隙あらば……

　いや、明日は喫茶店で過ごして帰って来る。

　その時に備えよう。

　私は冷たいシャワーを浴びて眠った。